安全保障面・ダンジョンを考えてみよう!
新年明けましておめでとうございます!今年も『現実問題として現代日本が異世界転移したらどうなるかを軽く考えてみた。(連載版)』をよろしくお願い致します!
★安全保障面・ダンジョンを考えてみよう!→ふむふむどらどら
最近の異世界系と言えば魔法とか魔物に次いでダンジョンが思い浮かぶのではないでしょうか。
日本が異世界転移する作品にもダンジョンが存在する世界としない世界があります。今回はダンジョンと言うものが存在しているという事で考えていこうと思います。
なお、ダンジョンと言えば中に居る魔物ですが、魔物の脅威度に関しては前回の魔物に関するエッセイ?コラム?位の脅威度の魔物を想定します。
ですが、一概にダンジョンと言っても作品ごとに様々な種類があります。単に魔物が巣くっているだけでダンジョンと言われる物もあれば、ダンまちみたいに魔物が無限沸きする物、魔王軍の様な勢力の拠点の一つとして使われている物、無限沸きするタイプの魔王軍の様な勢力の拠点の一つとして使われている物など様々です。調べればもっと種類があるでしょう。
この為、ダンジョンの存在を現実的に想定して考えるには、ダンジョンとはどの様な物なのかを仮定する必要があります。では今回は上記の4つについて、安全保障の観点から考えてみようと思います。
まずは、軍事的要素の物から考えてみます。魔王軍の様な勢力の拠点の一つとして使われている物と、無限沸きするタイプの魔王軍の様な勢力の拠点の一つとして使われている物です。
軍事的要素のあるダンジョンはそれが日本と敵対しているのであれば、破壊できるのであれば破壊しなければならないでしょう。軍事的な要素があるという事はそれは敵の基地と同じな訳で、これを放置する事はできません。破壊できないのであれば軍事的に封鎖する処置が必要でしょう。
ただ、もしもダンジョンが破壊できない代物+で魔物が無限沸きするタイプであった場合、日本にとって非常に大きな頭痛の種となる事が予想されます。例えば、その様な軍事的要素のあるダンジョンがありそれを日本が軍事的に封鎖しているという状況は、日本と魔王軍の様な勢力が既に敵対関係となっている事が想像つきますが、そのダンジョンを日本が封鎖しているという状況は、これ即ち、日本の勢力圏内にこの様なダンジョンがある事を意味しています。
つまり、もしかしたら状況的には魔王軍の様な勢力と自衛隊が対峙する最前線地域から離れた自衛隊側の勢力圏内の後方地帯にダンジョンが常にある状況もあり得るでしょう。これは自衛隊にとって大きな不安と頭痛の種です。なぜならば、ダンジョンを封鎖する為に兵力を割かないといけないばかりか、最悪の場合として、封鎖が突破されれれば後方から魔王軍の様な勢力が最前線の自衛隊部隊に向けて進撃してきたり、自衛隊の補給線に大きな支障を及ぼす可能性があるからです。自衛隊はこの様な不安を常に抱きながらその地域に展開しなければなりません。
では次は軍事的な要素が強くない物について考えていきます。
まずは単に魔物が巣くっているだけでダンジョンと言われる物を考えていきます。こちらは、単に害獣の住処に他なりませんので、もしも日本の勢力圏内に存在する場合には早めの攻略が必要となるでしょう。魔王軍の様な勢力に属しておらず単に孤立した群れ、ないしは集団であれば、その脅威度は魔王軍の様な勢力に属するダンジョンよりは脅威度は低いと言えますが、魔物の凶暴性を考えると放置する事は非常に危険です。早急な攻略が必要でしょう。
ダンまちみたいに魔物が無限沸きする物に関しては、魔物が外に出てこない様にする事は必要でしょうが、ダンジョン自体が仮に物理的に破壊できる物だったとしても、必ずしも破壊する必要があるのかと問われた場合には少々難しくなります。安全を第一に考えるのであれば破壊できるのであれば破壊した方が良いでしょう。ですが、ダンジョンという事を考えるともしかしたら利用価値があるかもしれません。
例えば、本当にダンまちのダンジョンみたいに魔物を倒すと魔石が出てくるとかドロップアイテムが出てくるとか、あとはダンジョン内に希少な鉱物などの素材があるとかであるならば、そのまま残しておいて一種の鉱山としての利用方法を模索する事も可能だと思われます。また、魔物が自然発生するという事を考えると自衛隊や銃火器の企業等が新兵器や新装備の試験運用を行える場所でもありますので、実験場としても使えるでしょう。極めて実戦に近い演習が行える演習場としても使えるかもしれません。
これらの場合、前回の銃刀法の問題のコラム?エッセイ?の中にあった様にもしも、魔物に対処する為に日本の銃刀法が緩和していた場合には、ダンジョンを探索する人々の様相は剣や槍や弓などから、銃火器を持った人々に取って代わっているかもしれません。
ですが利用価値が低いという場合ももちろんあり得るでしょう。例えば魔石やドロップアイテムや内部で採れる希少な鉱石などの素材による収入をひっくるめても、ダンジョンの管理費用が収入を上回り、赤字となってしまうパターンです。この場合はパッパと破壊できるのであれば破壊した方が良いです。その方がコストがかかりません。ですが、問題は物理的な破壊ができず、なおかつ利用価値も低いというパターンで、この場合、日本がダンジョンを管理する場合、毎年かなりの赤字の管理費用を浪費しなければならなくなるでしょう。
自衛隊や企業の新兵器や新装備の実験場や演習場としては申し分ないのですが、それ以外は非常に苦しい立場でしょう。この状況は例えるならマヴラブのBETAの巣であるハイヴです。マヴラブの世界で人類はBETAの大規模な侵攻をできるだけ抑制する為にBETAの巣であるハイヴに軍事的な圧力をかけて間引きを行う事をしていますが、このダンジョンの問題はスケールと脅威度が小さいだけで似た様な問題であると言えます。
ダンまちに登場するダンジョンは冒険者がダンジョン内での討伐活動を行わなければ、大量のモンスターがダンジョンから溢れ出てくるとされています。そして、この様なタイプのダンジョンは他にも多くの作品で見られます。最近だと転生したら剣でしたのダンジョンがそうでしょう。であるならば、日本が転移した異世界のダンジョンもそうであるという可能性は当然あるでしょう。
討伐活動を行わなければ、大量の魔物がダンジョンから溢れ出てくるのであれば、定期的にダンジョンの魔物を討伐し続ける必要があります。ですが、討伐を続けても赤字が続くという状況は、先ほどのBETAのハイブと似た様な状況だと言えます。なぜならば、BETAの間引きを行っても倒したBETAの体から何か収益があるかと言われれば特に無いからです。では、なぜあの世界では収益性が無いのにBETAと戦っているのかと問われたらそれは、あの世界の場合はBETAと戦わなければ人類が滅亡してしまうからな訳です。
では、これを異世界転移日本のダンジョンに当てはめてみると、ハイブがダンジョン。BETAが魔物。ハイブの攻略が非常に難しいという状況は、ダンジョンを物理的には破壊できないという状況に。BETAと戦わなければ人類が滅亡してしまうという状況は、ダンジョンを管理しなければ魔物が溢れ出てきてその地域に大きな被害を与えると、当てはめる事ができるでしょう。
スケールと脅威度が小さいだけで似た様な問題とはつまりこういう事となります。BETAの様な人類滅亡の危機!という状況ではありませんが、常に赤字を垂れ流し続ける訳です。
では次にダンまちのダンジョンを例に、もしも、ダンまちに登場する様なダンジョンを日本が管理するならばどの様な感じになっているのかを私なりに考えてみたいと思います。管理組織と実務の2つを考えてみたいと思います。
管理組織に関しては、まず第一に考え着くのは、自衛隊もしくは警察が主体となって管理しているパターンと、単体の民間軍事会社や民間警備会社による委託管理。複数の民間軍事会社や民間警備会社による委託管理です。私の推測ですが赤字管理の場合にはこれらとなる可能性が強いのではないかと思います。一方で黒字で管理できる場合には以下となる可能性が高いと思います。防衛省もしくは警察庁が運営する国営企業による管理。新たに新設された新基軸の国営企業による管理。そのダンジョンがある都道府県級の自治体による管理。そのダンジョンがある都道府県級の自治体が運営する企業による管理。JA(農業協同組合)の魔物狩猟版みたいな協同組合による管理。単体の民間軍事会社や民間警備会社による委託管理(先ほども登場しましたが、黒字で管理できる場合でもあり得ます)。複数の民間軍事会社や民間警備会社による委託管理(先ほども登場しましたが、黒字で管理できる場合でもあり得ます)。単体の民間軍事会社や民間警備会社による管理(先ほどの民間軍事、民間警備と違うのはダンジョンそのものを企業側が所有しているパターン)。複数の民間軍事会社や民間警備会社による管理(先ほどの民間軍事、民間警備と違うのはダンジョンそのものを企業側が所有してるパターン)。政府によって新たに新設された新基軸の民間企業による管理(立場的には国鉄がJRになった様に、新たに設立された民間の会社)。
実務に関して考えてみます。ダンまちに出てくる様なダンジョンの場合、地下に何層もの階層がある事になりますが、ダンまちのダンジョン程に広い区画が多い場合は小型トラックなどが物資や人の輸送に使われている可能性があります。戦闘用としては民間の小型トラックをテクニカル化した物や、以前、自衛隊が使っていた73式小型トラックのテクニカル仕様みたいな車両を使っているという可能性もあるかもしれません。サイズ的にはM113装甲兵員輸送車みたいな装甲車を運用しているという可能性もあるかもしれません。M113装甲兵員輸送車の大きさは73式小型トラックよりも若干大きい位ですのでダンジョンの内部は悪路があるという事を考えるとキャタピラで動くM113装甲兵員輸送車みたいな装甲車が導入されるという可能性は充分にあり得るでしょう。さらに装甲車である為、防御力もあります。その他、自動車以外にはトロッコ列車の様な鉄道を引くという可能性もあり得るかもしれませんが、場合によっては爆発物の使用も考えられる様な戦闘を想定すると、戦闘で線路がダメージを受ける可能性がある為、鉄道は難しいかもしれません。
次にダンジョンは広大である為、もしも地下深くにまで部隊を展開しようとすれば、補給などを行う拠点が必要だと考えられます。ダンまちのダンジョンではリヴィラの街という街が安全地帯とされるダンジョン内部の地下18階層に存在しここが補給基地として機能しています。ダンまちの世界は使っている武器が剣、刀、槍、弓、拳、魔法の世界ですので、補給箇所はこのリヴェラの街だけで済みますが、銃火器を使用する現代勢力の場合、補給箇所は1ヵ所だけでは足りないと推測されます。現代では戦闘をする度に弾薬を消費するからです。その為、現代勢力が管理するダンジョンには複数の箇所に補給基地が設置されていると考えます。補給基地には恐らくですが、出入口にはバリケードがあり、その内側には物資集積所や簡易的もしくは、それなりの宿舎が用意されていると考えられます。そして、拠点防御の為の武装には機関銃、機関砲、自動擲弾発射器、ロケットランチャーなどが配備されているかもしれません。少なくとも機関銃や手榴弾くらいはあると思われます。
なお、地下深くにまで部隊を展開するつもりが無いのであれば、補給基地の数は大幅に削減が可能でしょう。必要ないという可能性も有り得ます。必要ないという状況はどういう事かというと、ダンジョン内部への突入後、短期間で撤収するという事です。この場合、もしかしたら魔物の討伐回数が少ない為に大量発生などの事態が発生する可能性がある為、ダンジョンの入り口には武装封鎖線が構築されているかもしれません。大量発生の可能性を考えると機関銃、機関砲、自動擲弾発射器、ロケットランチャーなどの重武装が配置されているという可能性もあるでしょう。
ちなみに実務を考えると、1年辺りのダンジョンの管理にかかる維持費の最低限な額の算出が可能となります。
保有している武器の費用+1年間に必要な弾薬の費用+1年間に必要な歩兵装備の費用+1年間に必要な燃料の費用+1年間に必要な食糧の費用+1年間に必要な飲料の費用+1年間に必要な医薬品の費用+1年間に必要な補給基地の維持費用(補給基地の資材費用や設備費用など)+1年間に必要な補給基地の維持費用以外の設備の維持費用(資材費用+設備費用)+1年間に必要な電気費用(※自家発電の場合、これが0円の代わりに燃料費用もしくは1年間に必要な補給基地の維持費用以外の設備の維持費用の方に上乗せ)+人件費=管理に最低限必要な額。
式にすると恐らくこんな感じになるでしょう。もしかしたら漏れがあるかもしれませんので、その場合はご指摘お願いします。これに当てはめて考えてみると、ダンまちに登場するダンジョン程の規模のダンジョンをもしも現代勢力が管理する場合、非常に巨額の費用が必要になるかもしれないという事が分かります。
ですが、実は実務に関して、上記の方法よりもコストを超超超大幅に削減する手段が存在します。
それはもしも、日本が運営するダンジョンに前の運営者、つまりは例えば冒険者ギルドみたいな組織が存在しなおかつその組織が黒字で運営をしていた場合には、その組織、所属している労働者、やり方を、全てまるっとそのまま買収して使えば良い訳です。そうすれば、コストは上記よりも全然かからないでしょう!
つまりはダンジョンの探索をする人々は引き続き剣、刀、槍、弓、魔法を主軸に中に入ってもらうという訳です。これに加えて銃火器なども使われているとは思いますが、概ねは前の組織のやり方を踏襲すれば良い訳です。そうすれば、前の運営体制で黒字であった訳なので黒字で運営はできるでしょう!
なお、この手段の問題点はダンジョンに入る労働者の労働環境は上記よりも遥かに過酷+命を失うリスクが非常に高い為、現代の日本においては人権問題に発展する可能性が非常に大。なんなら裁判祭&国会大炎上祭になる可能性が大有だという点。
なお、現代の日本においてはとは、どういう意味かというと、日本領内であれば大問題になる可能性は極めて大きいという意味です。これが日本の領土外の外国での出来事であれば、ある程度は許容範囲内かもしれません。
というのもです。日本は残念ながら人権を真の意味では遵守している国ではありません(まぁ真に人権順守している国は少ないけど、それにしても欧米諸国に比べても人権意識は低い傾向にある)。中国のウイグル人の強制労働問題でユニクロを筆頭に日本の名だたる大企業が何社も強制労働に関与していると指摘されていましたし(この強制労働の指摘には日本企業だけでなく世界中の大企業の関与が指摘されている)。ミャンマーに関しても日本の経済界の重鎮や大手商社が参加する日本ミャンマー協会がミャンマー軍との関係がズブズブ過ぎてミャンマー軍を擁護して問題になりましたし(この問題は協会から企業の退会が相次ぐ事に繋がったが擁護の撤回などは無し)。日本政府は日本政府でミャンマー軍との関係が断ち切れず、クーデター後もミャンマー軍の士官候補生を自衛隊が訓練で受け入れ続け、批判される中、防衛省は自衛隊が訓練した士官候補生はミャンマー本国での人権侵害には関与していないとの見解を出すものの、それから僅かな後に、アメリカの人権団体に日本で訓練を受けた将校が無差別爆撃や虐殺に関与していた事を指摘された結果、ようやく防衛省が新規の士官候補生の受け入れを停止するという顛末もありましたし(なおここまでクーデターから1年半近く)。ロシアに関してもロシア市場から撤退を決めた企業の割合は他の欧米諸国に比べて低い状況(G7最下位)。ユニクロがしぶしぶロシアから撤退した話は有名。
現状でも明らかになっているだけで、軽くこれだけの問題があるので異世界に行ってもこうした人権感覚は変わらない可能性が高いと思われます。日本国外での出来事であれば、よほど国内で社会的に問題視される様な事にならない限りは、人権侵害に日本の企業や組織が仮に関与していたとしても多くの人権侵害は見逃される可能性はあるでしょう。




