直球
「・・・・・・」
(体に力が入らない)
彼女は昨日のスーツのままずっとベットに伏せている。目にハイライトがない
・・・・・・
『一蘭? ど、どうかしら?』
『? どうとは?』
ユルシテ
声は出なかった。しかし、一蘭ならば感じ取ってくれる。そう信じていた
『? 何もないなら行きますよ。ご飯が出来たら呼びますね』
『ぁ』
一蘭にはおそらく伝わっていた。にも関わらず一蘭は無視した。それはあからさまな行動でけやきにも十分に分かった。振り絞ったけやきの勇気は一蘭に適当にあしらわれた。けやきはショックから立ち上がれず、寝室に閉じこもった。一蘭のご飯も食べにいかないほどの絶望の中に彼女はずっといた
『!)<$.)}-]*』
『・・・・・・』
『&<^\-<;*#)"}%^>||?(+!』
『・・・・・・』
(かくらが何か言ってる・・・・・・ごめんなさい、今は聞く気になれないわ。少し静かにしてちょうだい)
おそらくかくらは今の自分を侮辱しただろう、馬鹿にしただろう、内容は頭に入ってこなかったがその事はけやきに伝わっていた。そしてそれがけやきを立ち上がらせるためにやっているという事も十分分かっていた。しかし彼女は何の反応も反論もできなかった。とにかく今は何もしたくなかった
(一蘭、そんなの無理よ。だって止まれないもの)
けやきは今回一蘭が怒っている理由を理解していた。理解はしていた
(母親としては自由に生きて欲しい。それは本当よ。でもそれ以上に私個人が一蘭に首輪を付けたがるの。たとえそれが一蘭を苦しめても。だってそうでしょ? 私が一蘭を苦しめても私が癒してあげれればいいじゃない。私何かおかしい? 私何か間違ってる?)
・・・・・・
結局けやきはそのまま朝を迎えた
(体に力が入らない)
けやきの状態は昨日から変わっていなかった。けやき本人は立ち直れる気がしなかった
しかし突然その状況に変化が訪れた
(!?)
けやきは自分の隣に座っている存在に気がついた。それは絶対に間違えることのない何よりも愛している人の気配、すなわち一蘭の気配である。それは今急に現れた。一蘭が気配を消せるのは知っている。つまりいつからは分からないが一蘭はけやきの側に居てくれていたということだ
(心配してくれてたのかな? そうだと嬉しいな)
「ご飯を温め直してきましたから食べて下さい」
(あ、いつもの一蘭だ・・・・・・)
けやきはいつも一蘭から感じるこの雰囲気が世界で一番好きだった。この雰囲気は一蘭の声に、笑顔に、行動全てに乗って彼女に届く。それをいつも大事に受け取っているけやきは、今の一言で一蘭が自分を許してくれたのだと直感的に理解した
「いt、ぁn」
愛しの人の名前を呼んだが昨日の夕方から動いてないけやきの体はきちんと発音できなかった
「はいはい。まずはご飯を食べましょう。起き上がれますか?」
一蘭が言ってくれているのに体がいうことを聞かなかった。力が入らなかった
(何とかして起き上がらなきゃ。せっかく一蘭が許してくれたのに、ここでぐだぐだしてたらまた呆れられるかもしれないじゃない。起きて! 起きなさいよ!)
「無理しなくていいですよ。少し危険ですけど左側臥位で食べてもらいます」
一蘭はそう言って彼女を安心させるように優しく撫でた
(あぁ、これだ。一蘭はいつも私が求めている事をやってくれる。本当にずるい人。私がこうなったらのはあなたのせいよ。だからとってよね、責任)
・・・・・・最後の言葉は反省が活かされているか若干不安になる
何はともあれ、ご飯を食べさせてもらいけやきは元気を取り戻した
「一蘭、ごめんなさい。私はいつも暴走しちゃって、結果一蘭の多くのチャンスを失ってしまってきた。けどね、私この感情を抑えられる気がしないの。ねえ一蘭、どうすれば良いと思う?」
けやきは自分の思いをストレートに伝えた。それは今回のような行動が治りそうにないという反省をしていないともとれる内容だった。しかし、自分ではどうしようもないため、一蘭ならば何かいいアイデアを持っているかもしれないとけやきは考えた。彼女は賢い。自分を客観的に見れているからこその行動であった
(これで距離を離されるかもしれない。けどここで下手に嘘をついて再び迷惑をかけたら、今度こそ許してもらえない気がする。それよりは自分の思いを伝えて玉砕した方がはるかにマシ)
けやきは目を瞑って一蘭の言葉を受け止める準備をとった
25部の問題の引用先が間違っているとの指摘を頂きました。ありがとうございます。資料となるものが手元になく、記憶も曖昧で調べ直して訂正をするのに時間がかかりそうです。情報を持っている読者さんがいらっしゃいましたら感想で教えて欲しいです。その情報も材料にさせていただき、早期修正を頑張りたいと思います
7/20(木)14:12 1. と2. の引用先が逆になっていることを訂正しました




