喜び、独占欲、嫉妬、意地、懺悔、恐怖
「こと〜」
「けやきちゃーん! 久しぶりね!」
「ほんとに久しぶり! 講師になったのは知ってたけど実績ナンバーワンの有名人だとは知らなかったわ、ほんとにテレビに出てきた時はびっくりしたんだから!!」
「偶然教えた子が元々優秀だっただけよ。それよりこの子が一蘭ちゃんね。ちとせさんからも挨拶の文が来た時は何事かと思ってびっくりしちゃった。よろしくね!」
「はい! 先生の実績に傷を付けないように頑張ります! よろしくお願いします」
(祖母は出向く先々に挨拶の手紙出してるのか。マメだなあ)
行く先々だけではなく各界のトップに出しているのを彼は知らない
「ふふっ子供がそんな事気にしなくていいのよ。それにしてもかわいいわね」
「ことは子供を持とうと思わないの? やっぱり仕事の実績関係?」
スッ 「私はいいのよ」
"あ、なんかあったな(わね)"
2人はこれ以上この話をしてはいけないと悟った
「そ、それじゃあよろしくね!今日は一蘭の希望もあって最大時間にしたから18時に迎えにくるわ。またね一蘭」
別れ際かくらは一蘭を抱きしめて更に一言放った
「ことでも容赦しないから」
"あ、親友でもダメなんだ(なのね)"
今度は一蘭とことが悟った瞬間だった
「もちろんよ、それとも信用できない?」
「っ! そんな事ないわ、ことにしか任せられないと思ってるわ。本当よ?」
「それでは母さん頑張ってきます」
「じゃあね〜」
「・・・・・・それじゃあ部屋に向かいましょう」
「はい!」
(ん? へや・・・・・・?)
「さあ着いたわよ今日からここが一蘭くんの自習室ね、荷物とか上着はあそこに置いてね。まずは筆箱だけ持ってきて。簡単な自己紹介からするのであそこの席に座りましょう」
(これはやりすぎやろ・・・・・・)
ホテルの部屋のような広さに無駄なものが一切なく勉強する環境としてはこれ以上ない光景が目の前にあった
「? 一蘭くん?」
「あっ、はい。すぐ行きます」
21年分の庶民感覚がまだ抜けていない彼である
その後本当に簡単な自己紹介を済ませた。
(こっちが分かったのは彼女の名前は『西園寺こと』で母とは小学校から高校までの同級生で大の仲良し。逆にあちらは僕のことをほとんど知っていた。大方母から聞いたんだろうけど・・・・・・西園寺といえば前世では相当な家柄か。流石名家の男子を主に取り扱うだけある。それほどの名の格式が必要ってことだ。)
本当はちとせの手紙に彼のことが事細かに書かれており、ことも手紙で彼のことを知っていたのだが彼が知るわけがない。ちなみにその手紙は各界に行き渡っているが「いわんや〜をや」というやつである
「さあ自己紹介も済ませたしけやきからは出来るだけ一蘭くんの時間と意思を大事にしてほいしと言われてますから早速始めましょう」
「よろしくお願いします。実は持ってきた教材というかタブレットがあるのですがそれを見てもらっていいですか?」
「あら、そうなの! どのくらいの教材から始めればいいのか分からなかったからちょうどよかったわ!」
嘘である。一蘭の実力はちとせの手紙で分かっている。そもそも自分なんか向こうから直接手紙が来るなんてことはまずない。年や経歴、お世話になった過去を考えればこちらから連絡を取るべきである
(それでもちとせさんの方から来たということは相当な事。けど内容が「5歳の孫がすでに私より賢いです!」 なんて、ね)
ちとせを疑っている訳ではないが自分の目で確かめようとした
「・・・・・・」
「ーーで、これの文ですけど。このthat がどこにかかってるか分からなくて。多分ここから文を間違って認識してたんだと思うんですよね・・・・・・」
「・・・・・・」
「あれ? 先生?」
初めは彼が持ってきた中学校入試の質疑応答をした。彼は少し説明すればきちんと答えられたためちとせが言っていることは本当であったと疑った自分を恥じた。けどそこで変に意地になってしまった。手紙の中にあった『私より賢い』という言葉は彼女にとって見過ごせなかった。ちとせの元で学んだ彼女は目の前の子供がすでに師から認められていることに若干の不満を覚えた。このくらいの難易度ならちとせを越したとはいえないのではないか?ちとせも孫可愛さの誇張なのではないか?そこで彼女はレベルを隠して問題を渡した。『京帝大志望なのでしょう? すこし早いけど手も足もでないなんてことはないと思うわ、できなくても恥じることもないしやってみない?』我ながら情け無いと思った。一蘭に問題を渡す時は子供相手に変に意地を張ってる自分を惨めに思って泣きそうになった。だかそれくらい彼女にとって師という存在は大きかった。
それは合格者平均がぶっちぎりで過去最低を叩き出した文句なしの最難関問題。特に数学の平均点は 37/200 点。ほとんどの受験生の手がとまり、日本全国から集った天才・秀才・鬼才でも最後まで書き切った満点者は3人しかいなかった
(僕の名前は一蘭、前世の記憶をもつことを除けばごく一般的な5歳児だ。時に諸君、受験生に大学受験で最も怖いことを挙げろと言われたら何を思い浮かべるだろうか。名前の書き忘れ、受験票のミス、急に来る腹痛、その他色々あるだろう。しかし誰か1人くらいは『数学の問題文が一文しかない』を挙げると思う。『tan 1° は有理数か.』は前世で語り継がれる恐怖体験である。そして今言えることがある・・・・・・当時の方々今までネタにしてすんませんでしたああああああ!)
1.
p ³- 4p + 9 が平方数となるような素数pを全て求めよ.
2.
実数に対して定義された実数値をとる関数fであって、任意の実数x , y に対して
f( yf(x) - x )= f(x)f(y) + 2x
が成り立つようなものを全て求めよ.
3.〜
〜〜
〜〜〜
4.〜
〜〜
〜〜〜
(4問中2問が一文のダブルパンチかよおおおおおおお!)
[次回持ち越し]
1. の引用先 (09 Turkey)
2.の引用先 (16 JMO 本選4)




