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返答

「え? 嫌ですよ」


「「え」」


一蘭の言葉にちとせとけやきは唖然とした


ちとせはけやきと一蘭に”あの件”の内容を伝えた。しかし一蘭から返ってきた言葉はまさかの拒否・・・・・・そのあまりのためらいのなさに、ちとせは自分が間違っているのかという錯覚に陥った


「そ、その一蘭? 流石にそれはダメだと思うわ。違うの、違うのよ、一蘭が悪いなんて事はないわこれは絶対よ。悪いのは、悪いのは・・・・・・」


一蘭全肯定botのけやきでさえバグを起こすほどの内容だった


(だって昨日普通に戻るって決めたばっかりだもん)


一蘭の目標

①勉強し続ける→常に試験でトップを目指す

②運動神経はこのまま超次元をキープするが積極的に目立ちはしない。無自覚無双ムーブもしない

③教養を押さえてどこに行っても恥ずかしくない礼儀を身につける→綺麗なお嫁さんを貰う


(僕のちやほや全盛期を高校に設定したとして、どこに天皇と会うような高校生が主人公の物語があるねん)


一蘭は最初の目標からブレない事を決めていた


(大体さ、異世界転生して自分がちょっと特別だと分かってから調子に乗りすぎだったんだよ。僕は世界を変えられるわけでもないし変えようとも思わない。あくまでスケールは日本国内で現実的に生きていくのが身の丈にあってるって話な)


「どうしてもダメですか? 僕とても怖いです」


けやきに向かって全力で行った一蘭の演技は自分の雰囲気まで操作してけやきの庇護欲を掻き立てるように仕向けた。外見でいうと一蘭はまだ7歳児である。けやきの母性もフル稼働だ


「あばばばばばばばばばばばばばば」


これを食らったけやきは、あまりの強烈さと脳内の矛盾で壊れてしまった


(やべっ母が壊れた! 残るは祖母だけ、これでは味方がいない)


けやきが壊れるという予想外の結果に慌てた一蘭は次の一手に出た


「かくらー!」


「はい! お兄様! 内容までは聞き取れませんでしたが、お兄様が嫌だと言ったのに”あの女”は何もしませんでしたね。お兄様、これで私が一歩リードですか?」


「ありがとうかくら」


一蘭はそう言ってかくらを抱きしめた。そしてキスとはいかないまでも唇を押し当ててかくらに感謝した


「ひゃっ、ひゃい! お兄様のためなら当然でしゅ」


ちとせは娘と孫娘に呆れた。同時に一蘭にはどうしたものかと悩まされていた


(ここまで明確に拒否されるとは・・・・・・拒否する理由も話してくれなさそうですね。そういえばそもそも彼方が呼んだ理由もわかっていないのでした。何もかも分からないのにどうすればいいのでしょうか・・・・・・はぁ)


「かくら、日本を敵に回せますか?」


「はい?」


「例え一蘭が犯罪者になっても貴方は一蘭を庇うでしょう。しかし、今回はそんな規模ではないのです。守る意思の有無ではないのです。一蘭を守りたいのか、一蘭が平穏な日々を送れるのを守りたいのか、どちらが本質かは分かるでしょう?」


「お祖母様・・・・・・でも、お兄様が『助けて』って言ってる。私は絶対にお兄様に従わなきゃだめなんです」


「・・・・・・」


「かくらごめんね」


「え?」


ちとせは黙っていた。一蘭の反応を待つためだ。その結果今度こそ予想通りの結果を迎えた


「駄々を捏ねてすみませんでした」


「いえ、いいのですよ。私も相当な無理を与えることになるだろう事はわかっていますから」


一蘭が申し出を受け入れた事でちとせはやっと一安心した。そもそもこの段階で躓くなんて思ってもいなかったので一安心の意味は間違っているのかもしれない


・・・・・・


ちとせは一蘭に大まかな段取りを教えていった


「とりあえず朝廷の礼儀作法については適当でいいです」


「え」


今度は一蘭がその内容に唖然とした


「文献上、中本家がそのような事をした記録はありません。気をつけるべき事はこの密会を知られないことただそれだけです。しかし現代社会においてそれはとても難しい事です」


(なんや余裕やんけ)


防犯カメラや尾行に対しての心得がある一蘭はそれを聞いて気持ちが軽くなった


「あとは朝廷内の女性との関わりに気をつけてください。あなたは愛し方に難のある女性を惹きつけ過ぎます。依存させる前に接触を避けて下さい」


(それは余裕じゃないやんけ。というかどうすればいいんや)


どうすればいいかはちとせの方が知りたかった


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