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大竹村丸物語  作者: 骨皮 ガーリック
80/97

77話 社員旅行

この作品内では20歳で成人です。

なので20歳で成人式が行われます。

お酒もタバコも20歳からです。

「えー、こほん。社員旅行に行きませんか?」

8月になって、ちょうどみんなが事務所に集まったタイミングでこの話題をあげた。

「なぜ敬語。僕はいいですよ」

「私もいいですよ」


「日にちは来月の頭なんだけども、なぜこのタイミングかというと、来月で俺が20歳の誕生日を迎えます。そうなるとめでたく全員が成人を迎えます。そんなわけで、成人祝いを兼ねて旅行に行こうということです」

「どこにいくの?」

「イギリスに行きます!」

「おー!」

「海外か」


「3泊5日!厳しかったら変更します!異議申し立てがある方は挙手を!」

「意義なし」

「賛成」

「反対は無しということで決定しました。出立日は8月31日!帰ってくるのは9月の4日の夜です」

「順次質問を受け付けます」



というわけで3人でイギリス旅行が決定した。佐藤君も岡島さんも案外ウキウキで安心した。



なんでイギリスか?理由なんて特にない。

今の若者に行動の理由を問うな!

行きたいから行く。それだけだ。


俺個人の意見として、世界を見ておいた方がいいと思った。いずれ世界に羽ばたくからな。


その第一歩として、魔道具製造量世界1位のイギリスがいいんじゃないかと思った。国民のほとんどが魔道具を利用して、日常生活を送ってる。イギリス国民の魔道普及率は脅威の97%だ。もちろんこの普及率は世界1位。


イギリスは老若男女問わずダンジョン、魔法が最初期から受け入れられて、より生活を豊かにするためにどこの国よりも先に魔道具による生活向上の安定を見つけた。


比べて日本での魔道具普及率は67%だ。

日本では最初期に若者が中心に積極的に取り組みを行った事で出遅れることになり、最初期はダンジョンによる死者数が年々増加していた。


若い世代が育ち、設備が整うことで死者数は減り、魔法、魔道具が普及していった。


日本は魔法、ダンジョン反対派がとにかく多い。その中で最も多くの割合を占めているのはシニア世代だ。未だにシニア世代が魔法は危険だと言い続けてる。

そのため普及率が良くない。


若い世代でも、貧富の格差により魔道具を揃えるのは難しい。





順調にダンジョンの攻略を進めていく。




8月31日。

成田空港からロンドンに飛ぶ。

張り切ってファーストクラスにしてみた。飛行機に乗るのは修学旅行以来だな。

約12時間、快適な空の旅を満喫した。


「ハロー!ロンドン!」

収納袋があるから、キャリーケースなんてものは必要ない。手ぶら状態でイギリスを観光する。


既に夜だから近くのカフェで夜ご飯を済ましてからホテルにチェックインして、そのまま部屋に入る。

一人一部屋取ってあるから広々と使える。


シャワーを浴びてから、大きくてフカフカのベッドに飛び込む。体は疲れていたのか、すぐにぐっすりと眠れた。


翌朝。

8時に部屋の前に集まり、朝食を食べてから、いざ!イギリス観光へ。


最初に行ったのはバッキンガム宮殿。

偶然だが、夏は宮殿内に入れるらしく、チケットを買って中を歩く。思わず見上げてしまう光景が続く。幻想的な造りが心を踊らせる。日本とは全く違う建築様式に目が離せない。


日本人の俺にとってはフィクションの中の世界に感じる。



衛兵交代式を見てから昼食にした。



午後は大英博物館に行くことになった。

石像、壁画、ミイラ館内全ての展示品を見終わった後、どっと疲れが来た。


佐藤君は展示品よりも展示品を保管するための魔道具が気になってたみたいで、なんか色々してた。

すっかり日も暮れて、ホテルに戻った。


ホテルで用意された食事を食べて部屋に戻り、シャワーを浴びて今日もぐっすりと眠った。




ピンポーン!…ピンポーン!…ピンポーン!

…何時だと思ってんだ?インターホンの音で目が覚めて時間を確認すると0時だった。

渋々ドアを開けて対応する。

「どちら様でしょうか?」

「これは寝ぼけてるね」

「私だよ!」

ぼんやりと佐藤君と岡島さんを把握する。


「こんな時間に何?」

「忘れたの?」

「今日、大竹の誕生日でしょ」

「そういえばそうか。忘れてた」

「せっかく成人を迎えたんだからパーティーしようよ」

「お酒買ってきた」

「準備いいね。俺の部屋でやるの?」

「うん、そのつもり」

「おっけー」




「それじゃあ改めて大竹君、誕生日おめでとー!」

「おめでと!」

「ありがとう」

今日の主役のタスキをかけてテーブルに乗ってる、お酒を手に持つ。


「乾杯!」

「「乾杯!」」

ぐびっと初めてのお酒を飲む。

うえ〜。アルコールの味がする。


「「プハーッ!」」

「2人とも勢いがすごいね」

2人はグラスに入れたワインを一気に飲み干した。

おかわりを注いで、テーブルに置かれたおつまみを食べながら、ワインを飲み続ける。

2人の飲みっぷりに思わず引いてしまう。


「お酒飲んでないとやってらんないわよ!」

突然の岡島さんからのカミングアウト。


「どうして恋人が出来ないのよー!!私優良物件じゃん!給料良いし、お金全然使わないから貯金も沢山あるし、何で彼氏が出来ないのー!」

2杯目ですでに酔ってるのか、来る前から飲んでたのかわからないが、フルスロットルだ。

「岡島さん美人なのにね」

そう、岡島さんは性格良いし、メガネ美人だし、メガネが無くても美人なのだ。黒髪ロングでスラッとしてて清楚美人。

つまり、性格が良い美人。彼氏がいない理由がわからない。


「そもそもこの仕事じゃあ、出会いが無いのよ!2人は私に構ってくれないし!仕事量少ないから事務所に行くことがほとんどないから外に出ないし!やりたいことは家でできちゃうし!いい環境すぎるの!」

なるほど。出会い自体が無いからか。


「社長、良い職場って言われてますよ」

「実質的な社長は僕じゃないでしょ。名前だけの置物社長だよ。お金出してるのも大竹くんだし」


「2人は恋人欲しくならないの?」

「僕はいるよ」

「「えっ!」」

「親同士が仲良くて物心つく前からの幼なじみなんだけどね。中学の時から付き合い始めたんだ」


「幼なじみと付き合うなんて羨ましい!私の幼なじみは女子しかいないし」

「彼女いるのに作業場に引きこもってるの?」

「通話で話せるし、彼女も大学が忙しいから、こっちからは誘いづらいんだよね」


「きゃー!可愛想!彼女が可哀想だよ!絶対会いたがってるよ!」

「んー、そうなのかな」

「あー、これはダメな彼氏だよ。彼女のために会わないとかそういう彼氏は愛想つかされるよ。もっと自分の気持ちを伝えなきゃ!

と、彼氏いない歴=年齢の私が言ってます」


「俺もそう思うな。きっと待ってるに違いない。佐藤君から誘ってくれるのを。

と、彼女いない歴=年齢の俺が言ってます」


「信用出来ないなぁ。2人の最後のセリフが信憑性を著しく落としてるよ」

「ごめーん。でも私なら絶対にそう思う」

「かたじけない。俺はよくわからない」


「それにしても岡島さんてそういうキャラだったんだ」

「私実は饒舌なの」

「よくここまで隠せてたね」



「昔は挨拶を交わすだけだったのにね」

「確かに、なんでか忘れたけど毎朝岡島さんに挨拶するようになったんだよね」

「私も最初はびっくりしたよ。なんだコイツって、でも挨拶されたら返すしかないし、いつの間にか当たり前になってた」


「1年の時は岡島さんと恋咲君しか話す相手いなかったしね」

「そういえば何故か、恋咲君とだけは話してたよね。ずっと不思議に思ってた」

「実はそこには涙無しには語れない深い━━━」

「恋咲君、最近色んなところに引っ張りだこだよね。ドラマにも、バラエティにも」


「僕は2年から知ったけど、オーラが凄かったよね。輝いて見えたもん」

「大竹は違った意味でオーラがあったね」

「確かにあった!初めて見た時、この人には近づかないほうがいいって本能が言ってた。でも自己紹介でダンジョン行ってるって聞いて、話しかけない訳にはいかなくなったんだ。話してみたら普通のいい人だったんだけどね」

「なんだよそれ、初耳なんだけど」

「普通本人には言えないでしょ」

「ね」



「岡島さんは高校で好きな人とかいなかったの?」

「高校はねー、本読んでたら1日が終わっちゃっててね」

「確かに休み時間ずっと本読んでた」

「私もそういう時期だったんだよね。今思うと痛々しいね」



「そういえば来年成人式だ。その後に同窓会があるって言ってたよね」

「うん。グループのメッセージに来てた」

「どれくらい来るんだろう」

「結構来るっぽいよ」

「そうなんだ、なら行こうかな」

「私も行くよ」

「僕も」



「ねぇ、私のできる仕事他に無い?」

「んー、無いよね?」

「うん。そもそもやること自体そこまでないし」

「それに、俺と佐藤君は仕事と思ってないしね」


「もうずっと副業のほうが作業時間長いんだよね」

「それならこっちを副業でいいんじゃない?」

「なっ!その発想は無かった。給料が良すぎるからこっちがメイン以外考えられなかった」


「デザイン関係の仕事してるんでしょ?元々やりたかったことなんだからそっちがメインでいいじゃん。お金があって困ることなんてないんだし、楽に稼げるのはいいことでしょ。まぁ、探索者に比べたら大変だと思うけどね事務仕事」

「そんなわけないじゃん。私から見たら命懸けで稼いでる方が大変だよ。まあ大竹は常識が無いからあれだけど。


それに私がやってるのは、ただ出された書類に目を通してサインするだけだからね。私から動いてやることが無いから仕事じゃなくて、作業だよ」

「嫌になったら言ってね」

「ならないよ。1時間もかからないしね。お金を気にせず、デザインに集中出来て感謝しかないよ」

「じゃあwin-winだね」

「そゆこと。こんな旅行にも連れてってくれるしね。残念ながら文句が一欠片も無いよ。

快適な人生が送れて幸せ…この生活に恋人さえいればね」


「今度、パーティーにでも行く?飯干さんから社交パーティー誘われてるけどめんどくさいから全部断ってるんだよ。岡島さんが行きたいならじゃんじゃん引き受けるけど」

「なにそれ行きたい!」

「それじゃあ今度伝えておくよ」

「わーい!これで私も恋人を!」


「それまでにドレスを買わないとだね。普通の格好で行ったら間違いなく浮いて誰も話しかけて来なくなっちゃうから」

「さすが、佐藤!」

「それも飯干さんに相談しとこうか」




「もうむり〜…あなたとはこれ以上やっていけない…」

「ボクは…ボクは…魔道具王になるぞ!そして世界平和を…手に入れぅ…」



2人はテーブルに突っ伏して見事に酔い潰れた。

2人を自室に運んで俺も寝る。

村丸は力持ちなので2人を同時に両脇に抱えて部屋まで運んでます。

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