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大竹村丸物語  作者: 骨皮 ガーリック
35/97

31話 檻の中の俺

ここはどこだ?暗い。何も見えない。

(カチン)

ん?金属製の物同士がぶつかったような音が聞こえた。近くに何かあるのか?


俺は今座ってるのか。靴を履いていない。床が冷たい。石畳かなんかだろうか。手足の感覚はある。

瞬きをしているが何も見えないのは変わらない。目は空いているはずだ。

(ガチッ!)


なんだ!?今左手を動かしたら音が鳴った。でもどこかにぶつけた感覚は無い。

ゆっくりと立ち上がってみる。膝をついて手をついて、腰を上げる。

(ジャラン!ジャラン!)


音が響く。俺の動きに合わせて何かがぶつかってるのか。

少しずつ前にすり足で進む。

(ガキンッ!!)


足が止まる。これ以上進めない。というか後ろに引っ張られている。少し力を込めて足を前に出す。

(ガギッ!!)

鎖かっ!?


俺の足は鎖に繋がれてるのか?それとこの感じだと手も繋がれてるのか。

とりあえずその場に座り込む。


何分経ったか、少し周りが見えてくる。

周りは石畳で石壁、センスの欠けらも無い石造りの部屋だ。広さはテニスコートくらいか。


そして、俺は檻の中にいる。

この檻の広さは3mくらいか。

そして両の手と両の足が鎖で繋がれている。


ここはどこなのか。なんでここにいるのか。経緯が全くわからない。

しばらくすると前から人影がこっちに向かってくる。

(ぺち…ぺち…ぺち…ぺち…)


そいつも裸足なのか、足をつく度に音が部屋に響く。

檻の前でそいつは止まる。

身長は俺と同じくらいか。なぜか顔は見えない。


「おい!誰だ!?」

「……」

「俺をどうするつもりだ!!」

「どうもしないよ。ずっとそこに居てもらう」

無機質な声だが知っている。この声の人物を

「なっ!?その声は、俺…なのか?」

俺と同じ声だ。


「そうだよ。君は俺。俺と君は同じさ」

「なんでここに閉じ込められてるんだ!出してくれよ!」

「出せないって言っただろ」

「なんでだよ」

「そういう指示が出てるんだ」

「はぁ?意味がわからない。誰の指示だよ?」

「俺だよ」


「意味がわからない。お前が決めたのか?」

「違うよ。俺が決めたんだ」

「くぉー、話が進まないぜ」


「君はずっとそこに居なくちゃダメなんだ。わかるでしょ?君なら。君も俺なんだから」

「さっぱりだよ。頭がおかしくなってきた。

お前は俺で、俺はお前なのか?」

「そうだよ。俺は君で、君は俺。理解した?」


「あ?つまりお前は俺の指示で俺を閉じ込めてるのか?」

「んー?ちょっと違うけど、間違いではないね」

「俺とお前以外にも俺がいる?」

「そう!さすが俺だね。頭良い!」

当然だ。


「ここはどこだ?」

「んー、説明できないなぁ」

「俺は生きてるのか?」

「もちろん生きてるよ」

「俺はいつからここにいる?」

「ずぅーっとだよ。君は最初からここにいる」


「俺はここから出たことあるのか?」

「んー、何回かあるかな」

「その時はなんで出れたんだ?」

「わからない」

「ん?お前が見張ってるんじゃないのか?」


「そうだよ。俺が見張ってる。でも君がここからいなくなった時はいつも何も覚えてないんだ。居なくなってからしばらくして俺が気づくんだよ。そしていつの間にか君はここに戻ってくるんだ。君もその時は何も覚えてないよ。居なくなってたこともね」


「なぁ、俺とお前は一緒なんだよな」

「そうだよ。俺も君。君も俺」

「他には居ないのか?俺は」

「もちろん居るよ。君と俺の他に4人俺がいるよ。その4人も僕が面倒見てるけどね」


「檻に入れられて鎖に繋がれてか?」

「ううん。他の俺はある程度自由だよ。この部屋で例えると、部屋の中では自由に過してるよ」


「なんで俺だけこんな囚人みたいな扱いされてるんだ?」

「それはね、君だけはこの俺でも制御するのが難しいからだよ。他の俺は、そんなことにはならない。君だけなんだ。俺が抑えられないのは。だからなのかな。初めて君と会った時から君は鎖に繋がれてる」


「俺の記憶が無いのはなんでだ?」

「それは俺にもわからない。けど君はいつもそうだよ」

「俺はどうすればいいんだ?何をしていればいいんだ?」

「君は何もしなくていい。ずっとそこにただ居るだけでいいんだ。何もする必要はないよ」

「なんなんだよそれ」


「幸いにも今は他の俺は全員寝てるんだ。こんなことなかなか無いからね。久しぶりにゆっくりさせてもらうよ。じゃあね」

「おい!待てよ!」

(ガシャッ!)

鎖でこれし以上前に進めない。


もう1人の俺は壁をすり抜けて消えていった。

なんなんだ。俺はどうすればいいんだ。

今までの記憶が無いが、今のことは記憶できている。なぜ今なんだ?何かやらなくちゃいけないことがあるんじゃないか?そのために今の俺はいるんじゃないか?

俺にしかできないこと。


それに、今は他の俺が寝ている?

久しぶりだと言っていた。絶対に何かある。


なんだ?わからない。

他に記憶は無いのか?あいつとの会話以外の記憶。目覚める前の記憶は…。


それに最初は目の前が真っ暗で何も見えなかった。少ししてうっすらと周りが見えるようになっていった。あいつのことが見えるくらいに。


それに今はかなり明るい。

俺の爪がはっきり見える。

あれっ?爪伸びてるな。しかも先がとんがってるし、危ないな。気になるな。

爪切りどこにあったっけ?あっ、ここ檻の中だった。


あー、爪切りたいな。足の爪も切りたくなってきた。

前に切ったのっていつだっけ?


1週間前?1週間前ってなに?いつ?

今は?今日は?何月何日?何曜日?何時?

鈴鹿は?時雨は?神保さんは?先生は?

逃げたかな?逃げた?何から?

あのモンスターからでしょ。


あの後どうなった?みんな逃げた?

俺は?転送魔石まだ投げてないよ?なに?ここどこ?早く戻らなきゃ!出せ!こっから出せ!!

出せよ!!


くっ、鎖外れろ!!なんで!?右腕付いてんの?ジェネラルオークに斬り飛ばされたのに今はある。

なんだ?なんだ?

もういい!!ここから出せよ!


「ここから出せよー!!」

俺が!!俺が守る。みんなを守るんだぁ!!

「おい!やめろ!?絶対にここから出るな!」


「戻ってきたのか!?ここから出せよ!思い出したんだ!早く戻らなくちゃみんなが危ないんだ!」

「ダメだ!君だけは出しちゃダメなんだ!!」

「うるせぇ!!言うとうりにしやがれぇ!!

俺が出るって決めたんだ!俺の道を塞ぐなぁ!!」

(ガシャン!!ガシャン!!)


「無駄だよ。君を出さないために前よりも鎖を硬くしたんだ。俺が君を行かせない!!」

「グワァーーー!!」

(ガシャン!!ガシャン!!)


「やめろよ。それ以上やったら身が持たない。君も俺なんだ。君が辛いと俺も辛くなる。やめてくれ」

「だったら外せや!!この鎖外してここから出せよ!!」

「それだけはできない。勘弁してくれ。君のために言ってるんだ」


「うるせぇなぁ!!協力しないなら黙ってろ!!」

(ガシャン!!ガシャン!!)

「オラァーー!!」

(ガキンッ!!)

「ハ、ハズレタッ!!」

「なっ!?手首と足首がボロボロじゃないかっ!!」


「オラァッ!!」

(ドカァァン!!)

「そうか。君はやっぱり行ってしまうんだね。そしてやっぱり俺は君を抑えられない。昔からそうさ。

君は俺の中で最狂だからね。存分に暴れてきて欲しい。申し訳ないが俺では俺を救えないんだ。

君にしか俺を救えないんだ。

いつかこの日かくるとわかってた。けど、きて欲しくなかったなぁ。それでも言うよ、いってらっしゃい。信じてるよ」

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