一条蓮月視点
「ほんと男ってバカしかいないわね、同じオスならお猿さんの方が賢いわ」
彼女の元にはたくさんの誘いが来ていた
『〇〇様がお呼びだ、光栄に思え!』
『今度開くパーティーのパートナーにしてやるから来い』
このような内容の手紙が毎週山のように届く
(・・・・・・)
万が一に備えて一応全てに目を通す。過去にこうした手紙の中に重要案件を忍ばせてくる悪質な嫌がらせが何件かあった。手紙を見ずに捨ててしまえば、知らせを渡したのに不手際だと責め立てられる。一時期そういった形式の手紙が流行ったが、当時の一条家女当主が『最近は手紙の書き方を知らない人が多い』と溢したことにより一旦は終息を迎えた。しかし、彼女たちは警戒を怠らない。それ程までに男性を信用していない
(今週も全部廃棄ね・・・・・・あら?)
尋常ではない速さで、淡々と事務的に目を通していた彼女は最後の一通の送り主に目を止めた
『中本 ちとせ』
(“あちら側の顔”がなにかしら?)
度々話にあがる上流階級も一枚岩ではない
一条派:旧華族(特に公卿)が日本の中枢を担う現状を保守する思想
穏健派:家柄のみではなく立身出世など個人の能力も認める現状に拘らない思想
過激派:チャンスは全ての人に等しくあるべきであり、現状を打破する思想
中立派:権力争いに干渉したくない/できない
一条派以外の派閥に特に名前がないのは、勢力が少ないため、また、纏まって動く意思がないからである
穏健派は中本家が家柄的にリーダーに相応しいため、中本家が派閥の顔として認識されている
過激派は、いわゆる成金が掲げている思想であり、2つの勢力に負けないだけの由緒ある家がない。また、市場争いによる内部での足の引っ張り合いで派閥内の発言力がコロコロと変わるためリーダーを決めることができない
ちなみに柳景辰は中立派である
手紙はどちらから出すかで意味合いが異なる。
本人達が名乗り出ていないだけで穏健派のトップとされている中本家の現女当主から一条家、更には娘の蓮月に手紙を出すのは降ったと思われてもおかしくはない
(ほんと自由な方ね、少し羨ましくもあるわ)
一条家としては穏健派の行動は目くじらを立てるほどではない。彼女たちは勝手に拾ってきた才能を育てて世に放つだけなのだから、優秀な人材が増えてむしろメリットさえある。ただし、家柄だけが取り柄の一部の一条派からしたら仕事を取られる不安がある。一条家からしたらそのような無能はいらないのだが、派閥に示しがつかないので一応の対応をとらざるを得ない。一条家は煩しそうに、中本家はそんな相手を可哀想に思いながらのやり取りであるため本人たちは何とも思っていない。しかし、家柄が家柄だけに周りが色々と邪推してしまっている
そんな現状で出された手紙の内容は・・・・・・




