『第二回課外訓練<大自然に触れてみよう>』
『第二回課外訓練<大自然に触れてみよう>』
(うん、知ってた)
柳と一蘭は”あの山”の麓に来ていた
「ルールを説明するぞ」
「はい!」
「10秒やる」
・・・・・・?
一蘭は柳の一言の意味が分からなかった。しかし
「っ!?」
次の瞬間、一蘭はその場を全力で離れた。柳から今までに感じた事のないほど圧のある殺気を感じたからだ
“この山で柳から1日逃げる”
これが今回の修行内容である
「10」
柳は一蘭を追いに山へ全力で駆けた
一蘭と柳が本気で行う超次元鬼ごっこ。両者共に風よりも早く、音もなく動く事ができる。存在を消して相手を撒くこともできる。柳は一蘭の事を殺しても構わない程度のリミッターを外した。そしてその殺気を感じた一蘭も捕まったら殺される事を覚悟して全力で逃げた・・・・・・はずだった
「!?」
地を蹴って一瞬で移動した柳は目の前の状況に驚いた
先には一蘭が目を閉じて空を見上げながら立っていた
「しまった!」
柳が驚いた一瞬。その一瞬をついて一蘭は柳から数十メートルの距離を取って逃げ始めた
舐めプか?
否
これが一蘭が考えた最善策である
(一瞬の判断を求められる場面では感覚派のジジイと理論派の僕では、感覚派のジジイの方にぶがある。理論立てて組み立てる間に捕まってしまう。だから10秒で全てのルートを決めた)
一蘭は空間認識と超高速演算を使って、状況に合わせて逃げるルートを計算した。いわばこの山のナビを即席で作った
・・・・・・
(ちっ、差が縮まらんの)
あれから数時間経っても2人は速度を落とすことなく走り続けている。数時間経っても柳が最初に作ってしまった一蘭と柳の距離は変わっていなかった
直線距離ならば柳の圧勝である
しかしここは森の中。一蘭は木の合間や高低差を利用して直線距離での勝負を避け続けていた
柳は木を薙ぎ倒すなどして仕掛ければ少しは差が縮まるが、その後の一蘭の完璧な対応によって追撃ができないどころかその対応に今度は柳が反応しなければいけないため結局差は元に戻る
一蘭は柳に常に有利な2択を強制して、柳が取った選択肢に後出しで対応する。一蘭が10秒で作った策が完全にハマっていた
・・・・・・
同じ状態が続く
・・・・・・
この状況で先に動いたのは意外にも一蘭だった
(今!)
木を使って旋回した一蘭は柳の背後をとった
「おら、どっか行けジジイ!」
「ぬっ!?」
一蘭はそのまま柳に蹴りを入れた。その攻撃をガード出来ずに直撃した柳は木の枝を折続けながら下に落ちて行った
「あ! ジジイって言っちゃった!」
柳の殺気の圧から解放された一蘭が最初に思った事はこれである。やはり彼は少しズレている
「とはいえ、まだ全然油断できない。あのジジイのことだから絶対何か隠している。とりあえず気配を消して全対応の構えを・・・・・・」
第二ラウンド突入




