表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/53

37話 金

 ダンジョン配信を始めてから約二か月。


 最初は視聴者数一桁で常に瀕死だったが、今は違う。チャンネル登録者数は五十万人を超え、ダンジョンアタック中の同時接続数は五桁が当たり前になった。


 パーティーメンバーは二人。グールのグミと元ゴア系配信者のマリナ。可愛くていい子達だ


 他にもテイムモンスター(ウェアウルフ)が百体ほどいて、鶯谷ラブホ組合の清掃員として活躍している。


 トマベチさんや小塚社長と、協力してくれる人も増えた。


 客観的に見ても、大成功だと思う。


 そして成功者はあるモノを手にするのだ。それは──。


「めっちゃ振り込まれてる!!」


 ──金だ!!


 何気なくスマホの銀行アプリを覗いたら、今まで見たこともない数字が並んでいる。


 自室、つまりラブドリーム・ハチマン901号室で寛いでいたグミとマリナが顔を上げた。そして近くに寄ってくる。


「ウゥ、アァアアァァァゥ?」

「師匠、残高いくらですか?」


「えっ! 言うの!?」


「配信者の収入発表は人気コンテンツですよ?」


 確かにマリナの言う通りだ。俺も攻略ガチ勢配信者の収入発表にはかぶりついていた記憶がある。つまり、視聴者は期待しているのだ。俺の発表を。


「千六百六十四万、五百二円です……!!」


「ウゥ……!!」

「凄い……!!」


 たった二ヶ月の成果としては破格だろう。正直、こんな金額を手にしたことがないので、どうしたらいいのか分からない。


「このお金、何に使ったらいいと思いますか!!」


 固定カメラに向かって叫ぶ。すると──。



『アマギフにしてギフト券番号をTwittorに晒そう!!』

『換金、早い者勝ちってこと!?』

『換金RTAじゃん!』

『やろう!』

『早く1600万、アマギフにして!』

『タケシちゃん……やるわね……』



 ──こいつらに聞いた俺が馬鹿だった。


「やらねえよ!! もっと有意義な使い道があるでしょ!!」



『ラブドリーム・ハチマンの改修に使うのがいいと思うわ。302号室と505号室のユニットバスの交換が最優先』

『……!?』

『めちゃくちゃ具体的……』

『確かに、親孝行するのは悪くない』



 うん……!? コメント欄、おかしくないか?



『あと、ダサいと言われた602号室の壁紙も替えたいわ。そういえば、看板も変えた方がいいって指摘があったわね』

『おっ、おう……』

『確かに看板古臭いよね』

『てか、誰……?』



 アカウント名、辰子。よく知る名前だ。


「てか……! オカンだろ!!」



『えっ、なんで分かるの? 文字だけしか出ないのよね?』

『うおおおおー!! 死ぬ死ぬママ降臨!!』

『配信見てたのかよ……!!』

『タケシィィ!! 親孝行しろよな!!』

『あら、お母さん。お世話になってます』

『初任給で親孝行は当然だよなぁ〜』

『お母さん、俺からタケシには言っときますんで!』

『オラ! タケシ! リフォーム費用ぐらい出せ!』

『流石にこれで出さないのはショボい』



 こ、これはウチの母親の計算なのか? このタイミングでコメントをぶっ込んでくるなんて、狙っていたとしか思えない……。


「ウゥ……。アアアァァァ……」

「師匠……。諦めましょう……」


 二人にも諌められる。


「分かった……。とりあえず二部屋の風呂と、602号室の虎の壁紙を貼り替える費用は出す。看板についてはもうちょっと考えよう。それでいいか?」


 辰子はコメント欄に「ありがとう」と書き込んだ。

自分でもびっくりするぐらいその場のノリで書いてます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ