軌道修正
「お前さんズル過ぎるじゃろ」
結局一蘭は柳から一日中逃げ切った
(まあ普通に考えてお互いほぼ同じレベルで山の中で隠れん坊したら見つかるわけないよな。第二ラウンドとか意気込んでた自分が恥ずかしい・・・・・・)
「師匠が出会った初めに言ってたじゃないですか。『まず第一に逃げること護身術は使った時点で負けだ』って」
「・・・・・・うむ。そうだな。まあお前さんは異能バトルをするわけでもあるまいし、命大事に逃げることが1番じゃな」
「いや、師匠流石に誤魔化しに無理があります。出来れば本当の理由を教えて欲しいのですが・・・・・・」
「ワシが体を動かしたかった。ここまで武術を極めてから初めて対戦相手に全力で動いたの。はっはっはっ」
「えー」
一蘭はそのために殺されかけたことに納得できなかった
「ふむ・・・・・・そうかそうか、納得がいかんか。そういえば蹴られる時に『ジジイ』と聞こえt」
「納得しました」
「ならこれでチャラにしてやろう」
(なんでそっちが妥協したみたいになってんだよ)
やはり納得のいかない一蘭であった
「先ほども言ったが、異能バトルをする訳でもないし、ここから先に行く必要はないじゃろ。それに数百年経ってもワシはこのレベルから変わっておらん。ここが限界かもしらんな。というかお互い人間でないとはいえ過剰にもほどがあるじゃろ」
(いやそうだよ!? 今更気付いたの!? というか異能バトルってどこで知ったんだよ!)
「ということは、ここからは教養や文化重視ですか?」
一蘭は途中からこの力は自分のちやほやのどこに繋がるのか分からなくなっていた。しかし努力癖と探究癖から極めてしまいたかったためここまで来てしまったのだ
「うむ。ただし、今の水準はそのままにな。お前さんも運動能力はあればあるほどカッコがつくじゃろ」
「え!?」
柳に一蘭がちやほやされたいために努力していたことがバレていた。一蘭は驚いた
「なんじゃ、バレバレじゃったろ。お前さんが習得した技がどんな場面でどうカッコよく決められるか妄想しておるのを見とると共感性羞恥でやっておられんかったぞ」
(うわ、恥っずー! 頭の中で前世の漫画のシーン再現してたの知られてたの恥っずー!)
「明日からは教養重視にするが、お前さんまだパーティーに出ておらんのじゃろ? これでは教えてもお前さんが発揮する場所がないのではないか?」
「そうなんですよ師匠! 助けて下さい!」
「いや、知らん。お前さんの親に・・・・・・まあ無理そうじゃな。婚約を決めなければいけない12には動きがあるじゃろ。それまで諦めろ」
(やばいやばいやばい。今回の件で気付かされたけどこれどうやって本来の目標に軌道修正すればいいんだ? とりあえず勉強はしとかないといけないだろ? で、高校生活でちやほやされるために運動・・・・・・は今のままで十分か。あとはパーティーのために教養だろ? パーティーは最悪あと4年ナシか・・・・・・あれ?)
一蘭はやっと己の現状を知ることになった
(やばいやばいやばい。とりあえず勉強は・・・・・・)
気が動転したのか、状況が詰んでいる事を受け入れられなかったのか一蘭は先ほどと同じ事を考え始めた




