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名前

「やっぱり雄雌の割合が1:10っておかしいよね。ヒト以外の高等動物は大体1:1だからね」


「色々調べたのですが中々いい論文が見つからなくて、研究しないことに何か理由があるんですかね?」


「研究も成果を出さないと生きていけないからね。一蘭君の前の世界で男女比が1:1の理由を調べてる有名な学者はいたかい?」


(あ、そうか。生まれた時から1:10が当たり前だからそもそも疑問に思う人が少ないのか。つまりこの事に疑問を持ったのは天皇はごく少数派になる。真理に近づいたってのも本当っぽいな)


「あ、そうだ! 名前付けて」


「はい?」


一蘭は突然の爆弾発言に理解が追いつかなかった


「いやいつまでも天皇呼びだとやりづらいでしょ。名前が付くのは死後だから」


「いやぶっちゃけますけど、皇族と関わるのはこれで最後にするつもりなんですよ」


「つれないなあ。じゃあ皇族じゃなくて友達の仲としてさ、何か頼むよ。今日の思い出としてさ」


(やっぱり友達認定されてた。まあここまで気を許してくれてるのだから断る理由は・・・・・・いや、あるな皇族という結構大きな要因が)


「じゃあ撫子で」


「それ普通女の子につける名前だよね!? それに自分で言うのもあれだけどそんな適当に名付けていい事ではないと思うんだけど!?」


今度は天皇の方が一杯食わされた


「大事だってよく分かっているじゃないですか。だからそんな大事を僕に任せるのはやめて下さい」


「ちなみに理由を聞いてもいいかい?」


(まだ食い下がるかあ)


「女の子よりにしたのは中性的で男性という感じではなかったからですね。名前自体は前世の好きなアニメキャラからとってきました」


「ますます適当だったということが分かった」


「はい。このことは無かったということで」


「いや、撫子でいい」


「正気ですか?」


またとんでもないことを言い始めた天皇に一蘭は言葉が乱れてしまった


「名前がないよりかは良いと思わない?」


「すみません。皇族だったことがないのでその感覚は分からないです」


「ま、そういうもんさ。今日からは隠語として撫子くんと呼んでくれて」


(なるほどそういう面も含んでいたのか)


撫子はふざけている様にしか見えないがきちんと周りが見えている。外交なども任される撫子は大人の汚い部分を知っていた


(こういうタイプを相手するのが一番やりにくいな)


自分が上手く嘘を隠せていると思っている者ほどボロがでやすく分かりやすい。逆にこのように常に戯けた態度を取られると本心を見ることがとても困難となる。一蘭はこれをやりにくいと表現した


「それにしても一蘭くんはもう来る気がないのかあ。そうだ手紙にしない?」


「伊吹姫様にも文通を誘われたのですが、皇族ではメジャーなんですか?」


「へぇ、伊吹さんがね。初対面でよくそこまでいけたね。彼女は少し複雑な立場だからね。一蘭君がいい刺激になればと思ってぶつけてみたけど正解だったね」


(やっぱり撫子の適当な思い付きか)


一蘭の中でもすっかり撫子呼びが定着していた


「どう? 持って帰る?」


「そんなお土産みたいに言われても・・・・・・それにうちはここより火薬庫なので」


女達の争いは過激化すると相手が折れるまで終わらない戦いに発展してしまう。けやきとかくらの場に更に女が入ってくれば、火花を散らし合うに違いない


「一蘭くんがこの世界の人だったら今後を占ってあげられたんだけどね。逆にその特異性から惹きつけてしまうのかもね」


「そうだ撫子さん僕の眼について教えてもらっていいですか?」


「いいよ。まずは見た目からね」


そう言うと簾の向こう側から紙が飛んできた


この会話は今までずっと簾を挟んで行われていた。しかし2人にとってこの距離で気配を捉えられない事はない。一蘭に至っては”中世的”という見た目さえも分かっていた


(まるで神通力やな)


一蘭は真っ直ぐ自分のところに飛んできた紙を受け取って筆で描かれた絵を見た


(写◯眼)


感想はこれだけ、しかし一蘭はそれ以上その絵に当てはまる言葉が見つからなかった


(こんなんほぼ写◯眼やんけ。言われてみれば確かに僕の容姿も身体能力もNARUT◯みたいやな。バトル漫画のキャラ特殊な眼持ちがち)


ただし一蘭の眼に特殊能力など(おそらく)ない

実際に目の色が変わることは希少的だか存在する。眼の色の変化には、虹彩という筋肉の収縮から、瞳孔の大きさを制御することが大きく影響する。 瞳孔の大きさが変わると虹彩の色素が縮まったり、拡大したりして眼の色が少し変化する

一蘭の場合は通常ではあり得ないほどの集中力め脳か働き、瞳孔の変化や虹彩の色の変化が人の何倍も顕著に現れる。元の黒い瞳の間に赤が浮かび上がることで綺麗な模様となる。これが彼の瞳が変化するカラクリである

一蘭の眼に惹き寄せられるのは、単に一蘭が集中する際の”気”が柳や一蘭だけが放てる特異的なものであるからで、眼自体に幻術のような特殊能力はない


「おーい、戻ってきてー」


「はっ!」


見た目だけとはいえ、転生特典がかっこよすぎて彼の脳内で様々想像が広がっていた。その途中で撫子から現実に引き戻された


「それで話が結構戻るけど、手紙やろうよ」


「いいですよ。でも書くことありますかね? 撫子も忙しいのでは?」


「・・・・・・急に呼び捨てされてびっくりしたよ」


「すみません。前世が20超えてたので、その基準で年齢を考えてしまうんですよね」


「なるほどね。気にしないよ、正直撫子にさん付けも君付けもに似合わないと思う」


「僕もそう思います」


「他人事だなあ。一蘭君が名前付けたんだよ? またが話が逸れた。ここには娯楽が少なくてねつい深掘りしたくなるんだよ。そしてこれは一蘭君に頼む手紙の内容にも関わってくる」


(やるの確定っぽいなあ)


「一蘭くんには前世のそのラノベ?や漫画の写本を作って送くることを命ずる」


(お願いから強制になったなあ)


一蘭は止まらない撫子の話を適当に聞き流していた


「それってこの世界に大きな影響与えません?」


今世で得た一蘭の記憶力と身体スペックならば小説や漫画の内容を思い出して手を機会的に動かす事など容易である。一蘭は命じられた仕事のことよりもその内容がこの世界に衝撃を与えることを懸念した


「だから禁書にしてここから出さない」


「うーん。一応理に適ってはいるんだよなあ」


「どう? 貸し1ってことで」


「皇族への貸しって物騒な響きですね」


「ジャンルはポルノグラフィとバトルものがいいな。あとは女性向けするもの」


(なんでかエロ本求めてきた)


「ほら僕達は毎週夜伽があるからマンネリ化してるんだよね。バトル漫画は一蘭君の話を聞いて読んでみたくなったんだよね」


「わかりましたいいですよ。下手に知識を与えた僕も悪いですし」


「さすが親友話が分かる! 他の宮家にも配っていいかい?」


「その辺は撫子に任せます。調整の具合が分からないので」


(いつのまにか親友になってるなあ)


「他にもたくさん話したい事はあるけどそろそろ時間だ。今日は楽しかったよ」


「ここには時計がないので時間感覚がズレますね」


(ん?)


一蘭はここで違和感を覚えた。柳との修行で一蘭は寸分の狂いもなく体内で時間を測れた。しかし一蘭は今どれほどの時間が経ったか分からないでいた


「実際ズレてるよ」


それに対して撫子は答えを言った


「向こうだと1時間たったくらいじゃない?」


「え」


一蘭は驚いた。話の内容から逆算すると明らかにそれ以上の時間会話していた


「よくパワースポットでは磁場とか時間が狂うって言うじゃない? スピリチュアルに言うとそんな感じかな。一蘭君は計算で求めないと気が済まないタイプだから後で考えてみるのも面白いんじゃない?」


(世界の原理原則から考えるとまずあり得ない。けど実際に起きている。現実よりも正しい科学はない・・・・・・間違っているのは計算式の方)


「おーい・・・・・・だめだ、集中して帰ってこないや。余計なこと言っちゃったかなあ」


その後一蘭が満足するまで待ちの時間が続いた


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