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13話 行き止まり!?

 溶岩地帯の向こう側は耳が痛くなるほどの静寂に包まれていた。まるで別の世界に来たような。


 慌てて振り返ると、対岸に小さくグミの姿が見える。


 大丈夫。ここは新宿ダンジョンの一階だ。


「いやぁ〜しかし、参りましたねぇ」


 パッと見たところ、少し進むと行き止まりなのだ。すぐに曲がり角があって、ダンジョンが広がっているに違いないと思っていたのに……。


「これ、本当に行き止まりなら今までチャレンジして亡くなった探索者達はなんだったの? ってなりますね」


 我ながら声に元気がない。というか焦っている。


 めちゃくちゃ投げ銭を煽って溶岩地帯を越えてきたら、ただの行き止まりでした。なんて洒落にならない。土下座はもうしたし、土下寝でなんとか許してもらえるだろうか。


 コメント欄はどんな雰囲気だろう……?



『えっ、行き止まり…!?』

『まさか。そんな……』

『いやいや! そんなことはないでしょ!』

『死ぬ死ぬマン、ちゃんと見て!!』

『なんか変なところない?』

『隠し扉とか!』

『隠しスイッチも!』

『絶対何かあるから! 諦めないで!!』



 俺が馬鹿だった。視聴者の方が探索者の心意気を持っている。


「よしっ!! 隅から隅まで探すぞ!!」


 行き止まりの壁に、小さなスイッチを見つけたのは、それから約二時間後だった。



#



 隠しスイッチを押すと、しんとした空間にカチッとキレの良い音が響いた。


 カメラの向こう側の視聴者達も固唾を飲んでいることだろう。


 ──何もない時間が、数秒。その後に大きな振動が来た。


 徐々にだが、目の前の壁に空間が現れている。


 隠し部屋だ。


 カッと脳が熱くなるのを感じる。人生で一番の興奮かもしれない。


 絶対に何かある。この部屋には。



 鼻息荒く見守っていると、十分ほどで人間一人分空間が現れた。どうやら階段になっている。


「皆さん! 階段です! 階段が現れましたよ!! この下には何があるのか……!? 確認したいと思います!!」


 足を踏み入れると、空間に音が響く。下はそれなりの空間がありそうだ。照明はなく、スマホのライトで足元を照らす。


 一歩。また一歩。鼓動が激しくなる。


 階段の終着。目の前には扉がある。


 開けると罠があるかもしれない。でも大丈夫。HPの壁がある。


「では皆さん、開けます!!」


 ドアノブ を捻り、勢いよく開け放つ。そしてスマホで照らすと──。



『ウオオオオオオ!! 宝箱きたぁぁぁ!!』

『やべぇぇぇ!! 絶対レアアイテムだろ!!』

『投げ銭した甲斐があったぜ!!』

『めちゃくちゃ熱い展開じゃん!!』

『興奮するぅぅぅ!!』

『早くあけよーぜ』

『ミミックってオチない?』

『罠でも大丈夫っしょ。開けよーぜ』



 ──宝箱だっ!! 


 細かな彫刻が施され、如何にもレアな雰囲気がある。これは絶対に当たりだ。


「多分罠があるけど! 開けまーす!!」


 ずしりと思い蓋を少し開けると、何かが飛び出してきて「カチン!」とHPの壁に阻まれる。矢かな? まぁいい。今はそれよりも中身だ。


「さぁ! 何が入ってる!!」


 思い切り宝箱の蓋を開けると、そこにあったのは手のひらサイズの石像だった。

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