食料面・砂糖編
★食料面・砂糖編→スイーーーーツ!!!!!クリスマス!!!!!
異世界転移後の日本の砂糖の状況はどうなるだろうか。日本は2022年時点で砂糖の自給率は35%となっている。異世界転移後に砂糖が希少品となるのはほぼ確実だろう。
しかしである。私を含めた甘党にとって重要なのは、そもそもこの35%の自給率とはそもそも、どれだけの量なのかという事である。甘い菓子が食べられない程のレベルで不足しているのか、それとも菓子は作れるレベルなのか、はたまた家庭から砂糖が完全に消え去ってしまうレベルなのか。今回はそれを考えてみよう。
結論から言うと、甘いお菓子を食べられるかという側面だけで見れば、35%でも国民全員に行き渡るだけの砂糖はあるという事になる。ただし、肥料問題を何とか解決し食料生産量を減らしていないという前提でなければならない。
日本の砂糖生産量は凡そ788千トン(自給率35%)、グラムにして788,000,000,000gとなる。一方で板チョコ1枚辺りの砂糖の量は19g。仮に1億3千万人が1年間食べる分の板チョコを用意した場合、その砂糖の総量は901,550,000,000gとなる。しかし、この砂糖生産量では365日間、全国民分の板チョコを作る分には足りない。では、大雑把な制限をかけてみよう。1億3千万人が182日間(約半年)食べる分の板チョコを作るとする。するとどうだろうか。半年分であれば、それに含まれる砂糖449,540,000,000gとなり、全国民に砂糖を提供する事が理論上は可能となる(板チョコで例えたが日本ではチョコレートの原材料となるカカオ豆を自然の環境では育てる事が難しい為、自給率は壊滅的なのでチョコは全国民分作る事は不可能(チョコレート中毒者の私、涙))。
つまり、制限をかける必要はあるが、その生産量的には全国民に行き渡る分の砂糖は生産する事が可能なのである。理論上は国民一人あたりに付き、年間最大で砂糖6061.53846154gを提供する事が可能である。これは日本人の平均的な1人辺りの砂糖消費量は16.6kgであるとされている事から、6061.53846154gはkgに変換すると約6kgである事から凡そ16.6kgの半分未満から3分の1以上の量に相当する量である。
しかし、砂糖はなにも菓子だけに使われている訳ではない。料理用にも当然使われている。理論上は砂糖を全国民に行き渡らせる事は可能である。しかし、砂糖全てを菓子や現物(一人当たり年間6061.53846154gの現物の砂糖)として国民に行き渡らせる事は不可能に近いだろう。何故ならば、そんな事をすれば、日本中の食品メーカー、お菓子メーカー、酒造メイカーなどが崩壊まっしぐらだからだ。砂糖が無ければ成立しない業界は数多ある。経済的影響は計り知れない。
では、ここで今から行う考察に必要な資料を提示しよう。
日本で利用されている砂糖の用途別を割合で表した場合、2021年時点で、パン11%、菓子・冷菓32.9%、瓶・缶詰・ジャム3.1%、乳製品5.3%、清涼飲料・酒類18.6%、調味料・調味食料6.7%、漬物・佃煮・水産品など5.8%、その他16.1%が日本で利用される砂糖の用途であるとされている(畜産産業振興機構資料)。
もしも、砂糖全てを菓子か現物で全国民に提供しないのであれば、この割合の様に当然、様々な業界にも砂糖は提供されるだろう。
とはいえ、転移前の様なこの様な割合での砂糖の利用というのは日本国内の物資状況が改善しなければ、ほぼ100%行われないだろう。何故ならば、転移後は様々な物資が不足するからだ。例えば、先ほどチョコレートを話題に出したが、チョコレートがカカオ豆の輸入が途絶える事によって殆ど生産ができなくなるのは大変、良い例だ。材料が無ければ、材料が足りなければ、物は作る事はできないのだ。よって、異世界転移後の日本で生産される様々な食料品の割合は物資不足の状況に則した物へと変化する事となるだろう。
例えば、異世界転移後の日本の食糧事情を考えて砂糖の利用状況の割合(割合として見た話。ここ需要。砂糖の自給率35%の使い道の話)を想像すると、まず、パンは小麦や大麦の不足によって生産量が減る可能性がある事から、パンへの砂糖の利用は減少、もしくは大幅な減少をする可能性が考えられるだろう。瓶・缶詰・ジャムに関しては品物によって物資状況が違う為、まとめて予想する事は困難であるが、全体的には減少に転じる可能性が高いのではないかと思われる。これは瓶・缶詰・ジャムに使用される果物などが減るからだ。とはいえ、果実の自給率は39%に達している為、果実の生産量が減らないと仮定するならば、大幅な減少も考えずらい。ジャムや瓶に関しては世の中にはキュウリのジャムの様な物もある為、物資不足の状況下ではある物で新たな食品が製造される可能性もある。この為、瓶・缶詰・ジャムに使用される砂糖はこの新たな食品の開発状況と普及状況にもよると予想できる。
この様に異世界転移後も多少の用途に関する変動はあるにせよ、パン、菓子・冷菓、瓶・缶詰・ジャム、乳製品、清涼飲料・酒類、調味料・調味食料、漬物・佃煮・水産品、その他に砂糖が使用されると仮定した場合、超大雑把に計算すると砂糖の自給率は35%である事から、異世界転移後、砂糖を使った製品を私達が食べる頻度は普段の3分の1になると見積もる事ができる。
これは例えば、これも超大雑把に言えば、普段、週7日で砂糖を使用した菓子を食べている人は週2日程に減少。その他、使用しているあらゆる砂糖を使用した調味料や、食品を食する頻度も食べる頻度が週7日から週2日へと減少する様な感じで減少すると考える事ができるだろう(個人差大いにあり。この点は個人の生活習慣に左右される。また政府が完全配給制を導入していない事が条件。完全な配給制を導入している場合、全国民がほぼ同じ水準でしか食品が手に入らない為)。
とはいえ、異世界転移後は普通の食事ですら不足している状況である事から砂糖なんて作っている場合ではなく穀物、芋、野菜の生産を政府は優先し砂糖の生産量は大幅に減るのではないか?とも考えられる。
この点、作者は砂糖の生産量は減らないのではないかと見ている(肥料問題や自然現象によって砂糖自体の生産量が減る場合は除く)。というのも、砂糖は実は案外、私達の社会の安定に非常に貢献しているとも言える食べ物だからだ。
この様な記録が残っている。1940年、太平洋戦争中の真っただ中に徳島毎日新聞は「少なすぎる砂糖」という見出しで徳島市が砂糖が少なすぎるとして県に対して配給の割り当て量の増量を陳情する記事を出している。戦時中、日本は強力な情報統制やナショナリズムが世間を席巻し、かの有名な「ぜいたくは敵だ」というプロパガンダまで世に出ている様な時代であったが、この様な状況の中ですら砂糖の不足に対して堂々と国民が不満の声を述べているのだ(情報統制とナショナリズム社会の中において堂々と)。これは異世界転移後の日本の食糧状況に対する国民の反応を考える上で非常に参考になる事である。
現代社会は戦前、戦時中を遥かに凌ぐ超砂糖社会である。多くの人々が日常的に甘い物を摂取して生きている。甘い物でなくても様々な砂糖の入った料理をほぼ絶対的に日常的に口にしている。
知らぬが仏。現代日本人は砂糖の味を、砂糖が持つ魅力の完全な虜となってしまっている。現代よりも遥かに砂糖が消費されていなかった戦前の人々ですら極度の情報統制とナショナリズムが席巻する中、砂糖不足に対して声を上げているのである。これが、戦前の人々よりも遥かに砂糖の魅力に憑りつかれている現代人だったら……?もはや、想像に難くはないだろう。間違いなく砂糖を求める声は非常に強いだろう。しかも、現代日本には戦時中の様な情報統制体制も強大なナショナリズム社会も存在していない。この2つがあれば、不満の声を抑える事も少しは可能かもしれないが、現代には当然、存在しないのだ。
海外の事例を見ても砂糖不足は社会を大きく危機に陥らせる可能性のある要因の一つだ。フランスではハイチ革命の際に1790年代ではあるがフランスに大量の砂糖を供給していた植民地のハイチで起こった動乱によりフランス本国で砂糖が不足し、これにより暴動が頻発。1916年にはロシア帝国領内で砂糖が不足した問題で暴動が発生。近年でもエジプト政府が砂糖が不足した場合、暴動になると警戒感を露わにしていたというような話や、2022年にロシアによるウクライナ侵攻が始まったばかりの当初に経済制裁によって一時的にロシア国内では砂糖不足が発生したが、この砂糖不足はロシア社会にこれまた動揺を走らせた(物流が安定した事によりこの動揺はすぐに解消した)。
異世界転移後に日本が滅亡寸前にまで追い込まれたり、謎の敵に本土上陸されて大規模な戦いをやるとかそこまでの危機感が国民に植え付けられる様な事があれば、不満は抑制されるかもしれないが、その様な切羽詰まった事態が起きない限りは国民の不満は政府へダイレクトアタックまっしぐらの為、政府がこの様な不満を抑える為には少なくとも自給率分くらいは流通させる必要があるだろう。
実際、医学的に見ても、砂糖には依存性があり、麻薬並の依存度があると言われており、砂糖不足になるとイライラが止まらない人は現代にはごまんと居る為、砂糖を医学的に見た場合でも砂糖が不足すれば、それだけ国民から不満の声が出る事は大いに予想がつく。この話は甘党の人程、実感できる話ではないだろうか(下手すれば砂糖不足だけでも犯罪率増加しかねない)。
この為、政府は国民の不満を少しでも払拭する為に砂糖の供給はある程度は行う努力をする可能性があるだろう。また、これは砂糖では無いが日本の果実の自給率は39%ある為、果実も肥料不足や自然現象によって生産量が減らない限りは砂糖と同時に流通を出来る限り継続させて国民の不満を抑える方向性になる可能性があるだろう。また砂糖、果実に加えてサツマイモなどの甘い品種の芋類や普通の芋類などにも政府は国民の不満を抑える役割を期待するかもしれない。実際、戦時中は果物や芋類は不足する砂糖の代用品として使われていた歴史がある(芋から作られる芋飴などは戦時中に作られた砂糖の代用品としては、それなりに有名)。
将来的な砂糖の生産量の増加方式に関しては、栄養的に見れば、砂糖よりも果実やサツマイモを筆頭に芋類を量産した方が超絶、遥かに栄養を多く取る事が出来る為、政府としては砂糖は少なくとも転移初期はすぐには増産の方針にはならず、果実や芋類の量産の方を最優先し砂糖の生産量はとりあえずは、しばらくは現状維持となる可能性があるかもしれない。そして、食料事情がある程度、落ち着いてきたら、砂糖の本格的な量産体制へと移るかもしれない(ただし、在日米軍に関しては、在日米軍が農業を行う場合、沖縄が亜熱帯地方である為、転移初期から選択肢次第ではサトウキビの生産を選ぶ可能性あり。立地が南国だから)。
ちなみに、砂糖の生産と言えば?と聞かれればサトウキビをイメージしたり、南国の気候で作られるイメージがあるかもしれないが、これは間違いである。というのもなんと……砂糖の最大産地は沖縄でもなく、九州でもなく……北海道、千葉、愛知なのである!ファ!?南の方じゃないの!?と思う方も多いかもしれないが事実なのだ(作者も今年知りました……固定概念って怖い)。
実は日本で生産されている砂糖はサトウキビから作られる砂糖よりも、通称、砂糖大根と呼ばれるテンサイという植物から作られる砂糖の方が圧倒的に多いのだ。数値にしてなんと国産砂糖の80%近くがテンサイから作られている(ちなみに世界での割合ではサトウキビ製の砂糖の方が多い)。これは即ち国産砂糖を考えた時に、南の地だけでなくても砂糖が作れるという事である為、日本各地の広い地域にて砂糖の生産が可能であるという事である。
異世界転移後に食糧事情が安定化さえすれば、砂糖は国内の広い範囲で増産体制を整える事が可能だろう。
とりあえずは、異世界転移後に甘い物を一般庶民が完全に食べられなくなる様な事は、農業生産量が肥料不足や自然現象によって減少しない限りは、無い可能性が大いに高いと言えるかもしれない。
ただし、全国民が等しく甘い物が食べられるかどうかは、政府が食料品の統制政策(配給制度、食料品引換券制度、給付金の交付、食料の流通コントロールetc……などなどの様な、全国民に食糧が行き渡る様にする事を目的とした何らかの公平な食料の供給コントロールシステム)を導入するのか、しないのかが大きな分かれ目だろう。する場合は、甘い物が食べられる可能性は高くなるが、一方でしない場合は経済が壊滅状態で日本は失業者に溢れている為、お金が無くて買えない人が続出する事となっているだろう。




