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大竹村丸物語  作者: 骨皮 ガーリック
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46話 修学旅行

月曜日の朝。

寝不足な目を擦りながら目覚ましのアラームを止めて支度をする。昨日準備した荷物をカバンに詰め込んで家を出る。昨日の夜は心臓の音がうるさくて眠れなかった。


羽田空港に集合という難題をこれから乗り越える。とりあえず東京方面に行くことはわかってる。横浜駅で乗り換えがあるのは調べてきたかれ大丈夫だ。問題はそこから先で、2番線?に乗り換えたりなんたりでもう訳がわからない。


だが俺は乗り越えられるんだ。去年の遠足も課外活動の時も乗り換えで同じ学校の生徒を見つけてその生徒の後について行くと段々と同じ制服の人が増えていく。気づいたら目的地に行けてるんだ。


だから今回もいける。そのためにはまず同じ学校の生徒を見つけなければならない。駅に着くとちょうど電車が来た。既にギュウギュウ詰めの電車内に入ると奥に奥にと押し込まれる。身動きが出来なくなり、目の前は真っ暗だ。


どこかの高校生の体で視界が塞がれている。息が苦しくなって顔を上げると前の人と目が合ってしまった。なんで向かい合ってしまったんだ。


ただ、その人はにっこりと笑顔を向けて目線を逸らした。ガタンゴトンと電車に揺られるが石像のように動かない俺は数十分耐えて横浜駅で降りる。ここからが勝負だ。


角を生やして全力で周りを見る。周りを見すぎると怪しい人だと思われるからひっそりと横目でチラチラと。これをやると頭が痛くなるからあまりやりたくないが背に腹はかえられない。俺の修学旅行がかかってるんだ。

(うおぉぉ!!)


ホームの階段を降りるがまだ見つからない。真ん中にある柱に寄りかかって目を閉じる。見逃しは許されない。

どこだ!どこにいる。同じ制服を着てる人は。


……いた!あれは岡島さんか、良かった。毎日挨拶する間柄が俺と岡島さんをこの状況で惹き合わせてくれたんだ。


後ろをついて行って階段を登った先のホームで電車を待つ。2分後電車に乗り込む。一安心だ。岡島さんは電車でも本を読んでる。俺は吊り革を掴まない。決して吊り革が高くて疲れるってわけじゃない。電車程度の揺れでは倒れない体になったからだ。一般人に手押し相撲で負けることは無い。


岡島さんを見失わないように注意する。

それから乗り換えをして目的地に着いた。既に結構な人数が集まっていて、到着を担任の先生に報告して時間を待つ。


1時間後移動が始まって手荷物検査に入る。カバンとベルトと靴とスマホをカゴに入れて流す。あの収納カバンて中身見えるのかな。検査機を通って荷物を回収する。


1面ガラス窓の所から外を見ると飛行機が並んでた。屋上にはテラスみたいなのがあって、上から飛行機を見下ろすことが出来る。飛行機ってドラゴンよりデカイな。


搭乗時間になって飛行機に乗り込む。たまたまだったが窓側に座れた。

機内アナウンスが流れて飛行機が動き出す。重力を感じながらの離陸は何回経験しても楽しい。まるでトロールに飛ばされた時のような感覚に似てる。


耳がキーンとなりながら飛行機は雲の上に行く。試しに角を出してみると結構下の方だが鳥が飛んでるのがわかるがすぐに後方に見切れてしまう。速度が違いすぎる。


さすがにこの距離だとうっすらと目で地上が見えるが角での確認は出来ない。空から地上の状況が分かったらかっこいいな。


外を見てるとあっという間に時間が過ぎて那覇空港に着いた。

空港の出口ではクラスごとのバスガイドのお姉さん達が待ってくれていた。

案内をされてバスに乗る。


バスガイドのお姉さんが沖縄のことを教えてくれて、バスが通るところの説明をしてくれる。

最初に来たのはひめゆり平和祈念資料館、いろんな展示物を見て回る。こういうのは好きだ。建物の中は雰囲気が良くて集中出来る。

それから平和祈念公園で小休憩をしてクラス写真を撮った。


その後は戦争の話を聞いた。そのおじいさんは戦争を体験して、そのことを語ってくれた。


まだ100年経ってないのはちょっと信じられない。ずっと昔の話だと思ってしまう。それくらい想像出来ない生活をしていた。出てくるのは白黒の写真。防空壕での体験。1時間という短い時間だったが考えさせられる話だった。


今でも戦争してる国はある。身近じゃないからわからないけど、最近は日本も戦争の準備を始めてるといろんなところで聞く。


昔は銃や戦車、戦闘機と火器での戦いだったが今はどうだろうか。とある国では探索者を徴兵として呼び込んで他国と戦争をしてると聞いたことがある。


でも当然だと俺は思う。今の俺でも弾丸は簡単に避けられるし、車に轢かれても無傷だと思う。

それに世界には天候を操ったり、ビルを持ち上げたり、数km先の生き物を殺したり、空を高速移動したりといった能力を持っている人が沢山いる。


前提が違うのだ。頭を潰せば死ぬ、呼吸が出来なければ死ぬ。そうじゃない人間が多く存在している。


南米では1人の男が国を潰したと噂があるが本当かはわからない。でも出来なくはない。日本にもそれが可能な人はいる。


今や1人の人間が数千数万の人間を殺せる力を持っている。これを人間は社会のルールによって守られていると言ってもいい。

いざ戦争になったとすればそのルールは守られるだろうか。


俺がそうなったらどうするだろうか。

そんなことを考えた。



今日はこれで終わりだ。ホテルに移動してスケジュールの確認後、それぞれの部屋で待機する。

俺の部屋は佐藤君と同じだ。

ホテルの前には海があって遊びに行く人が多かった。沖縄の海は格が違う。透き通っていて温かさを感じる。でも今の時期に海に入るのはさすがの沖縄でもちょっと早いだろう。


中には海に飛び込んで服をびしょ濡れにする人もいた。砂浜で相撲をしたりとみんな楽しそうだった。

お風呂の時間が来てクラスごとにサッと入ってサッと出る。その後は夜ご飯だ。



1日の予定が終わって部屋でゆっくりする。

隣では佐藤君がベッドの上で何かをいじってる。


「何してんの?」

「今造ってるのはね、換気キューブなんだ。2つで1つなんだけど、1つは部屋の中でもう1つは空気が綺麗な場所に置いておく。部屋の中のキューブから信号が送られると2つのキューブの周りの空気が入れ替えられる仕組みになる予定なんだ、それが中々できなくてね。距離に制限があったり、一方通行になったりで上手くいかないんだよ」

「へー」


「いい素材が見つからなくてね」

「トロールの目玉ならあるけど」

「いや、それはちょっと」

「だよね。俺眠いから寝るね。おやすみ」

「おやすみ。あっ電気消さなきゃね」

「いいよ、明るくても寝れるから」

「それじゃあ熟睡出来ないよ。大丈夫、暗視ゴーグル持ってるから」

「さすが、準備いいね」

「どんな状況でも造れる準備はいつもしてるんだ」


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