大自然には危険が潜んでいる
「・・・・・・つまらんな、というか気味が悪い」
「え?」
「漢詩もそうじゃが、お前さんの言葉選びは的確すぎる。機械が言葉を選んで、最後に申し訳程度の人間味を出しとるような感じがする」
「・・・・・・」
「客観的に見れば素晴らしい詩であろう。これにケチをつける者は、お前さんの詩を毎日見てきたワシくらいじゃな。しかし、『教養』とは知識・学問を身につけて心の豊かさを養う事をいう。これでは手段が目的となっておる」
「はい、申し訳ご」
「これに関しては始めにひたすら教材を読ませたワシが悪いの、化け物を普通の物差しで測ったのが間違いじゃった」
「師匠、化け物とはあんまりでは・・・・・・」
「元から人の域を超えておったことくらい自覚しておるじゃろ。話を戻すぞ。そんなお前さんには、
『第一回課外訓練<大自然に触れてみよう>』を行う」
・・・・・・は?
「よし!てっぺんまで走るぞ、並走してこい。その間に景色を見て登頂で一句詠む。今度は別のルートで山を下ってその間に景色を見て麓で一句詠む。よいな?」
(いやいやいやいや、ここまでの情報量が多い! 整理すると①山の前まで結構な距離走ってきた②着いた先の山を、階段ダッシュならぬ山ダッシュする③その間の景色を見て一句詠む・・・・・・なぁにこれぇ?)
「山犬には気をつけよ、あればっかりはどうしようもならん」
(狂犬病か)
「構えろ」
「あ、はい!」
次の瞬間、その場から2人が消えた
「・・・・・・はあ、はあ、はあ、はあ」
「ほれ、早よ詠まんかい」
「け、景色を見る余裕が、あ、ありませんでした」
「では麓で二句じゃな。詠まんとどんどん増えるぞ景色を肌で感じろ」
「はぃ」
再び、彼らの姿が消えた
「・・・・・・鳥などおらんかったじゃろ?」
「うげぇ」
(バレた)
「ふむ、五句加算じゃな」
・・・・・・
(何往復かしたら景色を見れる余裕が出てきた。けどまだ合格はしていない。当たり前か、見てる物を機械的に抽出して句を作っているなら今までと何も変わらないからな。どうすっかなー? 打開策が思い付かない。キーワードは『自然を感じる』だけど・・・・・・視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚はすべて試した、次は所謂第六かn!?)
一蘭の五感は限界まで研ぎ澄まされていた。それは柳の思惑通りであり、この山ダッシュはここから一皮剥けるための修行である。第六感、第零感とは違ったナニか、こればかりは口で説明できるものではない。よって自身でキッカケを掴み会得するしかないが、そのキッカケは人それぞれである。様々な要因を考えた柳は一蘭の閉鎖的環境に目を付けた。その見立ては正しく柳はあと数往復で一蘭が覚醒すると確信していた。しかし・・・・・・
.------.--!---?、?.!? !?. —-!? —??? .——! ¡ ! .--?!? ¡ !??? ¡
このやり方は柳が想定していない致命的な危険を孕んでいた




