武器輸出面
★武器輸出面→電動モーター死ぬ程ベストセラー商品になるのでは……?
よく、日本が異世界へと転移する小説で日本が異世界の国に対して武器を輸出する際にするかしないかで揉めている描写が存在する。
その揉めてる主たる理由は日本が持つ技術が流出するのではないかという懸念や、武器輸出に関する日本国内の政治的問題からだ。
銃や砲や爆弾を輸出すれば構造を理解した異世界の国が火縄銃やフランキ砲を生み出すかもしれない。銃や砲や爆弾は原理と仕組みさえ分かれば古代から中世程度の文明度でも開発は容易に可能だ(※ただし、性能は保障しない)。
また、異世界の国が日本と交流を重ねれば、自然と多くの情報が流出するだろう。日本に異世界の国から留学生が来たり旅行者が来たとして、その来訪者は日本中、どこでも、そこらの本屋や図書館に行けば武器に関する資料は幾らでも手に入る。インターネットを見たならばもっと情報は手に入れられる。
日本が輸出した銃や砲などの武器の現物を研究した上で日本へと行って情報を得た人物が国へと戻れば、その国の武器研究は一気に大躍進を遂げるだろう。
先程は火縄銃やフランキ砲などと行ったが、場合によっては日本と接触する前は剣と弓しか持たなかった様な文明度の国が多くの段階をすっとばしてライフル銃や爆弾だって量産できる様になるかもしれない。
そして、ライフル銃や爆弾や大砲が作れるようになりその技術が万が一にも異世界中に拡散する様な事態を招けば、日本の優位性が若干揺らいでしまう。
それでも日本がチートレベルで強いには変わりないが、ライフル銃が登場してしまえば、いざ日本と異世界の国との間で戦争になった場合に自衛隊側の戦死者や怪我人が出る確率がかなり増えてしまうだろう。戦いの難易度も中世や古代レベルの文明度の相手と戦争するよりも少々難しくなってしまう。
少なくとも現物(銃や砲や爆弾)を与えなければ、異世界の国の武器開発の研究は大幅に遅延させる事ができるだろう。
知識の日本からの流出は起きても、それだけではすぐに開発をするのは困難だ。
例えば中国の技術力が急発展を遂げられた理由には現物のリバースエンジュニアリングと知識の収拾を同時平行して行っていたからという理由がある。
例を挙げれば、日本や欧州から新幹線を輸入してそれを分解し構造を学び、その上で各国から知識を入手しこの2つで得られた知識で自国でも生産できる様に体制を整えた。もしも、どちらか一方でも欠けていたら、今頃、中国の高速鉄道の開発は大幅に遅延していただろう。
例えばだが、電話機を本の知識だけあげるから、それで一から作れと言われるのと、現物があってそれを元に本の知識も合わせて一から作るのとでは、どっちが完成するのが早いのかという話だ。
また、どっちが良い物を作れるかという話にもなる。
よって、現物が無ければ、開発を遅延させる事はできると予測できる訳だ。
(異世界の国にアルキメデス級の偉大な発明家でも居なければの話だが。アルキメデス級の天才発明家が居れば、めちゃくちゃ早く完成させられる可能性はあるかもしれないが……)
なるほど。
確かに日本が異世界の国に銃や大砲や爆弾を輸出するのには相応のリスクがある様に思える。
揉めるのも当然だろう。先程も言った様に銃、砲、爆弾は原理と仕組みさえ分かれば、性能の保証はできないが、中世や古代の文明度でも可能だからだ。
しかし、この事について考えた時、これならば武器輸出、銃や大砲や爆弾を輸出するよりも、大丈夫なのではと思える考えに思い当たった。
それは、銃や大砲や爆弾でなければ、問題ないのではないか?という考えである。
どういう事かと言うと、大前提として現代日本を異世界の国から見た場合、その異世界の国の文明度が中世や古代レベルであったとして、日本が持つ全ての技術は黄金以上の価値を持っているだろう。
殆ど全てがチート性能だ。それは武器に留まらず民生品に至るまで全てがである。
この事を前提として考えた場合、例えば、日本が異世界の国に武器を輸出するとして、めちゃくちゃ異世界の国の人間からするとスゲェ!欲しい!と思われる様なものはなにも、銃や大砲や爆弾だけではない。
例えば警察装備が良い例だろう。
警察の機動隊や警備会社が装備している防弾ジョッキ、ボディアーマー、出動服、ヘルメット、安全靴、ライオットシールドなどの装備は古代や中世レベルの文明の国から見た場合、充分にチートレベルの装備だ。なんなら、古代や中世レベルの文明の国の軍人からこれらの装備を見た場合には、普段から鎧を着ているがゆえにその性能のすごさが分かりやすく、神話の装備の様にも見えるかもしれない。
なぜならば、これらの暴徒鎮圧装備の防御力は古代や中世の防具の防御力を大幅に超えているからだ。
どれ位、超えてのかというと、古代や中世の鎧や盾が、銃弾には耐えられないのに対して、現代の防具は銃弾を防ぐ事が可能なのである。
例えばであるが、古代ローマ軍に現代の暴徒鎮圧装備(武器は含まない)を与えて近代のマスケット銃を装備した戦列歩兵部隊と戦わせたら、古代ローマ軍は銃を装備した戦列歩兵部隊を蹂躙する事が可能だろう。
何故ならば、マスケット銃では暴徒鎮圧装備を貫通する事はできず、銃剣でも剣でも槍でも防具を貫通する事は当然できない。また、例えハンマーやモーニングスター等の鈍器を使ったとしても、耐衝撃性が高い為、有効なダメージを与える事はなかなかできないのだ。
まさにチート装備である。
もしかしたら、暴徒鎮圧装備を手に入れられた異世界の国の軍はテルモピュライの戦いにおけるスパルタ軍なみの活躍だって容易にできるかもしれない。
これらの暴徒鎮圧装備は間違いなくチート装備だ。
古代や中世レベルの文明の国からすれば、充分に喉から手が出るレベルで欲しい装備だろう。
そして、その一方で日本側から見てもこれは非常に好都合なのではないかと思う。
何故ならば、銃や大砲や爆弾と違って技術流出する可能性が極めて低く、例え流出してしまったとしても日本の安全保障に特段の脅威を与える事は恐らく無いからだ。
というのも、これらの暴徒鎮圧装備は現代科学の結晶とも言える装備だからだ。
ポリカーボネート、ナイロン、ステンレスなど、中世や古代レベルの文明国では現物だけあっても到底生産もできず仕組みも良くわからない代物なのだ。また仕組みや作り方が分かったとしても、製造には少なくとも第二次世界大戦期よりも高い技術力が必要である。よって真似をする事はできないのだ。
もしもそれでも流出してしまった場合の話は以下でする。
暴徒鎮圧装備以外だと、電動モーターも異世界の国からすれば喉から手が出る程の代物となり得るだろう。
というのも、中世や古代レベルの文明国の場合、その国にはバリスタや投石機( オナガーやトレビュシェット )が存在する可能性が非常に高いが、これらは、非常に強力な性能がある反面、1発を発射する為に多くの人員の労働力を必要とする。小型や中型程度のバリスタならば、必要な人員は少なめで済むだろうが、砲弾を発射する様な大型の物ともなると、発射態勢を整える為にそれだけ多くの人手が必要だ。そして時間もかかる。
だが、電動モーターを入手したならば、その異世界の国の軍隊のバリスタや投石機は、電動モーターを持たない他の異世界の国の軍隊のバリスタや投石機と比べればチート級の性能を発揮できるだろう。
電動モーターを利用すれば、発射態勢を整えるのに多くの人手が必要だった状況が一変する。わずかな人数で砲弾を打ち出す大型のバリスタを操作する事が可能となるだろう。さらに、初弾発射後の次弾発射までにかかる時間も大幅に短縮でき敵の軍隊からすれば驚愕するレベルでの速射が可能となる。
人員が少なく済めば、軍隊の人件費を抑える事や、または最前線の兵士の数を増やす事や、バリスタや投石機の運用数を増やす事もできる。また、発射速度が上がれば、それだけ攻撃能力が向上するという事なのだ。
もともと、バリスタや投石機は命中精度が高く射程距離も長い。それが少ない人員で使用が可能に、さらに速射が可能という事は充分にチート武器として成立する。
もしもバリスタや投石機が無い国への武器輸出が目的の場合ならば、バリスタや投石機がある別の国から貿易などで日本が直接や第三国を経由してバリスタや投石機を購入しそれに電動モーターを装着して売るという事もできるだろう(日本でもバリスタや投石機を製造する事はできるが、幾つかのテクノロジーが現代ではロストテクノロジーと化している為、現役で使われている異世界の国のバリスタや投石機と比べて射程距離や命中精度などの性能が劣ってしまう可能性がある)。
そして、日本側から見ても電動モーターは暴徒鎮圧装備と同じく非常に好都合であろう。
電動モーターも暴徒鎮圧装備と同じレベルで中世や古代レベルの国が真似をするには難しい技術だ。ただし、異世界側に与える電動モーターはなるべく最新の電動モーターを与えた方が良いかもしれない。最新の電動モーターはそれだけ高度な技術が多く使われている為に異世界側から見れば、さらに訳が分からない品物となるだろう。
というのも電動モーターは仕組みさえ分かれば初歩的なものならば、恐らくは古代や中世レベルの文明でも製造が可能である。もちろん、現代のモーター程の性能は到底得られないだろうが、それでもそれを行われてしまった場合、それは技術が流出してしまった事を意味する。また、初歩的とはいえ電動モーターが誕生してしまえば、ゆくゆくは将来的に産業革命を自国のみで達成する事も恐らく可能となるだろう。
日本としては、産業革命はなるべく遅くなってほしい筈だ。
であるならば、異世界の国に提供する電動モーターは構造が単純なものではなく、なるべく異世界の国の人間から見て理解しにくい構造をした物の方が良いのではないだろうか。そうすれば、研究開発をそれだけ遅くする事ができるだろう。
また、これらの暴徒鎮圧装備や電動モーターは輸出の名目や日本の安全保障を考える上でも非常に都合が良い。
まず、暴徒鎮圧装備や電動モーターを輸出する場合、これは恐らく武器輸出には分類されない可能性が高い。暴徒鎮圧装備はあくまで警察装備であるし防具だ。電動モーターは産業製品として輸出できる。名目上、武器輸出に分類されないという事は、武器輸出アレルギーのある野党やメディアを掻い潜る事が可能だろう。
野党やメディアはもしかしたら、武器に転用されるなど気づいて反対を主張するかもしれないが、武器といえば銃や戦車を想像する一般国民の多くは防具や電動モーターを見てこれが残酷な事に使われるかもしれない等とはピンとはこないだろう。
強い反対運動などは起きない可能性が非常に高いのではないか。
つまり政治的に輸出しやすい。
例えば、政府としては野党やメディアに叩かれた時に暴徒治安圧装備は、あくまで治安改善の協力の為に輸出した等の理由や、電動モーターは産業品としてあくまで輸出している等の理由を言い訳として言えるだろう。それが例え、あくまで本音では武器輸出の目的として最初から輸出していたとしても、建前上の言い訳ができるだろう。
野党やメディアの叩きが想定よりすごかったならば、輸出相手国に伝家の宝刀、遺憾の意を伝えるという手もある(武器に転用したという理由で)。なお、遺憾の意はあくまで日本国内への政治的ポーズで、これによって話題を曖昧にし輸出を継続するという手もできるだろう。
(※ただし、先程、もしもバリスタや投石機が無い国への武器輸出が目的で、電動モーターつきバリスタや投石機を輸出する場合を解説したが、バリスタや投石機を購入して電動モーターを装着して武器輸出相手国に輸出するという手を実行している場合は、もっと上手いやり方を考えないと、追求を逃れられない可能性が高い。少なくとも日本国内に第三国からバリスタや投石機を持ち込んで電動モーターを装着する改造をしたり、バリスタや投石機を作って輸出したら誰がどう見ても武器輸出だから、「いや、武器輸出じゃないっすよ」と言いたいのであれば、バリスタや投石機は日本を介さずに武器輸出相手国が入手するのがベスト)
次に安全保障上であるが、まず、技術流出がしにくいという事は前述したが、それ以外でも、例え流出したとしても、しないとしても、日本にとっては大した脅威にはならないのである。
どういう事かと言うと、例えば、日本が暴徒鎮圧装備や電動モーターを提供した国が恩を仇で返す様に日本と敵対したとしよう。なるほど。確かにこれらの装備によって、中世や古代レベルの文明度の国々の中ではチート級の軍事力の国となってはいるだろう。しかしそれはあくまで、中世や古代レベルの文明度の国々の中での話だ。
暴徒鎮圧装備を容易く貫き破壊できる装備を多数持ち、バリスタや投石機よりも遥かに遠くから正確に攻撃できる装備を持つ日本が負ける要素が一切ない。それどころか、日本は他の異世界の中世や古代レベルの文明度の国に対処するのと殆ど同じ対処法で無双できるだろう。
日本が提供した装備はあくまで暴徒鎮圧装備や電動モーターだけで、日本の脅威になりそうな銃や大砲や爆弾の類は一切提供していないからだ。
さらに万が一、技術や装備が諸外国に流出したとしても、これらの程度の流出ならば、日本の安全保障を考える上では大した問題は起き得ないからだ。銃や大砲や爆弾に比べれば遥かに(※銃や大砲や爆弾は仕組みと原理さえ分かれば低性能な物なら古代から中世の文明度の国でも充分に製造可能)。
または、これらの暴徒鎮圧装備や電動モーターに加えて、自動車を輸出するのも問題ないかもしれない。なんなら、自動車は電動モーターよりも技術を真似る事が困難だろう。古代や中世レベルの文明の国では製造はほぼ不可能だろう(アルキメデス級の科学者が居れば話は違うかもしれないが)。
輸出する上で技術流出を本気で防ぐなら、ソーラー自動車とか輸出すれば、燃焼機関よりも仕組みが複雑である事から、真似される可能性を大幅に防げるだろう(※ただし、ソーラーパネルは原材料的に輸出するだけの生産量に日本国内の製造量が達していない可能性があり)。
自動車があれば、人員の輸送はもちろん物の輸送も異世界の国からすればそれまでよりも簡単になる。
以下の話は安全保障的にはもしもその国に裏切られた場合や品が流出してしまった場合に問題が生じる可能性はあるが、技術流出する可能性の低さという面で言えば、上記と同じ理屈で言えば、例えば異世界ファンタジーという事を考えると、ドラゴンや怪鳥が日本が武器輸出をする相手国の敵国に居る可能性が当然あるが、携行式対空ミサイルも日本が信頼する国(※よっぼど信頼する国に限る)には与えても問題はないかもしれない。
暴徒鎮圧装備、電動モーター、自動車、携行ミサイルがあれば、これだけで充分に輸出相手国の国防能力の大幅な向上となるだろう。前者二つだけでもかなりの国防能力の大幅な向上なのだから、後者二つを加えた場合には、さらなる強烈な戦力の強化となるだろう。
つまり、今回の話をまとめると、銃や大砲や爆弾を輸出しなくても、暴徒鎮圧装備、電動モーター、自動車程度の装備でも異世界の国側から見れば充分なチート兵器として成立する可能性が高いという事。
日本は銃や大砲や爆弾の技術を提供しなくてすむからハッピー。難しい技術が使われてるから技術流出の可能性が低くなってハッピー。提供した装備が万が一流出したり相手国が日本を裏切って敵対した場合でも日本の脅威にはならない品物だからさらにハッピー。
異世界の国から見ても充分にチート級に値する装備だからハッピー。
以上。
まぁ、今回こんな事を書きましたが、ファンタジー世界のありかたしだいではこの上記の文章はゴミ屑になるので注意。
どういう事かと言うと、例えば暴徒鎮圧装備と同性能もしくはより性能の高いファンタジー素材製の鎧が腐るほどある!みたいな世界だったら暴徒鎮圧装備を輸出しても、たいして売れない可能性大有り。
魔法で電動モーターの代わりみたいな事ができる様なら電動モーターも軍用品としては、たいして売れない可能性大有り。
まぁ、日本が飛ばされる異世界次第って感じですかね。




