表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大竹村丸物語  作者: 骨皮 ガーリック
83/97

80話 出現

『緊急速報です。ただいま入ってきた情報によりますと、ハワイから北に20km程の位置にあり、海面からはおよそ20kmの高さに突如巨大な島が現れました。


その島の直径なんとおよそ300kmにも及びます。このような状況に際してアメリカも混乱しているようです。戦闘機が付近を飛行したところ謎の気流に呑まれ、制御不能に陥り海に墜落してしまったとのことです。操縦者は無事にパラシュートで脱出したとのことです。


浮島を発見してから既に8時間経過していますが追加情報はありません。衛星からの浮島の映像はどれもぼやけていて何もわからないそうです。どのようにして現れたのか、どのようにして浮いているのか、全てが謎のままとなっています。続報が入り次第お伝えします。デマ情報に惑わされないように注意してください。今のところ危険はありません。危険はありませんので慌てずに』


朝食を食べながらテレビを観てると、動物の映像から突然切り替わってアナウンサーが深刻な表情でニュースを伝える。

なんじゃこりゃ、朝から騒がしいな。何かの情報操作か?何かこの裏で重大なことが起こってるとか、それをこの意味不明なニュースで誤魔化してるとか。ありそう。


それにしてもなんのために島を浮かせてるんだ?俺もやりたい。自分だけの島とか作ってみたい。



3日後。

『カーテンの隙間から漏れる太陽の光を見つけて、少しでも日に当たりたいって気持ちがこの猫ちゃんからは伝わってきますねー。お腹の1部にしか当たってませんが幸せそうな顔をしてますねー。

たった今続報が入りました。件の浮島ですが、魔法の力によって浮いているそうです。謎の気流も恐らく魔法だということがわかりました。専門家の話によりますとこれほどまでの巨大な塊を浮かせ続けるのは不可能だと言われています。中層程度ではまず無理だと。下層でも限られた極わずかな者にしか出来ないと発表されていました。


他にも浮島から毎秒300トンの水が流れているそうです。1つ1つの現象が桁外れの力を示していると言われています。どれをとっても最上級の能力だそうです。


いったい誰がこんなことを行ったんでしょうか。現在24時間体制で見張っているとのことですが、依然有力な情報は掴めておりません』




4日後。

「大竹ー、なんか国の人から名指しで電話来てるよ」

「なんでー?」

「わかんない。なにかしたんじゃない?」

2階にいる岡島さんが部屋に伝えに来てくれた。国からの電話、思い当たる節はある。イギリスで暴れたやつかな。でも特定されるような事はしてないぞ。


「ありがと。

もしもし、大竹です」

『探索者総合取締役の赤木です』

「どうも」

『1週間前に突如ハワイ付近に出現した浮島の事はご存知ですか?』

そっちかー。

「はい、ニュースでやってるのを」

『そのことについてなんですが、大竹様にもご協力願いたくてお電話させていただきました

「俺が協力ですか」


『はい、他の下層探索者の方に順番にお電話をおかけしてます。非常事態により協力してもらえないでしょうか』

「はあ、内容は教えてもらえますか?」

『もちろんです。お時間はよろしいでしょうか』

「はい」


『やることは単純で、浮島の調査です。ですが、ニュースでも報道している通り浮島に近づくと謎の気流に呑まれて、近づくことが出来ません。そのためアメリカから協力要請が出ました。日本の探索者の力を貸して欲しいと』

「うーん、なるほど。わかりました、引き受けます」

『そうですか!ありがとうございます!

詳細は後ほど改めてご連絡致します。では、失礼します』

「はい」


まさかまさかの展開よ。

アメリカと協力か。アメリカの探索者ってどのくらい強いんだろう。ちょっと楽しみ。


「なんだった?」

「あの浮島に調査に行ってくれってさ。アメリカの人たちと協力して」

「大竹が?」

「そうそう、俺これでも下層探索者だからさ」

「ほぇー、すごいね。お土産よろしく」

「イギリスの次はアメリカか。ってことでどっかでしばらくいなくなるからよろしく」

「了解、その時は私がここに泊まり込みかな」

「いいよ、別にお客さんが来る事なんてそうそうないんだし」

「念の為だよ。それに一人暮らししてみたかったんだ」

「ならいいけど」

「あ、佐藤君から翻訳機借りてこなきゃ」


忙しくなるぞぉ!


その後電話があって、4日後の16日火曜日に新宿ギルドに来てくれとのこと。詳細説明が終わったらそのままアメリカに行くらしい。


俺以外の探索者どのくらい来るかな。

今からワクワクが止まらない。


その間の3日間、いつも通りにダンジョンに通った。



結構危険そうだから親にも念の為伝えておいた。結局最後はお土産の話になる。


その間にまたも続報があって、アメリカと日本が協力することが発表されてた。

日米の下層探索者が、一堂に会し浮島への突入を試みるそうだと。


そして、現在日本には25人の下層探索者がいることがわかった。結構増えたな。


それから日本の探索者が参加することを知って、またもたくさんのコメンテーターがぺちゃくちゃ話し合ってた。ありもしないデマ情報を雄弁に語る人も多い。発言力のある無能はめんどくさいなと俺は心の底から思った。


中には核心に迫る芸人さんもいた。

おい!本職の人の方が理解してないってどういうこっちゃ。


俺が知ってる分野の報道だからこそ、この人がテキトーに言ってることがわかる。知らない人からしたらこの人の言ってるとこが本当だと思っちゃうんだから怖いよね。

これからこの人の言うことは真に受けないようにしよう。この機会に感謝だな。




当日、1時間電車に揺られて新宿な着く。久しぶりだな、2年ぶりくらいか。

そのまま歩いて新宿ギルドに向かう。


受付の人に説明すると裏に通されて、応接室に案内された。この扉の先に下層探索者がいるのか。

ガチャ。

下層到達者は化け物です。

不可能を可能にすることなんて造作もないです。

そんなわけで一般人の常識と下層到達者の常識は乖離してます。

逆に一般の常識とかけ離れているからこそ下層に行けたのかも知れません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ