2人の代替案とは
彼が祖母にお願いをした数日後、呼ばれて向かった先には大きな段ボールがあった
「はい、これをどうぞ」
「これは?」
「図書館は無理でしたがこれで多くの本を読めますよ、使い方はおばあちゃんが教えてあげます」
彼は図書館のお願いなんて次の日には忘れていた。現段階で重要な事項でもなかったからだ。けど、ちとせとけやきは話し合い、別の形で応えることにした
(応えてくれたけど・・・・・・これは)
目の前にあるのは読書用のタブレット
大学で堕落した最大の敵、”電子機器”との再会である
(大丈夫、入学時はダメだったが転生直前では電子機器との付き合い方は大分理解できてたはずだ。それにこの危険性を知っている、何度も失敗してやるかよ)
『人生を豊かにしたいなら報酬系のドーパミンを如何に制御するかだよ』
教授の声が聞こえた気がした
その後ちとせに使い方を教えてもらって少し触ったがほんとに読書機能しかついていなかった
(よし、これで依存の心配はあまりいらないな。祖母にもあまり触るようなら取り上げてくれってお願いしたし)
ちとせからしたら取り上げるのをお願いされるなんて思ってもみなかっただろう。言った本人は気づいてなかったがちとせはしばらく唖然としていた
(それよりも、このタブレットで高校受験までいけるんじゃないか?)
一蘭からのできるだけ勉強に使いたいという希望とちとせとけやきの思惑が一致した結果であった
この世界では男子は中学校までの義務教育は共学であるが前世にはないやり方も存在する。前世でいう個人家庭教師についてもらい卒業試験に受かることで義務教育を終えることができる。一見知識が不足して危険なように感じるこの制度だが値段が値段である。私立の男子中学に通わせる方がはるかに安く女子との関わりを少なくできる。その代わり講師一人一人の質が高く修了時の偏差値としては全国トップレベルのものとなる
けやきとしてはこの制度でできる限り女性との接点を減らそうという考えである。ちとせも本人の不利益にならなければ、と承諾した形となる
(おいおいおい! 図書館なんて要らんやんけ。お、これ高校入試の過去問? 殆どの高校の過去問が見れるのガチ!?)
そんな嬉しそうな孫を見て幸せなちとせであった