72話 1年後
腑甲斐無い。
今日はお昼寝をして臨みました。結果はこの通り、寝てしまいましたが何度も不死鳥の如く起き上がりました。
そんなわけでこんな時間になりました。
1年後。
2031年19歳の夏。
変わらない日々を送っている。ダンジョンに通ってモンスターを倒しまくって、この前、59階を攻略した。
それと飯干さんの家によく行くようになった。飯干さん以外の専属は断っている。特に理由は無い。
時雨が去年からちょくちょく泊まりに来てる。なんでだろうか、パジャマパーティーがしたい、タコパがしたいといわれそのほとんどをやってしまった。大学生になってから外見にさらに磨きがかかった。
それから朝姫とはよくご飯に行くようになった。朝姫のキャンパスライフを聞いたりして、やっぱり大学には行かなくて良かったなと思った。朝姫は友達が多いから楽しそうでなによりだ。
俺はあえて友達作らないタイプだから大学はやりづらいと思う。普段はダンジョンサークルでワイワイやっているらしい。ダンジョンサークル内で朝姫はかなり優秀らしく、今年の新入生のお供を任されたんだとか。エンジョイタイプのサークルが朝姫には合っていて、先輩たちもみんな優しいと言っていた。
やっぱり俺とは真逆なタイプだな。
姉はといえば、プロのリーグでも活躍していて、今年は日本代表にも選ばれて世界で活躍していた。年末年始は実家に帰っていて、ばったり会ってしまった。姉と並ぶと身長差がすごい。未だに少しずつ伸びてるらしい。こちとら中学から伸びてないぞ。
姉には巾着タイプの収納袋を渡した。バレーボールが入るように。すごい喜んでた。
佐藤君は相変わらずで、いろんなものを造ってる。売上も上々で、俺が取ってくる素材以外にもいろいろ自分で買って試している。最近で出来たすごいやつは、共有収納袋だ。
遠く離れた場所でも2つが繋がっていて、例えば俺がダンジョンでしまったものを、事務所にいる佐藤君が取り出せる。ただしその収納袋がペアのものでなければならないようになってる。
俺が普段持ち歩いてる収納袋の相方は部屋に置いてる。今のところ大した使い道はない。便利なのには変わりないが。
岡島さんはいつも何も変わらない。ずっとパソコンの前で何かやってる。
そして今日は清麻呂とご飯に行く約束をしている。
かなり久しぶりで、前に会ったのは2年くらい前の夏の合同合宿の時以来だ。
個室の焼肉屋さんを予約しておいた。
「いよっす、久しぶり」
「おう、久しぶり」
「とりあえずお店入ろっか」
「そうだな」
2年前と変わらない清麻呂。
お肉を焼きながら話し始める。
「大学どう?」
「まあ、ぼちぼちだな。ダンジョン潜って、課題やって、バイトしてって感じ」
「清麻呂って友達いるの?」
「なんだよ急に」
「いや、俺って清麻呂のこと全然知らないなって思って」
「確かに村丸とはプライベートの話はしてないか。いっつも戦ってたな」
「それな、花が好きなこと以外の知らないわ」
「友達なら何人かいるよ」
「まじかー、俺と同じタイプだと思ったんだけど違ったか」
「同じタイプってなんだよ」
「孤高の存在?」
「それただ友達がいないだけだろ」
「そうとも言う」
「清麻呂はサークルとか入ってないの?ダンジョンサークルとか」
「んー、1回見に行ってやめたな。今はみんなとワイワイする時じゃないって思って」
「へー、今何階?」
「今51階だな。結構ゆっくりなペースで進んでるけど」
「どう?まだまだ行けそう?」
「ああ、まだ限界は先だな」
「俺も今59階だけどまだ行けるな」
「へー、もうそんなに行ったのか」
「清麻呂と違ってダンジョン潜るしかやることないからね」
「そういえばあの収納袋っていくら?」
「んー、20億くらいだったかな」
「そんなもんか。なら買うわ」
「了解」
「会社はどう?儲かってる?」
「わかんない、俺見てないから。全部任せてる」
「だよな。そんな気はしてた」
「俺には力があるからね。知能はもう捨てた」
「そうだ!俺新しい能力ゲットしたんだよ!」
「まじか!」
「ああ、そのおかげでだいぶ楽になった。」
「カオスだな。戦うの楽しみだわ」
「これでまだ実力に差が空いちまったな」
「はあ?俺の方が強いに決まってんだろ」
「俺だが?」
「それじゃあ俺も新しい能力取ってくるか」
「村丸には無理だな。俺ならできるけど」
「これ以上食べたら清麻呂がお腹壊しそうだから終わりにするか」
「そこは同意しておこう」
「それじゃあ帰るか」
「おう」
「今度どこかで戦おうよ」
「いいけど場所がなぁ」
「俺どっかの空き地買おっかな」
「いいじゃん、買ってよ」
「買うか!」
「そんじゃ、連絡待ってるわ」
「おう、じゃあな」
「バイバイ」
次回から新章です
物語も折り返しを迎えました。気合い入れていきます。




