46話 新調
4月5日今日から3年だ。2年のクラスのままでクラス替えは無い。身体測定があって身長を測ったが、伸びてなかった。結局高校で1cmも伸びることはなかった。ちなみに視力は1.5以上で当然余裕で見える。
朝姫は1年の時ほとんど一緒ぐらいだったのが今ではかなり差ができた。まだ可能性はある、俺にはまだ成長期が来てない。
あれから26階に通い続けて、かなり成長を感じてる。トロールが強い分成長も早い気がする。今ではトロールの肉をフルパワーじゃなくても削れるようになった。
トロールの魔石は1つ2千円だ。正直値段と強さが釣り合ってないけど、この1ヶ月倒しまくってお金がかなり溜まった。
26階に行くのは週に1回だけだがそれでも1ヶ月で100体は倒したと思う。単純に日数を増やせば倒す数が増えてお金も増える。高校生には十分すぎる金額だ。母から言われて知ったが、今年このままのペースなら確実に扶養から外れることになると、そして税金を払うことになると説明されたがよくわからない。そもそもお金をあんまり使わないからあっても意味が無い。そこは全部母に任せた。
今日も柏木さんとトロールを倒しに行く。
もうお馴染みの26階を庭のように歩く。ドスドスと音を立てて近づいてくるトロール君に挨拶代わりの振り下ろしをかます。衝撃でトロールがたたらを踏む。なんだか最近はトロールが愛らしく見えてきた。このムチムチの体型は赤ちゃんを彷彿とさせるところがある。それでも容赦なく倒すけど。
柏木さんの土魔法もこの1ヶ月でかなり成長して細かいことができるようになった。
いつからか柏木さんも攻撃するようになり、土魔法で殴ったりしてる。効いてるかは微妙だが足止めにはなってるから、俺も動きやすい。
トロールの動きは単純でパンチやキックで、たまにスピードを上げたりしてくる。その攻撃に慣れてもうくらうことはない。
手足を削ってから頭を潰す。
それから同じような作業を繰り返して間に昼食を挟んで、また作業を再開する。
今日倒したトロールは15体で3万円だ。
未だにキーモンスターのハイトロールには出会えていない。
平日はダンジョン部で22階に行くが今では、当時硬かったアイアンゴーレムも倒せる。
俺はサポートに回って時雨が、メインで攻撃してる。
だが時雨の攻撃は通らない。
神保さんの能力で威力を上げて少しずつ削っていき倒すことになる。
週末はまた柏木さんとトロール狩りに行く。
「そろそろ次の階に行きたいな」
「そうですね。なかなかハイトロールに会えませんね」
「ああ。今日は少し奥まで行ってみるか」
「いいですよ」
こうしていつもよりも森の奥に行くことになった。道中襲ってくるトロールと戦って、少しずつ進む。お昼を携帯食料で済まして、先に進む。
森の中を進んでるとポツポツと岩を見るようになった。すぐそばに川が流れていて、そこで少し休憩した。
(ドズン!ドズン!ドズン!)
「来ましたね」
「ようやくお出ましか」
俺の角の索敵範囲にハイトロールを見つけた。資料通りに赤黒い肌だ。体はトロールと同じだが凶悪そうな顔をしている。
木の上に身を隠して機会を伺う。川に入ったハイトロールは寝っ転がり全身で川の水に浸かる。
すっぽりとハマると、川が塞がって水が溢れて周りの地面が水浸しになる。
今だ!と思った。
ハイトロールの体に跳び付くと目が会いながら金棒を目に叩きつける。
(グジイィィィ!)
(ギャギィィィ!!)
奇妙な声を上げのたうち回るトロールは起き上がって俺を見つめる。そして怒り狂ったように殴りかかってきた。若干トロールよりも速い気がするが対応圏内だ。連続するパンチを避ける。地面にはいくつもの穴が空くが当たらなければどうということはない。左目を失ったハイトロールの左側に回り込んで足を削る。そして柏木さんは土魔法で足を固める。
動けないハイトロールはされるがままに足を削られた。
片膝をつくハイトロールの視界を土塊が塞ぎ、そこにフルスイングをかます。ハイトロールの体が大きく仰け反って最後には後ろに倒れた。右目も潰してから頭を殴る。数発で頭を飛ばして死んだのを確認して、魔石を取り出す。
「無事に終わりましたね」
「ああ、だがここから帰るのが大変だぞ」
「そうですね。どんなに頑張っても、家に着くのが夜になりそうですよ」
「とにかく走るか」
「はい」
それから帰り道は5体のトロールと遭遇して倒すことになり。ギルドに着いたのは20時だった。こんなに遅くなったのは初めてだ。
ハイトロールはあそこまで行かないとあえないのか?もう行きたくないな。
家に着いてお風呂に入ってご飯食べて寝た。もうすっかり姉ちゃんが家に居ない生活に慣れてしまった。元気にしてるだろうか。
次の日ギルドでめんどくさくて貯めてた、魔石とモンスターの武器と素材をまとめて売った。それだけでもかなりの金額なった。2階の武器屋に寄って商品を見る。
鉄とか合金よりもこのレベルになるとモンスターの素材じゃないと耐久力に問題が出てくる。すぐに欠けて使い物にならなくなるから買うならしっかりしたやつを買わないと普通に死ぬ。そんなわけでナイフの新調をしに来た。解体以外で使うことが無いナイフだが、ついに折れてしまった。
一通り商品を見終わってやっぱり一番目を引くのはドラゴンの牙、爪を使った武器だ。ドラゴンの武器の特徴として透明になる。元々牙や爪は白いが削っていくと透明になるみたいで、加工したやつは全部透明だ。
ドラゴンのナイフは1本で70万円だ。剣とか長物は100万円を超える。
悩んだが背に腹はかえられない。ATMからお金を下ろしてきてドラゴンのナイフを買った。
なぜか店員さんがお店の入口まで持ってくれて、お店を出るとナイフが入った袋を受け取って見送られた。なんかいたたまれない気持ちになりながらも1階に戻った。
試し斬りをするために24階に来た。硬いと有名なリザードマンの鱗で試すことにした。
サクッとリザードマンを倒してナイフを当ててみると、スっと入っていき鱗を過ぎて肉と骨もいった。ほとんど力は入れていない。
これがあれば簡単じゃね?と思った。
ダンジョンから出て、今度はショッピングモールに向かう。




