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アーセナルウォーカー  作者: アルニクツエル
第一章第一節【堕ちた白銀】
26/56

第25話:初めての病院送り

もうちょっと書いたよ

※2話更新の2話目です

 ノエルが眼を開けるとそこは白い天井の部屋だった。どこか見覚えのある部屋だなと思ったノエルは体を起こそうとするも腰から下と右腕の感覚がない事に気づく。


『まだ動かないほうがいいと思いますよ』


 もはや見慣れたフェンリルの姿を見て改めて生き残ったことを実感した。


「一応聞くけど、私生きてる?」


『本当にギリギリですが。間に合いました』


「ここまでの説明を聞きたいんだけど…」


『それはもうすぐ来る方に聞いた方がいいと思います』


 そう言ったフェンリルがベットを操作して起こす。周りを見渡すと普通の病室ではあるが個室を割り当てられていることが分かった。大部屋では無く個室を割り振られたことを不思議に思ったが一先ず置いておくことにした

 数分後病室のドアが開かれた。入ってきた男に見覚えがあった、ウメハラだ。


「よー!大丈夫かい?……失礼部屋を間違えた」


 ノエルの顔を見て出て行ったウメハラの態度にノエルは自分の顔がそんなに酷い状態なのかと思っていると、再びウメハラが入ってきた。


「間違ってなかったわ」


「私の顔そんなに酷い状態?」


「いや?傷一つない」


「最初に会った時仮面を付けていただろう?」


「えぇ」


「君の顔は天使系のモンスターと同レベルで美形だ」


「天使系のモンスターを見たことが無いのだけど」


「美人だって言ってるんだ。喜べよ」


「興味がないわ」


「もったいないねぇ。まぁ自覚はあるんだろう?だから仮面を付けてた」


「えぇ、それで?くだらない雑談をしに来たわけじゃないでしょう?」


「あぁ、勿論だ」


 そう言ってウメハラは書類を出した。それを受け取ったノエルはそれに目を通す。それは依頼の達成に関する書類だった、具体的にはイレギュラー発生はしたが依頼は中間報告時点で殆ど達成されたとして多少イレギュラー対応を行った事に対して追加で200万が支払われる事になっていた。


「先に言っておくが。君が勝手に護衛依頼を受けて、勝手に死にかけてこっちの依頼を反故にしかけたのに目をつぶって上げたんだから依頼額の増額はしないからな?」


「そんなこと言わないわよ。ねぇ…私の装備どうなったの?」


「ん?お前さんの仮面とあのコートはある程度修復機能が備わっていたみたいで修復済みだが。それ以外の強化服を含む大半の銃は軒並みスクラップだな、記念品以外の何物でもないがいるか?幾つかの改造パーツくらいしか残ってないぞ」


 それを聞いたノエルは薄々分かってはいたが予想通りでため息を付き落ち込んだ。


「まぁ、シーカー証と直ぐに使える端末くらいは報酬に追加してやれるが」


「お願いするわ…他にも使えるかある程度使える銃とか形が保たれてる銃はあった?」


「大立ち回りの戦闘データを見させてもらったからな!それくらいはやってやろう。アカウントはシーカー証と連携していれば連絡先なんかは前と同じのはずだから好きにしたまえ。形が保たれているものと言えば…君が最後に使った銃か殆ど使われていないリュックにあった物位だが…前者は使えなかったぞ?」


『あれはノエルにしか使えません。オーナー登録されています』


『そうなの?』


「それは私にしか使えないらしいから多分使えるわ。他には?」


「いいや、以上だ。もう一人お嬢さんがつっかえてるからな。おじさんはお暇するさ。装備何かは直ぐに届けさせるよ」


「助かるわ。お嬢さんってあの?」


「その通りだ。まぁ義体者になるか再生治療を受けるかは知らんが精々頑張れよ。じゃあな!」


 それを言い残してウメハラは出て行った。


『殆どの装備を失いましたね』


『あんなに苦労したんだもの。報酬に期待するわ、その後金で装備を買えばいいし』


『しかしTSSR対物ライフルは痛かったですね。あれだけで2000万近い高級品ですから』


『それ以前にこれ私体治るの?』


『再生治療はかなりの金額を請求されます。義体者になるかもしれませんね』


『義体…かぁ』


『嫌ですか?』


『そりゃあ、ねぇ。異界産のや超高級品の細胞単位ナノマシーン管理された殆ど生身と言える義体ならまだしもね』


『何とかなったらそう言った物を探しに異跡に行ってみますか?』


『何とかなったらね』


 フェンリルとそこまで話したところでノックが鳴り返事をすると例の金髪の少女が入ってきた。

 彼女はノエルの顔を見て固まった。


「お姉ちゃん?」


 そう呟いてハッとした彼女は直ぐに謝罪した。


「あ、ごめんなさい!面影が姉に似ていたもので…」


「いや、別に構わないけど…」


「えっと…あの時は名乗れず申し訳ありません。エイリス・クローレンハイヴと申します。エイリスとお呼びください」


「そう、私はノエルよ。今日は報酬の件で来たっていう認識で良いのよね?」


「はい、そうです…聞きました。かなり腕利きのシーカーと戦闘したと」


「まぁね。お陰でこんな状態よ」


 切断された右腕を振りながらそんな事を言うとエイリスは酷く落ち込んだ表情になった。


「生きてるだけまだましよ?無茶して勝てるなら無茶をするわ。それで私の無茶に対する報酬は?」


「少々算出に時間がかかっていますが最低限欠損部位の再生治療と喪失した装備分はお支払いします。ただ報酬の算出が時間がかかっていまして…」


「そう…」


「安心してください!相応の金額を用意させていただきます!」


「あ、ありがとう…」


「私は、正直調子に乗っていたんだと思います。それでいて現実の厳しさを知らなかった。ノエル様今回の件で私はある意味貴女に大恩が出来ました」


「別に、気まぐれに貴女が狙われたから助けただけよ。その後の事は貴女が自分で決めた事でしょう?一度プライドを粉々になってもこうやって立ち直ったならいいんじゃないかしら?」


「本当に姉のような事を言うのですね」


「そう?エイリスのお姉さんとは仲は良いの?」


「いえ、全く…会うたびに嫌味を言われますので」


「そうなの?」


「えぇ、本当に性格以外は完璧なのですが…」


 ノエルはエイリスとそんな話をしながらその日は検査等をする以外ずっと過ごす事になった。エイリスにとって友人と言うよりも親しい姉の様なものをノエルに感じ、あまり交友関係のない者同士喋り続けた。




 ノエルの体は明日には引っ付くこととなった。切り落とされた体の部品がある程度現物が残っていたため、それを修復する事で大幅に修復時間と医療費を削減できた。


「という事で治療費は極小部位の再生治療という事で料金が減りとその他の治療を含め1500万ルクルムとなります」


 そう主治医から言われ、正直億単位を想定していた為思ったより安上がりだなと思ったノエルはちょっとした幸運くらいに考え装備の整備を続けた。そもそも支払いは報酬からの天引き、これで収益がプラスになる事は確定しているのでそこまで気にしなかった。


『取りあえずベクター一丁とエクシウムくらいは使える。他はスクラップね、改造パーツはある程度無事だから良しとしましょうか』


『ノエルかなり仲のいい友人が出来たようですね。友人と言うよりは妹分ですか、いつの間にか呼び方も変わっていましたし』


『別に良いんじゃない?これから贔屓に出来る取引先兼妹が出来たと思えば。そう言う伝手が欲しいって話はしていたじゃない』


『確かにそうですね……ノエル一通メッセージが届きました』


『ん?誰から?』


『ウルフフラッグ所属のリーナからです。話の内容は要約すると体は大丈夫かと言うような心配のメッセージです。どうやらエイリスから聞いたようですね』


『そう言えばウルフフラッグにも仲の良い友人がいるって言ったけ。多分そのせいね』


『どうやらリーナもエイリスと仲良くなったみたいで明日一緒に来るそうですよ』


『明日の午後には退院なのだけど…?』


 ノエルは消灯時間までリーナとメッセージでやり取りをして時間を潰し、その日は眠りについた。

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