第一話 いきなり廃部!?
仙道アリマサ様主催『仙道企画その2』参加作品です。
毎度ぎりぎりで申し訳ありません!
短編で出すつもりが、筆が暴れまして……。
暴れた数だけ優しさを知ってほしい。
専門知識ゼロで書いております。
ふわふわと楽しんでいただければ幸いです。
金色の水面。
明るい青色に染まる周りの岩。
飛ぶように泳ぐ魚の群れ。
無重力のようにふわりと浮かんでいる身体。
きれいで、心地良くて、ずっとこのままでいたいのに。
あぁ、来た。いつもの黒い人影。
私の腕を掴んで、痛いほどに引っ張って、この夢から引き起こすんだ。
まったく、いつかジャマされないで、この景色を、空間を満喫して
「……んう」
目を開けるといつもの天井。
あぁ、また起こされた。
この夢はいつもあの人影に終わらされる。
小学校の時に海に落ちた時の記憶の追体験だから仕方ないけど、夢で溺れる事はないんだから、もうちょっと後で助けてくれてもいいのに……。
でも、もうあの景色は夢じゃなくなる。
「詩衣、起きてるー?」
「うん! 起きてるよ!」
お母さんの声に、私はベッドから跳ねるように降りる。
今日から私は高校生。
必死に探して見つけた、スキューバダイビング部のある高校!
両親を説得して、勉強も頑張って、ようやく始まる私の夢への挑戦!
片道二時間の通学だって気にもならない!
私の夢は誰にも止められないんだ!
「は、廃部……?」
「えぇ、去年三年生が卒業したら他の部員も辞めてしまい、部員がゼロになったので廃部になったんですよ」
何故私は希望あふれる入学式の後に絶望を味わっているの……?
そんな、だって、去年までは、学校の特色としてホームページにも載ってたのに……。
「……部室に顧問の先生いると思いますので、とりあえず会ってみますか?」
「……はい……」
私はその言葉に、力なく頷く事しかできなかった……。
「猿海先生、スキューバ部に新入生が入部希望してるんですが」
「入部希望〜? どーせ美南の胸に釣られた馬鹿でしょ? あいつは卒業したからもういないって言ってください」
「いえ、女の子で」
「……何?」
背中を向けて何やら片付けをしていた、猿海と呼ばれた若い男の先生が立ち上がって振り向いた。
でかっ。
180くらいありそう。
細身に見えるけどガッチリしていて、アスリートって感じだ。
「君か? スキューバ部に入部したいってのは」
「はい! 子どもの頃から海に潜るのに憧れてました! この高校にも、スキューバ部があるって聞いたから入りました!」
「お、おう、そうか」
猿海先生は若干引いてるけど、こっちには夢がかかってるんだ!
なりふり構っていられない!
「お願いします! スキューバ部再開してください!」
「そう言われても廃部は廃部だしな……」
「去年いた人達を呼び戻したら……!」
「まともにやってたのは卒業した三年だけだったから、元いた連中は当てにならない。部長の美南の身体目当てみたいなやつがほとんどでな……」
「じゃあ新しく部員を集めます!」
「えー、いや、まぁ、そうしたら……、でも部員五人は集めないといけないからなぁ……。大変だぞ?」
「やります!」
力一杯宣言すると、猿海先生は溜息を吐いた。
……迷惑、かな……。
「よーし! そこまで海を愛してるって言うなら、先生力になるぞ!」
「! ありがとうございます!」
「新入生だったな。名前は?」
「はい! 一年A組、忍庵詩衣です!」
「……は……?」
あれ? 先生が固まった。
「……おし、あん、しい……?」
「はい!」
「……お前、昔この近くの海に落ちた事ある……?」
「え? あ、はい、その時に見た海の中の景色が忘れられなくて、それで」
「はぁ!? お前、あんな目に遭って、何で……!」
うえっ!? 肩を掴まれて、顔が近い近い怖い怖い!
「猿海先生、どうされたんですか? 落ち着いてください」
「え、あ、その、すみません……。忍庵も、すまなかった……」
「いえ、あの、何で……?」
瞬間、脳裏に浮かぶ夢の光景。
夢の最後に必ず現れる黒い人影。
その顔と猿海先生の顔が重なって……!
「あの時助けてくれたの、先生!?」
パズルのピースがハマるように、私の夢は本当の色を取り戻したのだった……。
読了ありがとうございます。
レア部活、すぐ死ぬ
まぁここで諦めたらそこでお話終了ですから、詩衣には頑張ってもらいます。
さて顧問の先生との奇縁が明らかになりました。
次話もよろしくお願いいたします。