白飯と塩
シメに◯◯。お酒を飲んだ後や食事のラストに何を持ってくるか、といった場合によく耳にする台詞だと、理解している。そんな感じかなあ、というのが正直な印象である。
少し前だったか。食べる順番で健康的な美容、ダイエットを成功させる方法が話題になり、主流とされたことがあったかと、記憶している。これに足されたのが、ベジファースト、野菜から頂くことであったと思う。基本として炭水化物を最後にすると良いと聞いたから、以来、シメは米にしている。汁物と交互に口に運び、ほっとひと息するのがすっかり自分の作法となっていった。
フライパン一面にオリーブオイルで煮込んだ鶏肉とブロッコリーを堪能した後、炊いておいた白飯をよそった。
さて。子供の頃から純白一色の米のみで完食したことはあまりない。いつもふりかけだの、香の物だの、梅干し、かつお節と醤油あるときはふりかけと胡麻もあって、白米その色のみを味わうのは、前に勤め人時代、毎日が瞬間移動であった頃、外に昼を食べに和食が中心の店に入った時ぐらいなものだった。
今日の鶏とブロッコリーのオリーブオイル煮込みには、コショウやマスタードをかけながらだった。シメのご飯はシンプルに味わいたくなった。とはいえやっぱりひと味何か欲しいと考えていた矢先、懐かしい思い出が視界に入ってきた。ガラスの小さな美しい、異国のお土産品。昔、フランスを訪れた際、Tシャツや文具、チョコレートや香水が多いギフトショップの中で見つけた。他の物には目もくれず、真っ先に手に取った。
ソルト入りのエッフェル塔。買ってから随分経つが、まだ開けていなかった。良い機会だと、銀の蓋を開け、少し上から軽く湯気の立つ、艶やかな白飯に、粉雪のようにかけてみた。白飯がより一層、輝いた。ひとくち、ゆっくり味わう。まろやかな塩味が白米の粒に合う。セ・トレ・ボン、パリ。