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25話 一か八か

 背中にグミとマリナの期待を感じた。俺なら何とか出来るんじゃないか? 本気でそう思っているのだろう。


 対峙するウェアウルフの群れ。先頭の一体がニヤリと笑った。蹂躙劇を想像しているのかもしれない。


 脳内ステータスを確認すると、HP上限=視聴者数は一気に膨れ上がっていた。投げ銭もあったようで、全回復状態に近い。これなら、いける筈……!


「ステータス・スワップ!!」


 角野さんを握りながらステータスの値を入れ替える。今回は──。


 【 名 前 】 八幡タケシ

 【 年 齢 】 18

 【 レベル 】 5

 【 魔 力 】 20

 【 攻撃力 】 20

 【 防御力 】 20

 【 俊敏性 】 26

 【 魅 力 】 29348

 【 スキル 】 配信命、モフモフ化

※【 H P 】 3/3


 ──魅力に全振りだぁぁぁ!!


 一桁になったHPのせいで身体が重くなるが、ここは我慢。必死に耐えて号令を下す。


「お座りっ!!」


 先頭の十体が地面に伏せた。ウェアウルフの群れに動揺が走る。


「お座りィィ!!」


 更に十体の人狼が座る。


「座れって言ってんだろォォオオオ!!」


 最後尾の一体を残し、他は全て従順な瞳になっていた。


 ここで時間切れか。ステータスが元に戻り、身体が楽になった。グミもマリナも視聴者達も、何が起きたか分かっていないだろう。


「よし、お前達! そいつを始末しろ!!」


 ウェアウルフの群れがザッと立ち上がり、最後尾の一体を血祭りにあげる。


「ウゥ……?」

「師匠……これは?」


「最近あるダンジョン学者が発表した論文に、【魅力】の値とモンスターのテイムについて書かれたものがある」


「ウゥ……!」

「まさか……!」


「魅力の値が高ければ高いほど、モンスターのテイムは成功しやすい傾向にあるそうだ。ついさっきまで、俺の魅力は三万に迫っていた。だから──」


「ウェアウルフの群れのテイムに成功したんですね……!!」


「そーいうことになるな」


 一息ついてスマホを見ると、お祭り騒ぎだ。



『何で羊が狼を従えてるんだよ!!』

『うおォォオオオ! 死ぬ死ぬマンやべぇ!!』

『俺も座っちゃったもん』

『私も座ったワン』

『あの瞬間、死ぬ死ぬマンのこと格好よく感じた』

『魅力三万やべーな。人間にも効くわ』

『ウェアウルフ三十体以上テイムしたってこと……?』

『テイムしたモンスターは保護責任あるよね?』

『死ぬ死ぬマン、ウェアウルフ何十体も飼えるの?』

『念願のモフモフ配信出来るね?』



 しまった……。後のことを全く考えていなかった……。


「助けて頂き、ありがとうございました」


 鎧姿の男が気不味い顔で頭を下げる。


「なんとかなって良かったです。ところで、お土産はいりませんか?」


「お土産……ですか?」


「ええ。新宿ダンジョン七階の名物なんですが」


 男は俺の背後に視線を泳がす。ウェアウルフの群れが見えていることだろう。


「い、いえ! 遠慮します!!」


「そんなこと言わずに。何体でも持って行ってもらって大丈夫ですよ?」


「本当に大丈夫です! どうも、ありがとうございました!!」


 男は徐々に俺から距離を取り、何度も頭を下げながら、もと来た道を帰っていった。


「グミ、マリナ。とりあえず帰ろう……」


「ウゥ……」

「そうですね……」


 さて、どうすっかなぁー。

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