入学式
かくらの入学式当日
「お兄様、私心配です」
「大丈夫、すぐに慣れるよ」
「それでも不安です・・・・・・お兄様、行く前に抱きついてもいいですか?」
「もちろんいいよ」
「なっ!」
「はぁ」
不安なフリをして一蘭に甘えるかくら、抵抗せずになすがままにされている一蘭、それを見過ごせないけやき、何度目かの光景に飽き飽きしているちとせ
「一蘭はかくらに甘すぎます!」
「では母さんもどうですか?」
「〜〜♡ いきましゅ!」
「こら! けやきもかくらも離れなさい。悪いのは一蘭、貴方もですよ。この2人を断ることも覚えなさい」
「お祖母様、これは当然のことなのです! これが私達のデフォです!」
「抱きついたりして何が悪いのよ! 一蘭も納得しているわよね?」
「お祖母様の言うとおりですね、少し調子に乗りました」
「「ガーン」」
「本当に、本当に一蘭がまともに育ってくれてよかったです」
「お祖母様、2人を任せました」
「ほんと、大きな子供もいるので大変です。そろそろ行きますよ」
「新入生代表として頑張ってくるので帰ったら1つお願いを聞いてください!」
「んー、頑張ったらね」
「やった! なんでもですよ」
「なんでもとは言ってなかったはずだけどなあ」
「私も! 私も運転頑張るから何か1つお願い聞いて、ね?」
「母さん・・・・・・今日はかくらの晴れ舞台なのですから、かくらに譲ってはどうですか?」
「ガーン」
「それでは行ってきます!」
「うん、気をつけてね」
・・・・・・3人の見送りを済ませた後、彼は道場への支度をした
〜〜〜♪
ご機嫌な男の子が1人で大通りの真ん中を歩いている。しかし誰も見向きしない
周辺のありとあらゆるもに一切の干渉をせず、逆に彼自身はあらゆる影響を受けて流す。自然体や存在感を消すとはまた違った柳流の常態である
上げて分けられてなお顔下まで届く前髪、彼のこだわりであるC6の位置でローポニーテールにまとめられている横髪と後髪、道場の修行服の上にちとせからもらったお気に入りの和風ロングコート、これが今の彼の見目形
そんな彼はまだまだ4月の冷たい風となりながら道場に向かっていた




