それはあるとき突然に
(あ、これ転生してるわ)
その瞬間、彼に大量の情報が脳に入っていった。激しい情報処理による焼き切れるような痛みと海馬に送られる信号によるかつてない(前世も含め)快感に彼は意識を失った
「一蘭? よかった目が覚めたのね・・・・」
(長い夢を見た、内容のほとんどは前世のものだったかな? 今が自我も芽生えたての3才、一方前世が21歳だったから経験量の差で当然といえば当然か・・・・・・)
「患者さんが意識を取り戻しました! 主治医の方に連絡を!」
彼がしばらく思考をとばしていると、担当医が入ってきた
「よかった目が覚めたんだね、確認のために自分の事が言えるかな?」
「あ、はい。なかもといちらん、3さいです。おばあちゃんとははといもうとがいます」
(父親は知らない。家のことをやっているのは母と祖母であるが家庭は前世基準だと裕福で少なくともずっと息子の見守りをできるくらいは仕事に余裕がある)
前世基準であればかなりの職種であるだろう。そう、前世では・・・・・・
(今世基準でもいい職についてるだろうが子供に数日付きっきりで看病するのは少し無理がある。それよりももっと大きな要因は、僕の予想が正しければ・・・・・・)
「ヨシ! 意識はしっかりしてるみたいですね」
「先生今日までありがとうございました。それでは私は退院の手続きをしてきますね」
「・・・・・・いえ万が一もありますし、大切な男の子ですからあと数日入院しておきませんか?」
「それがいいかもしれませんね、お母さまもここ数日付きっきりでお仕事に手が回っていないのでは?」
「・・・・・・ご心配には及びません。仕事場の方には連絡をとっておりますので」
「しかし、」
「大丈夫です」
母vs看護師&女医が笑顔で火花を散らしている様子に恐怖を感じながら彼は再び思考に戻る
(父親がいない、医療スタッフが全員女性、なにより’’大切な男の子’’・・・・・・ここから導き出される結論は)
“これ、男女比狂ってね?”
そう、この世界の男女比は1:10
男性が大切にされ優遇される世界である