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大竹村丸物語  作者: 骨皮 ガーリック
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27話 力より頭脳?

20階のリッチとの戦いは、常に緊張感を持って行われる。

距離を詰めなければ炎が飛んできて、距離を詰めても杖て捌かれる。たまに当たる攻撃でもリッチにとって大したダメージにはならない。


リッチとの戦いは基本持久戦だ。

この拮抗状態が俺に高揚感をもたらしてくれる。良くも悪くも好敵手。

既にリッチは100体以上倒してる。


俺の体には治りかけてる火傷がいくつもある。

俺の力をつけるにはうってつけだ。

ハイリッチと出くわしたら急いで逃げる。今は1人で戦っていい相手じゃない。今はまだ…な。



リッチは俺に5つの炎の玉をバラバラに放ってくる。

1つ目を横に飛んで避ける。2つ目は棍棒で叩く。3つ目は棍棒を投げて当てる。4つ目はまた避ける。5つ目はまた棍棒で叩く。

これの繰り返しで最近は凌ぎ切れる。


そして接近して、近接戦闘を繰り広げる。

ほぼ同じ力量で、お互いに打ち合う状態が続く。リッチの打撃は場所によるが打撲程度で済む。


互角なのに俺が勝てる理由は単純に武器の差だ。

俺の棍棒は鉄製のトゲ付き。対してリッチは木の棍棒。勝つのは当たり前だ。それに俺の棍棒はいくらでも替えがある。

杖が壊れたらあとは一方的な戦いになる。

何度か叩けば骨は砕ける。



今回はいつもと違うことを考えてきた。

いくら危険でもマンネリしちゃうこともある。結局は避けて避けて叩いて叩かれて叩いてだ。

今回試すのは二刀流だ。2本の棍棒でやってみる。



リッチが俺に気づいて周りに炎を出す。これが戦闘開始の合図だ。そして五つの炎を放ってくる。

1個目と2個目を2本の棍棒で叩く。

片手で威力は落ちるがそれでも炎を消すには十分だった。3つ目をギリギリで避けて4つ目、5つ目をまた叩く。一旦棍棒を消してリッチに近づく。


リッチが杖を振り下ろす。

棍棒を2本出して左で受けるのに合わせて右で反撃を考えた。


左の棍棒で杖を受ける。

(ぐへっ!)

受けきれず思いっきり左腕ごと持ってかれて体勢が崩れる。運良く体には当たらなったが、片膝を着いていて当然反撃できる体勢じゃない。


二撃目の杖が既に目の前に来てる。

(やばい!)

棍棒は間に合わない。跳び退くにも体勢が悪い。

(ぐわーーっ!)


上半身を逸らして何とか回避したが、支えきれずその場で倒れた。

そこに追撃の振り下ろしがくる。


ベビーベットで寝る赤ちゃんの体勢になっても必死で頭を働かせる。

何が出来る!?この状況で!!やられるぞ!!


両手の棍棒を消して腕を上げる。そこに新たに棍棒を2本出して握る。

クロスさせた両の棍棒の頭を地面に付けたこの状態。ボクシングでは有名なこの構え。防御のみを考えたこの状況にはうってつけ!クロスアームブロックだ!

今回は腕の代わりに棍棒を使う。


即席必殺!

クロス棍棒ブロック!!

顔に叩きつけたその杖は交差した2本の棍棒によって弾かれる。すぐに立ち上がり距離をとる。

(あっぶねー)


俺の脳みそが優秀じゃなかったらやられてた。頭バチコーンされてたぜ。

まじで汗ダラダラで棍棒が滑る。

(誰かー!滑り止めを)

棍棒を消して1回冷静になる。


片手だとリッチの杖を弾けないのか。

まさかの結果だったぜ。片手の攻撃が効かないのは想定してたけど、それ以前の問題だった。


あれ?両手での攻撃があんまり効いてないのになんで片手で攻撃しようとしたんだ?

ちょっとよくわからない。こんなことで死にかけたのか?笑えないぜ。オーノーだぜ。


仕切り直しだ。一旦この目の前の憎きリッチを倒そう。

リッチがまた5つ炎の玉を放ってきた。

1つ2つ3つ目も躱す。あれなんかよく見える。

死線を越えて何か変わったか?まぁいいや。

4つ5つ目を出しておいた棍棒で叩く。

距離を詰めてから上に跳んで振り上げた棍棒を振り下ろす。


俺の怒りをくらいやがれ!

天地揺撃(てんちようげき)!!」

この一撃は地面だけじゃなく、天すらも揺らす。

(恐戦(おそれおのの)け!!)

(ゲラァーーーー!!)

この一撃はガードする杖の上からその身を砕く!

死ねーーーー!


(グシッ)

俺の一撃は杖に逸らされ地面を叩く。

「ズカーーン!」

地面に埋まった棍棒を引き抜きリッチと向かい合う。

(えっ!?)

動揺で頭がいっぱいになる。

へっ、やるじゃねーか。俺の一撃を逸らすなんてな。


一撃の必殺を逸らされても焦ってはダメだ。

冷静に行こう。それが俺の強み。

思考こそ人生の歩み。そして厚み。

リッチとは人生経験が違うのよー!



それからは待った無しの殴り合いが始まった。

俺の攻撃をリッチが受け止め、リッチの攻撃を俺が受け止める。

またの名を泥試合。


10分後リッチの杖を壊して骨を砕く。魔石を棍棒で叩き潰して俺は誓う。

二度と二刀流はやらないと。


こうして涙無しでは語れない物語が出来た。いつか誰かに話そう。誰かを危険な目に合わせない為に。

分不相応な力は我が身を滅ぼす。

この言葉を胸に誓う。

このリッチには礼を言おう。これで俺はまた強くなれたと。


戦いは頭を使ってなんぼなんだよー!IQ上げて出直してこいや!

その後はリッチを5体倒して帰った。ハイリッチと出くわしたから逃げてきた。



「ただいまー」

「おかえり」


お風呂で体を癒す。今日新しくできた傷に染みる。

(痛てて)

今日はぐっすり寝れそうだ。

今日の戦闘はいつもより頭を使ったから糖分が欲しいぜ。



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