正体の仮説
(やっぱりそうだ)
“解なし”
この答えを求めた人物は、とても満足したような表情をしていた
(あ、出口だ)
しばらくするとどこからか扉が出てきた。彼は直感的にそれが出口だと分かった。いつも慎重な彼には珍しく、躊躇いなくドアを開けて先に進んだ・・・・・・
「・・・・・・」
「目覚めたか」
柳の言葉からは緊張が解けた様子が感じられた
「・・・・・・は、い゛!? い゛ででででで」
一蘭が起きあがろうとした時、彼の体は悲鳴をあげた
「無理せんで良い。呼吸するだけで激痛が走るじゃろ」
柳は、呼吸するのにも精一杯、喋る余裕もないだろう一蘭を寝かせて布団をかけ直そうとした
「痛ってー。師匠、あれからどのくらい経ちました?」
「はぁ、お前さんはちっとも言う事を聞かんの。今はその日の夜中じゃ」
弟子の頑固さに呆れながら柳は答えた
「そうですか」
(半日、あまりにも短か過ぎる。書いても書いても埋まらない空間、永遠とも感じる時間、僕はひたすら式を解いていた。そこで1つの仮説が立ったけど・・・・・・けどさぁ、こう言うのって普通前世の記憶とか見るんじゃないの!?)
「みんなにはとても心配させてしまいましたね」
「先に家族の話とは・・・・・・お前さんは、やはり」
「?」
一蘭はその言葉の意味が理解できなかった
「よい、こちらの話じゃ。そうじゃな、かなり心配しておった。 ああそうじゃ」
柳は頭をゆっくりと下げた
「すまんかった」
「・・・・・・顔を上げてくださいよ、別に師匠のせいではなかったでしょう。僕が不注意だっただけです」
・・・・・・
(えー、このジジイ顔上げないんですけど)
「では、少し話をさせて下さい」
顔をあげない柳に、これでチャラという風に一蘭は提案した
「無茶をするな、本当は泣き叫びたいくらい痛いじゃろ」
「・・・・・・よく分かってますね」
「なんども体験したからな」
この痛みに関しては完全に割り割り切っているのか、柳は淡々と答えた
「その体験の話もそうですが、いくつか質問してもいいですか?」
「お前さんはいつも我慢をする。ワシが限界だと判断したらその時点で寝てもらう。せっかく目覚めたのに、また寝込まれたらワシの命がないからの」
「・・・・・・かくらですか? 母さんですか? どっちもですか?」
「妹じゃ、よく分かっておるではないか。はっはっはっ」
(どこに笑える要素があるんだよ)
「どうせ痛みで寝れませんよ。痛みを紛らわせたいので少し話をさせてください。ではさっそく・・・・・・」
「!?」
「どうですか? 僕のこと認識できます?」
「あ、ああ出来るぞ」
「「普通に」」
「よかった。では次は質問します。別に答えなくてもいいですよ」
一蘭が立てた1つの仮説
「師匠は・・・・・・」




