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アーセナルウォーカー  作者: アルニクツエル
第一章第二節【自分無きそれは何を思う】
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第55話:人か怪物か

結構忙しくて大変でした…

お久しぶりです。生存報告かねて短いですが

 早朝日が昇り始めた頃カスケードは昨日からの作業をようやく終わらせ休憩に入ったところだった。

 薪ストーブに火をつけてヤカンを乗せて茶を沸かす。彼は自動化されたシステムよりもこう言った古風なやり方の方が好みだった。何も自動化が悪いとは言わないし設備の大半はかなり自動化されているがこう言った趣味は心を落ち着かせる。


 沸いたお茶を啜り、一息ついていた所をドタドタとやたら喧しい足音が近づいて来るのを感じたカスケードは深いため息をつく。やれやれまた騒がしい奴が来たと茶を一口飲む。


「やれやれ、あれが本当に普段は表情の変わらない鉄仮面とは思えんな」


 大きな破砕音に近い音と共に白銀の長髪をたなびかせた少女が入って来た。


「完成した!?」


「喧しい。昨日と今日とやたら元気な奴だな。お前は」


「自分の価値が上がる瞬間が一番生を実感するの」


「何言ってんだお前…まぁいい。ご要望の物は丁度さっき終わったところだ下で試してくれ」


そう言ってカスケードがノエルに薬剤の入った注射器のような物を投げ渡す。それを受け取ったノエルは怪訝な顔をするも一先ず下に降りてから考える事にした。




地下の試験場に到着したノエルは謎の液体の入った注射器を眺める。


「それは生体武器と言う部類の武装だ。お前さんの生体データを基準に生成してある。作るのに少々苦労したが余った分の素材と相殺なら大分おつりがくる」


 そう言いながらカスケードはグローブのような中が空洞のガントレットをノエルに渡した。


「これを腕にかぶせてからその注射器を首にでも撃ち込めばいい」


 受け取ったノエルが言われた通りに装着し首に注射器を撃ち込むと腕のグローブと肉体が一体化していく。未知の物体と自身の腕が一体化していくと言うその初めてかつ独特の感覚に眉をひそめ形容しがたい感情を抑える。


 腕が甲殻で覆われ盾として使える左腕と幾分か左と比べ甲殻が少ない代わりに動かしやすい右腕。異質と言えるその腕ではあるが違和感なく元からその形であったかのように使えるその腕を扱えることに驚きながらも思い思いの性能テストを行っていく。


「その腕には幾つかギミックが仕込んでいるとは言ったがそれ程高度なギミックはしかけられてはいない。それとこれは昔死んだ奴が置いて行ったものだ。釣りには多いが持っていけ」


 カスケードが渡してきたのは二刀二組の刀だった真っ黒のその刀は今回の生体武器と同じ漆黒の刀だった。


「その生体武器はちゃんと生身に戻るが刀なんかの近接武装ならその腕でも使えるだろうからな。

 ほら。お前さんには少々勿体無いくらいの技物だが…まぁ良いだろう」


 投げ渡された鞘に入った長刀の方の二刀を両手で受け止めたノエルは次いで投げ渡された小太刀を受け取ると身体変化に合わせ形状変化した強化服のアームマウントに装着した。


「ムラクモ工房製四刀一組の夫婦剣で銘は確か…”黒峰”だ。打刀サイズが二本と小太刀が二本。言い忘れていたが生体武器の方が”パッシブレットカドル”素材としては中の上だがその防御性能だけは目を見張る物が有る。持ち主が生物として成長すればその分成長するのが生体武器の利点だ筋トレしたら筋肉がつくようなものだな。まぁ上手く使えよ?」


 その後も仕込み武器や奥の手となりうる物をカスケードから説明を受け生身に腕を戻す方法を自力で見つけたりしているうちに日は上っていった。




 カスケード工房を出たノエルはそのままの足でクズハラモータスへ向かった。フェンリルとの依頼の異跡に向かう為の足が必要だったからだ。

 バイクでも行くだけならば問題は無いが、異物の収集となれば運べる量は雲泥の差であり運べる量が今回の報酬のボーナスと言える。それに何時までもバイクだけと言うのも不便であるため丁度良いとこの際購入する事とした。


『腕の具合はどうですか?』


『悪くは無いわ。実体剣の刀も貰えたし今日は凄く機嫌が良いわ』


 ノエルの腕は通常の人類の腕の見た目に戻っているが身体能力は以前よりも上昇しており既に肉体情報は生体武器がある前提となっている。


『私はあまりそう言った武装をお勧めしません』


 そのフェンリルの言葉にノエルはかなり驚いた。フェンリルにそう言った趣味嗜好は無い物と考えていたからだ。


『そう言った武装は人類として後退しているように思うのですよ。私達は知的生命体であり身体をいたずらに改造して上昇させ人間とは呼べない何かになるのは知的生命体とは呼べないからです。

 私達には頭脳があり道具を生みだせ、そしてそれを扱えます。それを放棄してモンスターと区別がつかなくなって欲しくないのですよ』


 普段ノエルよりも落ち着いているフェンリルのその言葉には確かに言い知れない感情がこもっており、ノエルはその言葉を聞き再び自分の腕を見つめた。


『そうね、私もモンスターになりたくは無いわ』

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