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6話 命名

『本当にラブホに住んでて草』

『死ぬ死ぬマン、タケシって名前なんだ』

『タケシの部屋は901号室なんだ』

『死ぬ死ぬマン、個人情報緩すぎだろ!』

『橋本マリナに襲撃されそー』

『ダンジョンの外ではないっしょ』

『死ぬ死ぬマンのサブサブチャンネル、901号室固定カメラじゃん』



「はい! その通りです! サブサブチャンネルはこの部屋固定のカメラになっています!! みんな、夜中はサブサブの方を見てくださいね!! 視聴者がゼロになると死んでしまうので!!」


 そう言ってからメインチャンネルの配信をドローン型カメラから据え置きカメラへと切り替える。明日に備えてドローンを充電しないとね!


 俺がゴソゴソ作業していると、女グールがリビングのローテーブルに置いてあるノートパソコンを興味深く眺めていた。


「気になるのか? ソファーに座って見なよ。触ったら駄目だからな」


「ウゥ……」


 ソファーを指差すと、なんとなく察したらしい。端っこにちょこんと座った。そしてノートパソコンのモニターを熱心に眺める。映っているのは勿論、【死ぬ死ぬマンチャンネル】だ。


「そういえば、名前が必要だな」


「ウゥウ……?」


「そう、名前。名付ける上で何か特徴はないかな~」


 改めて女グールを見る。


 髪は白く、ボサボサ。肩より少し長いくらい。顔はちょっと堀が深くて西洋人っぽい。ただ肌の色が灰色なのと、瞳が真っ赤なので人間とは明らかに違う種族と分かる。あと、時折覗く歯が滅茶苦茶鋭い。


 体には襤褸切れを纏っていて体系はいまいち分からない。身長は俺より少し低いので百六十センチ後半かな。


「うーん……。名前に繋がらなぇ。もう、グルミでいい?」



『安直過ぎるだろ!!』

『もっと真剣に考えて!!』

『死ぬ死ぬマンさん! ネーミングセンス死んでる!』

『俺はいいと思うよ! グルミちゃん』

『いっそ縮めてグミは?』

『いいじゃん! グミちゃん』



 本人に聞いてみるか。


「お前の名前なんだけど、グミでいい?」


「ウゥゥ!」


 意外に好感触! 悩んでも仕方ないし、もうええかっ!


「じゃ、今日から彼女の名前はグミです! お菓子メーカーから案件もらえるように頑張ります!!」



『企業イメージマイナスなるだろ!』

『来るわけない! グールだぞ!?』

『グールは肉しか食わねぇよ』

『今日で一気にチャンネル登録者増えたから、あるかも!』

『グミちゃん、格好なんとかしてやれよ』

『そうだね。襤褸切れだもんね』

『風呂入れて身体洗ってやれよ』



「あれ? 人型モンスターの裸って配信するのに規制あるんでしたっけ?」



『ダンジョン配信鯖は海外で運営してるからお咎めなし』

『モンスターは動物と同じ括りだからないよ』

『テイムモンスターを虐待とかすると警察くるけどね!』

『性行為も虐待だからな! タケシ!!』

『タケシ、脱いでも大丈夫だよ!』

『タケシはすぐ脱ぐからなぁ』



「急にタケシタケシ呼ばないで! それに煽っても俺は脱がないからね!」


 まぁ、ダンジョン内でモンスターの殺戮、なんなら人間同士の殺し合いを配信してもお咎めなしなんだ。裸ぐらい大した話じゃないか。


「では! これからグミをお風呂に入れまーす」


 コメント欄に野郎どもの歓声が溢れた。

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