2話 入学式
教室に入るとすでに何人か席に着いていた。
会話をしている雰囲気ではなかった。
おそらくみんな緊張しているのだろう。
俺は廊下側の後ろから2番目の席に着いた。
俺の出席番号は4番だ。
縦に5つ机が並び、横に6つ机が並んでたから全員で30人かな。
左隣に座っているかなりイケメンの男子に声をかけた。金髪で爽やかな雰囲気を纏ってる。
俺は昨日買った『誰とでも仲良くなれる話し方』を読むのを忘れてた事に気づいた。
こうなったらテンションでどうにかするしかない。
片手を上げて
「いよーっす、はじめまして俺、大竹村丸。
よろしく!」
「はじめまして、僕は恋咲翼。(コイサキ ツバサ)
よろしくね」
爽やかな笑顔で返してくれた。
「めちゃくちゃイケメンだけどもしかしてモデルとかやってる?」
「えっ、まぁ一応ファッション雑誌の端の方にちょこっとね、恥ずかしいから誰にも言ってないけど」
「まじか!確かにスタイルもいいし、もしかしてスカウトされたとか?」
座っているが足が長くて机の下は窮屈そうに足を折っている。
「うん、中学の時に東京行ったらスカウトされたよ、あはは」
「やべぇ、ホントにスカウトされる人とかいるんだ」
意外と会話が弾み
「俺自転車だけど、翼くんは何通学?」
「僕は電車だよ、一駅分だけどね最寄りが藤沢駅なんだ」
「そっか、なら結構近いね」
この学校は、神奈川県藤沢市にある明詩高校。
辻堂駅から歩いてすぐのところにある。
打ち解けてきたところで周りの人にも絡んでみる。
「みんなも一緒に話そーよ!まだ40分もあるし」
そうチャイムが鳴るまで40分もあるのだ。
周りの4人にも声を掛けた
すると、すっと立ち上がりみんなで翼くんの周りに集まった。
俺はめちゃくちゃ頑張った。
だって俺普段こんなキャラじゃないし。
しばらく話してると、ちらほらとクラスメイトが登校してきた。
追加で巻き込んでかなり大人数になってきた。
何個かグループができて、それぞれ楽しんでいた。
俺は今ぼっちになっていた。
何が何だかさっぱりだが気づいたら1人になっていた。
翼くーーーん‼︎
翼くんはイケイケの感じのグループで楽しそうに話していた。
ふむ、いつの間にこれは誰かの策略か、
まぁいいや
チャイムが鳴り、先生が入ってくる。
40代くらいだろうか。
見事な白髪をオールバックで決めていた。
教卓に手荷物を置く。
「よーし!みんな席に着けー、ホームルーム始めるぞー」
結構ダンディな声だ。
白髪オールバックでダンディな声、うちの担任いいキャラしてるじゃん。
「その前に俺は佐々木真悟だ、みんなの自己紹介は後でやるぞ!その前に入学式とその後備品の配布した後に自己紹介だ。
この後すぐ入学式だから廊下に並ぶぞ、出席番号順で並べー」
先生の指示で廊下に二列で並び体育館に移動した。
すごく広い体育館だった。
バスケットコートが4面分あった。
ちなみに1組大体30人で、10組だから大体一学年300人だ。
例のブルーシートが一面に敷かれ、椅子が均一に並べられている。
関係者の話が始まり長い開会式が始まった。
聞いた話では定型文があり話さなければいけないらしく、どうしても長くなってしまうと。
嘘か本当かは知らないが。
そんなこんなで退屈な時間を過ごし、
「ありがとうございました。
では、最後に校長先生からのお話です。
校長先生お願いします。」
ついにラスボスの登場だ。
ここからきっと10分くらい話すだろう。
気力を振り絞れ!
「えー、」
…三分後
「これからの学生生活、しっかりとエンジョイしましょう!」
生徒一同拍手喝采、
何が起こったかというと、とてつもなく早口すぎて、口の動きと声が全く合っていなかった。
それでいてアナウンサーが話していると錯覚するほどに抵抗なく内容が頭にスッと入ってきた。
生徒全員の期待を裏切る、濃厚であっという間の3分だった。
その結果が先の出来事だ。
歓声と共に、鳴り止まない拍手。
進行役の教頭から注意されてやっと静かになった。
かなりファンキーな校長だった、壇上から降りる時も手を振りながら降りていた。
なんてこともあり、入学式は終わった。
備品の配布も終わり、いよいよ自己紹介の時間だ。
俺の高校生活がかかってるんだ!
気合い入れて行くぞ!ばっちこいや!




