21話 成長
次の日辻堂に帰ってきて家に荷物を置いてそのままダンジョンに行った。
今1人で安全に行けるのはせいぜい16階17階だろう。
そして今日は16階のゴブリンに用があった。
魔石集めもあるが、1番はホブゴブリンが持っているでかい棍棒だ。今の攻撃力だとすでに限界がきてる。そこでホブゴブリンの棍棒を使って攻撃の威力を上げてみようと思った。俺にはカバンがあるから邪魔になることは無い。そういうわけでここに来た。
テキトーに歩いてホブゴブリンに遭遇するまでゴブリンを狩る。お腹辺りを捌いて中にある魔石を取ってカバンに入れる。
ゴブリンの棍棒は俺のより脆く、俺の棍棒で叩くと割れてしまう。1時間くらい歩いてるとホブゴブリンと出会った。
棍棒を投げつけて近づく。ホブゴブリンの攻撃を避けて腰を叩く。怯んで腰が下がった所で顔面にフルスイングで無事に倒せた。魔石をしまって棍棒を持つ。確かに重さもって太さもある。
試しに振ってみると案外しっくりくる。やっぱり今のパワーだと俺の棍棒は軽すぎるな。
近くのゴブリンに当ててみると腕に伝わる感触が今までと全然違った。
そしてゴブリンが吹っ飛び、木にぶつかる。これは凄いな、これならリッチの体も割れるかもしれない。1回足の骨を割ったけど、あれはなんか火事場の馬鹿力みたいなやつだからカウントはしない。
17階に移動してスケルトンを倒す。
おー、かなり違う気がする。多分遠心力が関係してるんじゃないかと睨んでる。
そしてハイスケルトンと出会う。
そういえば前回試しに棍棒にハイスケルトンの大剣を叩きつけてみたんだっけ。そしたら切れ込みが少し入ったんだっけ。
なら大丈夫だろうとハイスケルトンの大剣を受けてみると若干棍棒の表面が削れた程度だった。
やっぱり強度もこっちの方があるな。
もう俺の棍棒じゃ、決定打にならないのかな。
俺は盾役かな。
その後もスケルトン、ハイスケルトンを狩って棍棒を慣らす。
予備としてもう1回ホブゴブリンを倒して棍棒を頂いた。
ギルドのカウンターで魔石を出すと、貰えたお金は雀の涙だった。まぁこんなもんだろう。
年末年始は毎年おばあちゃんの家に集まる。
父の方のおばあちゃん家だ。場所は滋賀県だ。
12月31日
今回は車で行くことになった。父さんの運転で6時間くらいで着いた。
その日はおばあちゃん家で夕食を食べて年越しをした。
次の日父さんから山に登るぞと誘われ俺と父さんは車で中腹まできた。まだ早朝だ。
今いるのは鈴鹿山だ。父さんの気分で登る年と登らない年がある。前回登ったのは3年前だった。
雄大な自然を全身で感じる。
父さんの話しでは先祖代々この山の近くに住んでたようだ。男衆は山に登り、女衆は家で待つのが仕来りと言っていた。なんの事やら。
自然に囲まれることで、なんというか精神の成長を感じた。よくわからないが何かを見つけた気がする。
自然というのはそういうものだ。何かを見つめ直させてくれる力がある。
家に戻っておせちを食べる。俺は栗きんとんが好きだ。
従姉妹も顔を出し1年ぶりだが気まずい。従姉妹は2人姉妹で大学2年と1年で姉ちゃんとよく話す。
男1人の俺はいつも気まずい。なんとかしてくれー。
この中にいるといつも俺はからかわれる。
でも、こうは言っても遊ぶのは楽しいからどうしようもない。
そして従姉妹たちと初詣に行っておみくじを引いてきた。
結果は大凶。
願望・運命を変えられるのは自分自身。乗り越えなければ明るい未来は訪れない。
こわ〜。これやばいでしょ。
1月2日。
辻堂に戻る。
何か違和感を感じるがそれが何かわからないから放っておく。
1月3日。
ダンジョンに行く。
間が空いたからとりあえずゴブリンで様子見だ。そこで最近の違和感に気づいた。
それは俺の棍棒に変化があった。前よりも一回り大きくなり鉄のトゲトゲが追加されていた。
思わず叫んだ。
「よっしゃーーー!!」
なんでかわからないが俺の棍棒が強化された。
近くのゴブリンを叩くと威力の違いに驚く。ホブゴブリンの棍棒よりもさらに威力があった。
ハイスケルトンの骨もおもちゃの様に砕ける。
待ちわびた。俺の更なる成長の兆しが見えた。
俺はまだまだ強くなれる。
俺は一日中New棍棒を振り回した。




