ちやほや≠ハーレム
「一蘭、今朝の件、あなたなら分かりますね?」
ちとせの前で一蘭は正座させられていた
「はい」
「貴方が家族の事を大事に思っていることはよく知っています。あと、けやきと満更でもないことも」
(まあ、バレてるよな)
一蘭とけやきの終わらないスキンシップをちとせが何度も止めていた
「貴方にこんな事言いたくないのですが・・・・・・」
(あちゃー、これでもう母とイチャイチャできないか)
「せめて12歳まで待ちなさい」
「・・・・・・はい?」
一蘭は、ちとせの言葉が予想外だった事、またその言葉の意味が分からなかったことから張りのない返事をしてしまった
「はあ、本当はけやきに言うべきなのですけどね。子供の貴方に言うのが恥ずかしいです。ですが、貴方に線引きをしてもらうしかないのです」
この世界の子供は12歳で婚約・結婚について考える。なぜなら男の子は12歳から男性として扱われ、社会的特権を使うことができるからだ。その特権によって男性は結婚相手選びにある程度の自由が効く。それにはにはもちろん年の差婚も含まれる。国からすれば、それで子供が出来るのなら構わないからだ。近親相姦による血の問題も、発達した医療で解決されている。倫理観的に親子はグレーゾーンだが・・・・・・
「あ、そういえばお祖母様、質問があります。僕の婚約などはどうなっているのでしょうか?」
一蘭は丁度男女の付き合いの話が上ったので、ずっと気になっていた事を質問した
「それは・・・・・・」
すると今度はちとせが言葉に詰まった
社交界に一度も出ていない一蘭には様々な噂が飛び交っている。その類の噂は悪いことの方が多い。見たこともない男の子を家に迎えるのはリスクが高すぎる為、申し出る人がいない。
いや、中本家の嫡男という名前を欲して近寄ってくる人はいるが、そう言う人達はもれなく家の格が低い。あまり家柄に興味はないが、ぽっと出の新興貴族に名前という権力を渡すわけにはいかないのである
「私が当主の内に必ず決めます」
(ん? なんか急に命を賭けているような重たい話になったぞ?)
けやきが当主になったら、確実に一蘭を家から出す事はない。よって、ちとせは自分の代でせめて一蘭の婚約候補だけでも決めようと思っていた
「やはり一蘭は恋愛婚がいいですよね?」
ちとせはいずれは避けて通れない話題であること、更には今ならけやきがいない事からこの機に具体性を持たせようとした
「いや? 僕は政略結婚でもいいですよ」
「え!?」
「え?」
一蘭の言葉にちとせは驚きを隠せなかった。なんとなく、言葉にはできないが、一蘭は政略結婚を嫌がると決めつけていたからである
「家の為とか、そういう難しい事は抜きにしてください。それでもどちらでもいいですか?」
「はい、構いませんよ」
「そうですか・・・・・・」
(てっきり、けやきやかくらの様に愛し方に少々難があるのかと思っていました。これはいい誤算ですね。ただ・・・・・・)
「問題は母と妹ですよね。あとは、共学に通うのは高校からだというのも厄介ですね」
ちとせの思考を読んで問題点をあげた一蘭は表では淡々としていた。しかし、心の中では
(よしよし、これで女の子との関わりが増えそうだぞ!)
彼は決してハーレムを作ろうとしている訳ではないし、数多の女性から貢がれようともしていない。彼にとってのちやほやはSNSで例えると、いいねやリプ欄で褒められることであり、DMで愛を伝えられる事ではないのだ
(前世の日本で生きてた僕からしたらハーレムは非現実的だな。それにハーレムにあまりいいイメージを持ってないんだよな。雰囲気好きなラノベに急にキャラが増えて冷めることもあったくらいだし・・・・・・それに、ちやほやって周りから褒め言葉がコソコソ聞こえるくらいが1番気持ちいいんよな!)
彼の承認欲求は前世基準である。客観的にすごい事をしてそれを周りに褒められるのが目標であり、その為に日々努力をしている。今世の男性のようにただ存在するだけで褒められるのは一蘭の中では解釈違いだった
「一蘭? どのような方がタイプですか?」
「は、はい! タイプですか・・・・・・しっかりとした性格の人がいいです!」
一蘭は理想のちやほやについて考えていたせいで、ちとせの話を聞いていなかった
(まあ、この世界の女性は皆んな顔がいいからなあ)
「顔や資産の前に性格ですか・・・・・・一蘭らしいですね。一蘭の性格に合いそうな人をこちらの方で探しておきます。それと同世代との交流についてもけやきに掛け合って見ますね」
「お祖母様、ありがとうございます!」
一蘭のちやほや計画が少し進んだ




