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海上交通面・治安編

★海上交通面・治安編→超絶危険海域、なんじゃこりゃあああああああああああああああああ!!!!!


異世界転移後、遅かれ早かれ日本は異世界の国もしくは地域から資源や食料を入手する為に、多数の貨物船やタンカー等が日本と異世界の地を行き来する様になるだろう。そうならなかった場合はお察し(日本色んな意味で終了のお知らせ)。


この時、異世界の海を航行する船は果たして地球の時の様な運行ができるだろうか。恐らくは不可能だと予想される。というのも転移先の異世界が地球における中世から古代程度の文明度の場合、また異世界であると言う事を考えると、その海での治安はもしかしたら、現代地球を遥かに超える超絶危険海域と化しているかもしれない。


まず、大前提として異世界ファンタジーと言う事を考えるとどうしても、海の魔物であるとかそういう存在が居る可能性が考えられる。クラーケンとか海竜だとかetc。また、海以外にも空の魔物とかそういう存在が居る可能性も考えられるだろう。


そして次に海賊だ。脅威度的には流石にクラーケンとか海竜には劣るが。しかし、海賊を舐めてはいけない。現代人の多くは海賊と聞くと、某麦わらだとか、パイレーツオブカリビアンだとかをイメージするかもしれない。もしくはソマリアの海賊をイメージする人も居るかもしれない。


しかし、ハッキリと言って文明度が中世から古代の海賊と言うと下手すると国家レベルの脅威度を持っている可能性があるのだ。これは何も誇張した話ではない。


というのもだ。これは地球における中世や古代の時代を見てみると、お前らほんとに海賊かぁ!?と思える様なとんでもない連中がわんさかと居た記録が残っているのである。


例えば私達、日本人にとって馴染みが深いと言えるのは倭寇だろう。日本人を始め、中国人、朝鮮人、ポルトガル人、スペイン人などで構成されていたとする倭寇と呼ばれる集団は列記とした海賊に分類される集団である。歴史の授業を思い出してみよう。倭寇は一体、どれ程の被害を東アジア地域に及ぼしていただろうか。


倭寇は各国の沿岸部を始め、その内陸部にまで進軍し都市なども攻撃して略奪を行う等、とんでもない武装集団であった。これは充分に国家規模的な戦力を持っていたと言えるだろう。


また、さらに時代を遡り、古代の地中海に目を向けて見ると、古代ローマのユリウス・カエサルが生きていた時代にローマ最強の天才将軍ポンペイウスがギリシャ、エジプトを含めた北アフリカ、イベリア半島に巣くっていた海賊を討伐する為に、ローマから派遣されているが、その理由は海賊による襲撃によってローマが北アフリカを始めとした地域から海上輸入していた食料品の流通が滞ってしまい、物価高騰に悩まされていた事が原因だった。そこでローマ元老院は国家予算の7割と500隻の軍艦の派遣を決め、海賊の討伐に乗り出すのだが、この海賊討伐により最終的にはポンペイウス率いるローマ軍は合計2万人以上の海賊を降伏させ、1000隻以上の海賊船を撃沈し、1万人以上の海賊を戦死させたという……。


………………………………。

……………………。

…………。


ファッ!?


さて、驚いた人も居るのではないだろうか。海賊が1000隻以上の船を持ち、降伏した海賊と戦死した海賊も合わせれば3万人にも達する規模を有していたのである。もうどこぞの列記とした海軍レベルの戦力である。私もこれを知った時は驚愕したのをよく覚えている。


いやいや、言うても古代の話でしょ?そんな超巨大海賊なんて滅多に居ない居ない、と思う人も居るかも知れない。ではそんな方の為にさらに時代を中世に進めてみよう。


中世に目を向けて見ると現在のイギリスやヨーロッパ各地ではヴァイキングが大暴れしていた。ヴァイキングというのは聞いた事がある人は多いのではないだろうか。ヴァイキングは、ノルマン人の一派であり海賊行為や交易を行っていた。ヴァイキングはもしかしたら史上最強の海賊と呼べるかもしれない。何故ならば、ヴァイキングはヨーロッパ中でただ単に大暴れしたした訳では無い。なんと、各地の社会やその後の現代まで続く多大な影響を与えたのである。その冴えたる例が北海帝国とノルマン朝イングランドの誕生だろう。


現在のデンマークを支配していたデーン人と呼ばれるノルマン人の一派は北方沿岸地域で大暴れしていたが、その流れは現在のイギリスにもおよび、デーン人は本格的に侵攻し、最終的にはなんと国家を打ち負かしデンマーク、イングランド、ノルウェーを支配する北海帝国を形成した。


またその後も、ノルマン人の一派がかの有名なノルマンコンクエストを起こしノルマン朝イングランドを立ち上げるにまで至っている。このノルマンコンクエストは現在のフランスの地域にあたるノルマンディー公国が事の始まりであると言えるが、このノルマンディー公国の創設者はロロという人物であり、この人物は列記としたヴァイキングでありフランス北岸へ侵入し襲撃を繰り返していた海賊であった。この子孫であるギョーム2世がノルマンクエストを起こし最終的に、現在のイギリス王室の開祖であるウィリアム1世、またの名をウィリアム征服王となったのである。


もう国家滅ぼして新しい国家作るレベル。

ハッキリ言ってここまで色々見てきて、カリブの海賊が可愛く思えるレベルだ。ソマリアの海賊など、海賊の長い歴史から見れば小石レベルの規模だろう。


もっとも、その可愛く見えるレベルのカリブの海賊ですら、スペインを襲いまくってスペインの拠点を幾つも潰しているくらいにはとんでもない連中ばかりだったのだが……。


海賊の歴史を見ていると倭寇も一歩間違えていれば、ヴァイキングの様な事態なっていても、おかしくはなかったのでは?とも思ってしまう。


さて、これが海賊の歴史な訳だが……ハッキリ言って規模がヤバすぎるという事は分かってもらえただろうか。これら地球における中世や古代の時代の海賊を見ると、日本が転移した異世界の文明度が中世や古代の水準に相当するレベルであった場合、最悪の可能性として国家レベルの脅威度を持った海賊が居る海が待ち受けているという可能性は充分にあり得る。


魔物が存在する可能性や、海賊が存在する可能性……。


となるとだが、異世界の海を航行する日本の貨物船やタンカーは少なくとも武装海上警備員を乗せなければならなくなるかもしれない。


非武装の状態の航行でも海賊が居たとしても、最初の内は余りにも巨大すぎる鋼鉄の船に海賊がビビッて襲撃を控えるかもしれないが、その内、海賊側も気づくだろう。乗組員が少なかったり、武装が殆どされていない事に。そうなると襲撃は時間の問題であると言える(そもそも大きさにビビッてる様ならソマリアの海賊は存在しない)。


海上自衛隊や海上保安庁に護衛を任せればええやん!とも思いもしたが、日本は深刻な金欠状態である。貨物船やタンカーが出航する度に、毎回、毎回、護衛艦や巡視船を出している余裕はないだろう。となると、自分の身はできるだけ自分で守れが基本になる可能性が一番高いかもしれない。


だが、ソマリアの海賊と同じ対策では船を守る事は困難だろう。というのも、ソマリアの海賊はまだ小型艇を中心に少数の人員による犯行が主流である為、小銃や軽機関銃を持った警備員を数名ほど配置すればなんとかなるだろうが、中世から古代相当の海賊となると、良くてガレー船、ヤバくて日本がよく異世界転移する作品で登場する様な戦列艦がある様な世界なら、それこそカリブの海賊みたいなガレオン船でご登場する可能性がある。


さすがにカリブの海賊レベルの海賊船で来られたら、数名の警備員では対処は困難だろう。また、海賊船1隻程度の相手ならばまだ良いが、下手をすれば数隻で艦隊を組んで襲って来る可能性もある。


もちろん、ヨルムンガンドに出てくる様な超絶屈強な私兵達であればお茶の子さいさいかもしれないが、そんな私兵達は中々、お目にかかる事はできないだろう。


こうなると以前、安全保障面・木造船舶に対する機関砲の有効性でも解説した様に機関砲が最低1基は必要になるかもしれない。


もっとも、海賊だけに関して言えばだが、余りにも脅威レベルが高すぎる場合は自衛隊を全力投入してポンペイウスよろしく海域ごと鎮圧するという選択肢もあるだろう。だが、問題は海賊は鎮圧できても魔物の問題は残り続けるかもしれないという事だ。


そうなると、いずれにせよ武装海上警備員であったり、機関砲は魔物対策の為にも最低限は必要な装備となり得るかもしれない。例えば、空を飛ぶ魔物の存在を考えると機関砲は必要な装備と言えるだろう。


問題は海の魔物だ。空を飛ぶ魔物は機関砲で対処できるとしても、海中の魔物の対策は非常に難しい。海の魔物が出る海域には例外として海上自衛隊に対処してもらうのが無難かもしれない。


もっとも、自然が相手である為、完全無欠な対処ができるとは余り考えない方が良いだろう。現場で自衛隊が駆除をしても駆除を逃れた魔物が暴れるかもしれないし、駆除現場から逃げだして他の海域で別の船を襲いだすかもしれない。


なんなら、異世界ファンタジーと言う事を考えると、クラーケンとか海竜みたいな大型タイプの魔物だけでなく、深きものどもとか魚人みたいな魔物も居る可能性もある。有名なゲーム作品のCoC : DCotEで船が海中を泳いできた深きものどもに襲撃されて大きな被害を受けるステージがあるが、これと同じ様に海中を泳いできた人間台か、もしくは一回り大きい位のサイズの魔物に単体もしくは群れで襲撃を受ける可能性もあるだろう。


この様な大きさが人間位かそれより一回りか二回り位程度の大きさのタイプの魔物はもしかしたらクラーケンや海竜なんかよりも圧倒的に危険かもしれない。というのもソナー等の装備で姿を捉える事はできるだろうが、クラーケンや海竜なんかはサイズが大きい事が予想される為、探知した場合に警戒しやすいが、人間位であったり、それより一回りか二回り位程度の大きさ魔物の場合は、その大きさは、自然界に普通に存在する生物レベルの大きさでしかない。


例えばクロマグロであったり、サメであったり、クジラやイルカなどであったりだ。つまり、危険な魔物と自然界の魚と見分けをつけるのが非常に難しいという可能性もある。特徴的な水中推進音でも出してれば話は違うかもしれないが、そうでなければ、海上自衛隊の護衛艦レベルの装備でも下手をすれば群れレベルで襲撃(船上に上がり込まれる)を受けるという可能性もあるだろう。


CoC : DCotEを例に挙げて言えば、アメリカ海軍の沿岸警備艇(警備艇といってもめちゃデカい)に怪物による襲撃があり、兵士達は銃で応戦するが、甲板上は占拠され、船内にも侵入され、地獄絵図と化している。人間よりも高い身体能力と鋭い爪や牙によってズタズタに殺害された。


これはなにも、CoC : DCotEの世界だけであり得る事ではないだろう。というのも、生物的に見てみても、大きさが人間台の生物でも、その身体能力は人間を遥かに超越している事は私達の地球においても良くある事だからだ。


例えば人間と似通った大きさの動物にはツキノワグマが居るが、人間が単純な力比べをしても到底勝てるものでもない。ツキノワグマの能力を例に挙げると、嗅覚がに犬並に鋭く、視覚は人間並みかそれ以上、厚い皮下脂肪があり有刺鉄線も平気、走るスピードは短時間なら時速50km程(人間は男が時速13km、女が時速10km、人類最速のウサイン・ボルトでようやく時速45km。ツキノワグマは原付の法定速度30kmよりも早い)。爪次第ではあるが垂直の壁も登ることができる。柔軟性があり、狭い所でも通り抜けられ、直径44cmのドラム缶の中でもUターン可。など。なお、今はツキノワグマを例に挙げたが、世界を見ればこれ並やこれよりも、もっと危険な生物は世界中にわんさかと居る。チーターやオオカミなんかも良い例だろう。


こんなのに集団で襲いかかれればどうなるか……。それどころか、異世界ファンタジーでなおかつ魔物という事を考えれば、地球における動物よりも遥かに高い身体能力や凶暴性を持っているという可能性も大いにある。


こうなると選択肢としては人間位かそれより一回りか二回り位程度の大きさの魔物対策には全種類の外洋船舶の周辺に、かつての軍艦の装備である防雷網よろしく、防御網や防御柵、有刺鉄線を張り巡らせるという選択肢が出てくる可能性がある他、大型の海の魔物対策に関しては、究極の選択肢としては、貨物船やタンカーに自衛用に爆雷や短魚雷などの装備をさせるという選択肢も将来的にはあり得るかもしれない。


防御網や防御柵、有刺鉄線の有効性は、人間台から人間位かそれより一回りか二回り位程度の大きさの海の魔物対策に効果が持てるだろう。どういう事かと言うと、つまりこれらの魔物は船をよじ登って上がり込もうとする可能性や水中から猛ジャンプをして上がり込もうとする事が想定できる訳だが、これらの防御網、防御柵、有刺鉄線は魔物が船に乗り込む事態に際してある程度の時間稼ぎができると推測される。


防御網、防御柵、有刺鉄線の存在によって魔物が面倒くさくなり襲撃を諦めれば、それでよし。そうならずに襲撃を仕掛けてきたとしても、防御網や防御柵、有刺鉄線を乗り越えようとする魔物を船上から武装した乗員が銃撃などの攻撃を浴びせる事で乗り込まれる事態を防ぎやすい効果が得られるだろう。


スターシップトゥルーパーズかな?(すっとぼけ)


なお、レーザー兵器、高出力マイクロ波、非致死性レーザー兵器、ドローンなどによる対策も有効的であると思われるが、こちらは半導体の生産問題によりタンカーや貨物船などの民間船舶への配備は恐らくは難しいだろう。これら最新鋭の電子兵装には高性能な半導体が使用されている事から、これらを生産し配備できるとするならば、恐らくは自衛隊や在日米軍などの公的軍事組織のみだろう。


さて、それでは仮にここまで述べてきた海賊や魔物に対する対策を究極にまで施したとして、その貨物船やタンカーに搭載されている装備を想像してみよう。


究極にまで対策を施した船には武装した人員、機関砲、対潜装備、防御柵類(防御網、防御柵、有刺鉄線)が搭載されているだろう。なんなら、より自衛性を高めて主砲を装備する可能性もあるだろう。


ここまですれば、その外見は恐らくだが、一昔前の戦車揚陸艦の様な姿に似た姿になっているかもしれない。いや、防御柵類(防御網、防御柵、有刺鉄線)があるから厳密にはかなり違う印象を受ける可能性もあるかもしれない。


と、ここまで書いた訳だが、私的には正直、ここまでの装備は必要が無い可能性は、かなりあるのではないかと思っている。というのも、異世界の情勢次第で海賊対策の装備は必要だろう。武装した人員や機関砲(場合によっては主砲)は必要かもしれないが、対潜装備、防御柵類について必要性はあまり無いのではないかと思う。


というのも、仮に日本が転移した異世界で異世界勢がガレー船や、ガレオン船など地球における中世や古代基準の船舶を利用している場合、なぜこの様な脆弱な船が襲われないのかという疑問点が発生する。


これを考えてみると仮に襲われたら、ひとたまりもない様な危険な魔物が居たとしても、襲われる様な事は稀な事だから使えているとなるのではないかと思う。


となると、日本の船も危険な魔物が居る海域を航行してても襲われない可能性が高いのではないか。こう考えられる訳だ。


しかしながら、異世界勢がガレー船や、ガレオン船など地球における中世や古代基準の船舶を利用していても、上記の様な魔物対策(武装した人員、機関砲、対潜装備、防御柵類(防御網、防御柵、有刺鉄線)を施した 貨物船 or タンカー が日本には必要な状況になるという状況も考えられない訳ではない。


例えば、異世界の船舶と日本の船舶の違い等が関係しているという可能性がある。


私が思いつくだけの想定される例を挙げると、異世界の船舶が地球における中世や古代基準の船舶である場合、スクリューなどの水中推進装置を用いていない可能性がある。一方で日本の船にはスクリュー等の水中推進装置が搭載されている訳だが、これが日本の船に対する魔物の襲撃に繋がる理由になる可能性もある。どういう事かと言うと、水中推進装置を用いない異世界船が発生させる水中音と日本の船が発生させる水中音には大きな差があると推測されるが、この日本の船が発する水中音が魔物を引き寄せる原因となってしまうという可能性が考えられる。


他にも、ソナーが原因となる可能性。地球において、ソナーが水中動物に影響を与えているという話がある様に、魔物にも何らかの影響を与え魔物がその発生源である地球の船を襲う原因になってしまうという可能性だ。


また、そもそも船の大きさが原因となってしまう可能性もあるかもしれない。サメが海に漂う人間を襲う様に、もしかしたら海に居る魔物から見て、巨大な船体は自分達と同じ巨大な魔物の身体の様に見え、獲物として襲おうとする可能性があるかもしれない。この場合は比較的小さい船、ボートや大きさが異世界勢の使う船舶レベルの大きさであれば襲われる可能性は低いだろう。


対策の有無の可能性。例えば実は異世界勢の船も何もしなければ襲われてしまうが、実は異世界勢の船には魔物に対する対策として何らかの魔法的や神秘的な力による対策をしている為に魔物が闊歩している海でも、普通に航行する分には魔物には襲われないという可能性がある。この場合、当然の事ながら、対策を施していない船は襲われてしまうが、日本の船もこの対策を施す事ができれば安全な航行ができる可能性が高まるだろう。


あとは、上記の様な理由が複合的に重なって異世界勢の船は平気なのに魔物に日本の船は襲われるという可能性も考えられるだろう。


この様に、異世界勢は大丈夫でも日本は大丈夫ではないという可能性も考えられるのだ。


さて、この様な重武装 貨物船 or タンカー が仮に配備されるとなるとすると、ある問題が発生する。それは海上武装警備員を何処から調達するかだ。


扱う武器が歩兵装備を中心としたり、機関砲程度の装備であるならば、失業者溢れる日本中から募集してそれらの人々に歩兵装備や機関砲の使い方を教える程度でなんとかはなるだろう。特殊な軍事訓練も恐らくは必要ない。なぜならば、船上の警備が業務だからだ。戦闘となれば大忙しだが、そうではない天気の良い日は甲板上にパラソルを広げてレジャーチェアに座って双眼鏡片手に海に異常が無いかを確かめるのが船の上での警備だ。炎天下と日焼けと雨の日が地獄ではあろうが。この場合、民間軍事会社や警備会社、船会社の私兵が大儲けをする様になるかもしれない。異世界転移後の日本は経済が壊☆滅した影響により、日本国内の治安は悪化の一途をたどるだろう。その為、日本中で警備の需要が大きく高まる事が予想される。そうなると、日本中で警備関連の企業があちこちで立ち上げられるだろう。それらの企業が海上武装警備にも参入してくるかもしれない。そうなれば一定の失業者対策としての雇用効果も期待できるだろう。


問題は、船に主砲や対潜装備なども搭載しなければならなくなった重武装 貨物船 or タンカー の場合だ。これらに搭載された装備を扱うには、民間人に武器を持たせたレベルの武装警備員では荷が重すぎる。専門知識を持った人材が必要だ。また、先ほどは機関砲も失業者溢れる日本中から募集してそれらの人々に歩兵装備や機関砲の使い方を教える程度でなんとかはなる装備の範疇に含めたが、実戦的に言うと、素人よりも専門的な扱い方を学んだ人材の方が機関砲を有効的に活用できるだろう。


また、深きものとか海人みたいなタイプの魔物が闊歩している場合は、最悪の可能性としてスターシップトゥルーパーズみたいな緊急事態も想定される。つまりは船に大挙して魔物の群れが上がり込もうとする事態だ。この様な事態が発生した場合も民間人に武器を持たせたレベルの武装警備員では荷が重すぎるだろう。やはりしっかりと訓練を受けた人材が必要だ。


この問題をどう解決すれば良いのか。


警察や自衛隊を動員するか?確かに警察や自衛隊であるならば、民間人に武器を持たせたレベルの武装警備員よりは練度は高いだろう(警察は別に通常業務で機関砲を扱う訓練を受けている訳ではないが、銃の扱い方や緊急時の対応の基礎は出来ていると考えられる)。


しかし、恐らくは警察や自衛隊の人員を 貨物船 or タンカー に配置するだけの余力はどちらの組織にも無いだろう。警察は国内の治安の悪化に対処しなければならない。自衛隊は日本全国からの災害派遣要請に応じなければならない。手が空いているとすれば、海上自衛隊だが、海上自衛隊はただでさえ、人手不足が有名だ。そこから貴重な人材を割り当てるのは難しいだろう。というか海上自衛隊には転移によって異世界の未知に全方位された状態の日本本土を守る重要な任務がある。航空自衛隊も論外だろう。


もちろん警察や自衛隊の人事部が死ぬ気で人員配置を調整すれば、ある程度は 貨物船 or タンカー を警備する為の人員を割く事はできるだろう。しかし、日本が必要とする資源の輸送量を考えると、この程度の人員では恐らくは全く足りない。


それでも転移初期は何とかなる可能性が高いだろう。転移初期はそもそも貿易量が恐らくは少なく、日本が運行する 貨物船 or タンカー の数も恐らくは少ない。問題が露呈し始めるのは貿易量が増加し始めた頃だ。


日本が異世界の地域との貿易量が増加し始めた頃には恐らくは、それなりの月日が経過している可能性が高いと思われるが、その頃には自衛隊の前代未聞の災害派遣状態も解消されている可能性はあるだろう。そうなれば手の空いた陸上自衛隊から警備の為の人員を割くという方法もあるだろう。


だが、この場合の問題は、陸上自衛隊の人員が船に乗ってしまう為、陸上自衛隊の即応能力が減少してしまう事である。何か大量の人員が必要な事態が発生しても、すぐにそれらの人員を使う事が出来ない。また、異世界の地からの物資供給は日本にとっての生命線である為、万が一、日本にとって安全保障上の重大事態(戦争など)が発生しても、船へと派遣した人員に関しては、その人員をその安全保障上の重大事態に参加させる事ができないという深刻な問題もある。日本への安定的な資源供給体制を守る為に船に乗せる警備要員は引き続き乗せ続ける必要がある為だ。


と、ここまで見てきて、どうすれば良いんだ……と頭を悩ますわけだが……。


デメリット覚悟で自衛隊を動員すると言うのは、この問題に対する解決法の一つとしては良い選択肢の一つではあるだろう。


だが、ここまでこの問題を見てきた訳だが、私はここである組織の存在を思い出した。その組織はこの問題に関しては日本中、どこもかしこも人手不足な状況にも関わらず、唯一暇をしている組織があるという事に……。


その組織は自衛隊並、いや、下手をすれば自衛隊よりも経験豊富な戦闘員を多く抱えている組織だ。そんな人員を抱えているにも拘らず暇な組織なんて日本国内に存在するの……?と思うかもしれない。しかし、実は一つだけ存在するのだ。


それは……デデデン!!在日米軍!!


日本国内において間違いなく、警察であったり自衛隊であったりと国や地方自治体どの公的機関も大忙しな中、それに比べれば、遥かに大幅に暇してますよこれは。


在日米軍であるならば、兵士の実力も問題はなく、主砲や対潜装備も充分に扱えるだろう。ハッキリ言って重武装 貨物船 or タンカー を使わなければならない状況下においてはこれほど、最適な人材は恐らくは他に居ないだろう。


在日米軍に任せる事ができれば、自衛隊は即応能力を減少させず、また、安全保障上の重大事態が発生しても、船に人員を派遣してはいない為、安全保障上の重大事態に問題なく参加をさせる事ができる。


日本政府としては重武装 貨物船 or タンカー で使用される弾薬であったりとか機材を提供するだけで良い。


在日米軍側も日本政府とはできるだけ良好な関係性を維持したい為に、もしもこれが要請をされたならば、よほどのことが無ければ断る事はしないだろう。もちろん、日本政府側からの見返りは必要だろう。そしてそれは恐らくは在日米軍駐留経費だ。


日本は異世界転移後、当然、経済が壊☆滅した事によって、苦しい状況となる。日本政府から毎年支払われる在日米軍駐留経費は日本政府とアメリカ政府が結ぶ協定に沿って支払われている。転移前にアメリカ政府と結んだ額は異世界転移後も恐らくは支払われるだろう。だが、問題は、その協定期間が終わった後だ。駐留経費が完全に無くなる事は無いだろうが、それでも減額される可能性が大いにあるだろう。なお、転移前と同水準の額を転移後も継続して貰い続けられていたとしても、それだけでは在日米軍を運営する額には不足している。だから在日米軍はそれ以外にも色々金稼ぎをしなければならない。それは在日米軍、日本一の農家さんになるかもしれない説や、在日米軍面・マネー編・恐怖の種(一部説未満)でも指摘した通りだ。


在日米軍は異世界転移後、資金不足に悩まされる事になる。この為、組織を維持する為に様々な試行錯誤を半沢直樹ばりに行うだろうが、この状況下でもしも、日本政府から在日米軍への予算を上げたげるから……なんて言われたら恐らくは喜んで引き受けるだろう(在日米軍にとってそれが自身の経営的に利点となるなら。なお、利益にならない場合はこの仕事は断られる可能性は高い。何故なら組織に金が無いから……世知辛い)。


さて、今回の一連の話をまとめるとだが、異世界に海賊や魔物が存在する場合、さらにその脅威度次第で 貨物船 or タンカー の有り様も大きく変わるという事だ。


これらの存在に襲われる可能性が低いのであれば、その装備や人員はそれ相応の物となり、逆に襲われる可能性が高いのであれば、装備や人員はより重厚に必要になる。では、以下に今回の話を図で簡単に表してみよう。


☆☆☆


※図の記号の見方。戦闘員はS、機関砲はK、対潜装備はT、防御柵類(防御網、防御柵、有刺鉄線)は柵、民間人に武器を持たせたレベルは民間、兵士級のレベルは兵士。


襲撃の脅威度 / 船に必要な戦闘能力 / 船に必要な乗組員の練度

  無し   /    必要なし   /     必要なし  

  微細   /    S      /      民間

  軽度   /    SK     /    民間 or 兵士

  中度   /    SKT    /      兵士

  高度   /    SKT柵   /      兵士


襲撃の脅威度についての各種説明。無しは言わずもがな安全な海という意味。微細は小銃や機関銃レベルで対応可能な敵という意味、つまりはソマリアの海賊レベルぐらいの脅威度と考えて良い。軽度は敵がガレー船やガレオン船などの船舶で襲撃してくるレベル、また空からの魔物の襲撃を想定するレベルの脅威度という意味。中度は海賊や空の魔物の他、水中の大型の魔物からの襲撃を想定するレベルの脅威度と言う意味。高度は海賊や空の魔物の他、水中の大型の魔物や小型や中型のサイズの水中の魔物に最悪群れで襲われるレベルの脅威度という意味、別名スターシップトゥルーパーズ。


なお、ちなみに余談だが軽度や中度の脅威度に関しては、場合によってはその人員については、一律に兵士級のレベルではなく、対潜装備を扱う人員や機関砲を扱う人員だけを兵士にして、その他は民間人に銃を持たせたレベルという事も、状況次第では有りかもしれない。


あともう一つ余談として、中度や高度の脅威度がある世界の場合、場合によっては将来的には貨物船やタンカーは装甲化がされる未来もあるかもしれない。というのも、これらの脅威度に対応する為には当然の事ながら、人材や装備を非常に必要とする。これは大きなコストだ。このコストに対応する為に、もしかしたら船に搭載する武装を全て遠隔操作式とし、また、武装や装備を最小限化(防御柵類に至ってはほぼ完全撤去)し、船内から操作が可能な様にした上で、船の構造を例え、魔物に乗り込まれたり上空から襲撃を受けたとしても、けっして船内には侵入できず、攻撃にも耐えられる様にする事で、魔物の襲撃をやりすごすタイプの船が生まれる可能性もあるかもしれない。つまりは船内に完全に引き籠って籠城するタイプの船。


☆☆☆


ちなみにこれは書いてて思った事だが、もしかしたら、日本が転移した世界が国家級の海賊に襲われている様な世界であるならば、これを日本が軍事力で完全に鎮圧する事ができれば、異世界の国家から英雄視され大いに仲良くなる取っ掛かりになれるかもしれない。


というのも、古代ローマにおける海賊討伐の歴史の中で、ポンペイウスは海賊を討伐した事によって海賊に襲われていた古代ギリシャの都市国家の人々から英雄視されているのだ。さらにその後に起こったローマ内戦でポンペイウスはユリウス・カエサルと対立するのだが、この内戦の主戦場であった古代ギリシャの地域はポンペイウスの支持基盤の一つとして機能した。その理由は恐らくは海賊討伐の功績がある程度は影響していると考えられている。


これは考えてみれば当然の事で、例えば、中世の時代にヴァイキングが大暴れしていたヨーロッパにある日突然、ポンペイウスとその軍団がやって来てヴァイキングを討伐できたとしよう。そうしたら、今まで襲撃を受けていた国々は彼とその軍団を褒めたたえるのは想像に難くない。何故ならば、先ほども説明した様に、ヴァイキングは国家滅ぼして新しい国家作るレベルの勢力だったのだ。彼らによって脅かされていた国々からすればその状況から解放される訳だ。褒めたたえない訳が無いだろう。


同じようにアジアにやってきて倭寇を討伐しても同様に明や朝鮮は大きな被害を受けていた為に討伐後には間違いなく討伐者は褒めたたえられるだろう。


こうした事を考えるともしも、日本が転移した先の世界に強大な海賊勢力がいてそれらが周辺諸国を荒らしまわってる場合は、その海賊を討伐できれば、海賊に襲われていた国々から日本は英雄視され、それらの国々を大いに味方に付ける事が可能になるかもしれない。


また、海賊の討伐によって海賊の襲撃を受けていた国々から名声を集める事ができる一方で、もしかしたらこれが日本への戦争抑止効果に繋がるという可能性もあるかもしれない。これはどういう事かと言うと、つまり、それまで海賊の完全討伐を異世界の国々はできなかった訳だが、これを日本一国で討伐に成功すれば、他の国々ができなかった事を日本と言うたった一国で成し遂げたという話になる。これは異世界の国々からすれば、軍事的に見て日本の軍事力の強さを示す話になるだろう。


日本と言うぽっと出の国(異世界で)があれだけ暴れまわっていた海賊を倒したという話の情報だけでは、もしかしたら日本の正確な軍事力や技術力までは知る事はできないかもしれないが、それでも、まともな国家であれば、この話だけでも、日本が他の異世界の国々の中でも相当な軍事力を持った国家であるという事は想像が付く筈だ。これは充分に異世界の国に、日本に手を出すならば相当な痛みを被る可能性があるという事や、うかつに手を出すのを躊躇わせるという事に繋がり得るだろう。


つまり、海賊討伐が一定の戦争抑止力となる可能性があるかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今、世界史で古代ローマをやったばかりでその中に海賊の話をやった覚えがありますが…まさかここまでやばい組織だったとは…最早海賊という名の国家でしょ() しかも国家規模の組織が略奪や破壊、暴力…
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