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医師に必要なもの

・・・・・・


(畳に正座をしてどんくらいだったんだろ?時計ないから永遠に感じる)


「・・・・・・一蘭といったか、崩してよいぞ」


「はい!」


「・・・・・・」


(それだけかよおおおおおお! こいつ案外コミュ症なんじゃね?)


そんなことを考えていると不意に質問が飛んできた


「お主はこの道場で何を学びたい?」


「護身術、ではないのですか?」


「質問が悪かった。この道場で必ず身につけられるとしたらどのような技を望む?」


(難しい質問だ。まず5歳児にしていい内容ではない。欲しい技能か・・・・・・やばいあいつの表情が険しくなってきた。なにか、なにかないのか。前世で欲しかったもの、足りなかったもの・・・・・・)


「・・・・・・恐れながら2つあります」


「よい」


「1つ目は己を律する力」


『人生を豊かにしたいなら報酬系のドーパミンを如何に制御するかだよ』


度々登場する前世のある教授の言葉だ


「人生を制御するのではなく己を制御することで逆に人生を豊かにしたいからです」


「・・・・・・」


「2つ目は人の常態を捉える力」


「ほう」


(目が鋭くなった!? これはあれだ、前世の面接対策で学んだことだ! 深掘りせよとの合図)


「私は将来医師になりたいです。医師は問診から得た少ない情報で正解を導き出さなければいけません。一般人である患者から取り出せる知識には限界があります。そこで常態からどこに歪みが生じて病態になっているのかこちらで捉える必要があります」


(反応なし、続けろってことか)


「人は例外なく外界的要因を受けて自己を形成します。常態を捉えることはこの外的要因を捉えることと同義であり、この力を用いれば患者の社会的背景や生活習慣が分かるようになると私は考えています。以上です」


前世の大学受験の面接対策と大学で学んだ座学や実習を踏まえて考えた彼の答えであった


「相分かった」


・・・・・・


それからの沈黙は母が迎えに来るまで続いた


「先生今日はありがとうございました。息子の様子はいかがでしたか?」


「いい目をしている。が、まだ若い。正しく指導すれば必ず大成するだろう」


「まあ! ありがとうございます。先生になら厳しくご指導してもらって構いません」


(ふぁ!? これほんとに母か?)


いつも過剰なほど息子を大切にしている母からは考えられないような言葉の数々に驚きを隠せなかった


(習い事を受けたいと言ったのは僕だけどまだ何をするとも聞いてないしこれから大丈夫か?)


母と先生がまだ話している中、彼は今後のことに不安を覚えていた

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