一蘭の変化
今までの一蘭からは考えられないようなスキンシップにかくらとけやきは驚いた
かくらは”口に”とお願いするのは彼を困らせてしまうかもしれないと考え、あえて”キス”だけを求めた。口にはしないだろうから、キスの場所は、ほっぺかおでこかのどちらかだと予想していた。勉強は中学生範囲まで進んでいるとはいえ、小学1年生であるかくらの性知識ではこの3つが限界であった
けやきも、たかを括っていた。勉強があり得ない程できる一蘭とは言え、そっちの知識はまだまだ先だと思っていた。よって止めはしたが、所詮は子供のお遊び、子供ながら寂しい思いを耐えたかくらにご褒美を与えて良いと思っていた
しかし、一蘭は、2人の予想を超えて、ハグをして愛おしさが溢れたかのように首元へのキスをした
今回の件で、けやきとかくらが女として一蘭に愛してもらいたいと気持ちに変化が現れたように、彼も異性への態度に変化があった、いや意識的に態度を変えた
彼は命がいつ終わるのか分からないという当たり前のことを身をもって体験した。最近はすっかり忘れていたが、今世の目標は、きちんと努力して、周りからちやほやされる事である。今のままでは、ひたすら努力するだけのストイック、プラトニックな世捨て人となってしまう。自分から周りに褒めてと強請るのは虚しいことだが、少し位は自分から行動を起こさなければそのチャンスは巡ってこない。よって自分の気持ちをもう少し外に出すことに決めた。前世の経験・知識と今世で会得した気を感じる力、この2つを駆使して異性とキャッキャウフフしようと考えた。その最初として、自分に気があるけやきとかくらとイチャコラすることにした
「い、一蘭?」
目の前の衝撃映像にしばらく固まっていたけやきが一蘭の正気を確かめた。一蘭が怪我でどこか壊れてしまったのではないかと少し心配していた
「・・・・・・大丈夫ですよ、母さん。今度何かお世話になったら母さんにもシテあげますから」
けやきは名前を呼んだだけで、正気を確かめているとは言っていない。しかし、一蘭はそれを感じ取って大丈夫だと答えた。柳との修行の成果だが、一蘭はこの技が恋愛(?)の駆け引きに応用できると考えた
「ひゃ、ひゃい。がんびゃりましゅ」
一蘭から放たれる雰囲気と魅惑的な言葉、けやきは刺激が強すぎて碌に喋られなくなっていた
本来、彼が纏っていた人を寄せ付ける不思議な力に加えて、相手が欲しがっている物や言葉を感じられる力、ヤンデレホイホイの完成である。幸か不幸か、彼の感性が少しズレているため、的外れな解釈をする時がある。これで全ての人が完全な一蘭依存症、廃人になることはない
頭がパンクして彼の腕から今にも落ちそうな体勢のかくらと一蘭の言葉に同じく頭がやられたけやき、この2人は完全に一歩手前まで来ているが・・・・・・
一方で、目の前の惨状を生み出した本人は困惑していた。一蘭は自分の気がどれほど相手にとって毒となり得るか把握していなかった。今後の線引きを見直そうと思った
・・・・・・2人がいつまでも治らないので、一蘭はちとせの家まで行って助けを求めた。ちとせは呆れて2人を引き連れて行った
『一蘭、後で話があります。分かっていますね?』
最後にそう言われた一蘭は、初めて向けられた祖母の怒りの顔に戦慄した




