日本の生態系面
★日本国内の生態系面→自然保護団体大困惑(;´゜д゜`)
日本が異世界転移した場合の日本国内の生態系について、考えたのって恐らくこれが初めてなんじゃないだろうかと私は密かに思っています(どん!……先駆者のお方が居たらごめんなさい。謝ります)。
日本異世界転移系の作品って主題が未知との遭遇、政治、軍事、交流の4つだと私は勝手に思ってるんですけど、これらが主題であるが為に、これらよりも方向性が異なる問題については余り取り上げられない傾向があると思うんですよね。
そこで、今回は異世界転移後の日本の生態系について、考えていきたいと思います。
基本的に、日本の生態系は転移後に気候が大幅に変わるでもしない限り、同じ気候であった場合には大した変化はしないと思います。
ただし、渡り鳥とか、海の生物に関しては恐らく大きな影響を及ぼすのではないかと考えます。
例えば、日本と一緒に転移に巻き込まれた渡り鳥が転移先で日本を旅立ったまま帰ってこずに、そのまま異世界の別の土地に生活環境をうつしてしまうだとか、逆に異世界側の渡り鳥の様な特性を持った生物が日本に飛来するなんて事もあるかもしれません。
海の生物に到っては、転移後は十中八九、よっぽどの奇跡でも起きない限り海流の流れとかが地球と変わっている可能性が大なので、回遊魚なんかは生活圏が移動したりするなんて事もありえます。
海の生物の生息分布が変化する場合は、日本の食糧事情に深刻な打撃を与える可能性もあります。
日本人は何かと魚を食べるけど、その魚が日本から離れたり住む場所を変えたりなんかしたら、当然の事ながら、不漁は不可避になってしまいます。ただでさえ、輸入に頼って食料不足なのにダブルパンチ!
現にリアルでも秋刀魚が最近獲れなくて話題になったけど、あれの理由には中国や台湾の漁船が獲り過ぎってのもあるんだけど、もうひとつの理由が海流の流れが変化して秋刀魚が日本近海に寄り付かなくなったってのもあるらしいです。
転移後の日本人の主要なタンパク源は魚になる事が予想されます。なぜなら、肉は国内だけでは全国民に行渡るだけの需要を満たすのは不可能ですし、転移直後はすぐに入手する当てが無い。
そうなると、日本は島国なので必然的に魚を獲るというのは当然の結果となる訳です。でも、その魚が取れなくなったら……怖いね。
また、食とは別に怖いのは、たとえ奇跡が起きて地球から一緒に転移した地球の海洋生物が日本付近に居たとしても、異世界に居る生物によって生態系が破壊されるなんて事もあるかもしれません。
現実でも、海外から持ち込まれた外来種によって、在来種が駆逐されるなんて事は良くある話です。
では、話を海から陸地へと戻しましょう。
とりあえず、異世界から日本国内に新たな生物が入ってくる話は置いておきます。え?何故かって?
何故なら、結論はもう上で出て居るから。異世界であろうがなんであろうが、日本国外から入ってくる生物は全部外来種なんで、基本は上で述べた異世界に居る生物によって生態系が破壊される可能性に起因します。
妖精が入ってこようが、ユニコーンが入ってこようが、ドラゴンが入ってこようが、人間と同レベルの知的生命体で無い限り全て外来種です。
ブラックバス、ブルーギル、ヒアリ等々となんら変わりの無い存在です。
どんなにファンタジーでメルヘンちっくな存在であろうが、日本の生態系に害を及ぼすならば、それは駆除の対象です。
ごほん。置いておくと言いつつ説明してしまいましたね。
では、今度こそこの話は置いといて、陸地の話、既存の生態系についてお話しましょう。
既存の生態系について、実は転移後の日本ではかなーり厄介な問題に直面すると考えられます。
それは……日本国内の外来種の扱いです!(デデドン!)
どういう事かと言いますと……。
まず、この場合の外来種とは異世界を起源とする外来種ではなく、あくまで地球を起源とし日本国外より持ち込まれた外来種を言います。
例を挙げるなら、ブラックバスだとか、ブルーギルだとか、ヒアリだとか、アライグマだとか。
皆も聞いた事あるでしょう?特にヒアリなんかは日本中で大騒ぎになったよね。
外来種ってリアルで結構、大変な問題なわけですよ。
たとえば、有名な話だと多摩川!この川の別名を皆知ってるかな?
タマゾン川だよ!タマゾン川!なんと多摩川は熱帯魚が増殖してピラニアだとかグッピーだとか、なななんと200種類もの外来種が生息しているらしいんだなこれが!
釣りに行けば30cmの外来魚や下手をすれば1mを超えるような南米原産のアリゲーターガーが釣れちゃう!
南米に行かなくても南米気分を味わえる訳ですよ。
この問題、多摩川だけかな?って思う人も居るかもしれませんが、これ全国的な問題なんですよね。
全国各地の色んな川がこんな感じ。まぁ流石にタマゾン川のレベルではないですけどね。むしろ多摩川、外来種多すぎィ!実は自然改造計画やって南米を再現しました!って言われた方が頷いちゃうレベルですよこれは。
それに、外来種が居るのは川とか湖だけじゃなくて、山や街にも。
皆知ってた?ハリネズミって日本にも居るんだよ!山とか林にね!もちろん最初から居た訳じゃないですよ?ペットとして持ち込まれた奴が野に放たれて増殖して定着しちゃった訳ですよ。
これ以外にも、アライグマだとかオポッサムだとか大御所だとアメリカザリガニ先輩だとか……。
あっ!そうだ!こないだテレビで知って驚きましたよ!日本にも野生のオウムやインコが沢山居るって聞いて!
いやー、これは日本に居ながら南米旅行ができる日も近いですね!
…………。
今挙げたのあくまでごく一部だからね?全部なんて挙げたらきっと、このページ埋まっちゃうよ?
まぁともかく、外来種って日本に物凄い数が居る訳ですよ。
で、その中には日本の在来種を食い荒らしてしまうような凶悪な外来種も居る訳なんですよね。
こういう存在を政府では特定外来種って枠組みに指定して日本からの根絶目指して駆除してる訳ですよ。
ただ、一応言っておきますけど、動物に罪は無いから。
全部、人間が悪いからねこれは。飼えきれなくなったりしてそれを捨ててそれが増殖してってのが大半だしね。
動物からしたら、人間に勝手に遠く離れた土地に連れてこられて、捨てられて、頑張ってその土地の自然に適応して数を増やして暮らしてたら、殺しにこられるようなもんだからね。
でも、残念ながら日本の在来種を守る為には駆除するしかないんだなぁこれが。
まぁこれらがリアルで日本が長年、悩んでる外来種の問題な訳ですよ。
では、外来種について語った所で本題に入りましょう。
なぜ、これらの外来種の扱いが転移後に問題になるのか。
それは、転移後、これらの外来種はその絶対数が大幅に減らされる事で、駆除から保護対象になる可能性が非常に高いという事。
どういうことかと言うと、現在、これらの外来種が駆除できる理由はこれらの生物がこの地球上で物凄い数が居るからなんですよ。日本で全部殺そうが絶滅しないレベルでね。
だけど、転移後は地球と隔絶される訳で、これら外来種の生物は日本に居る個体を殺し終えてしまえば、もう二度と現れる事は無いんですよ。つまりは、絶滅です。
地球に居るんだから駆除しても良いではないかと思う人も居るかも知れないけど、事はそう単純な事じゃない。だって、転移後に地球との行き来ができれば、それもその選択肢に入るかもしれないですけど、そうでない場合は、地球の状況が分からない訳ですよ。極端な話、日本転移後に地球が存在していると証明できるの?って話です。もし、日本転移後に地球が滅んでいたら?日本に居る外来種殺しちゃったらそれは日本だけじゃなくて、この宇宙からその種を抹殺してしまう可能性もゼロじゃないわけですよ。
それに、地球があっても行き来が出来なければ、日本から外来種を絶滅させてしまったら、研究だってできなくなる訳です。それは科学的にも、そして倫理的にもまずいでしょう。
だから、一定数は保護しなければ、ならないという方針に切り替わる可能性が大な訳です。
これまでは駆除していた存在が在来種と同レベルでの保護対象に。
これには恐らく動物保護団体は困惑するでしょう。活動内容を大幅に変えなければなりません。
恐らく、転移後の日本では、動物園での保護や、自然界で在来種と外来種のバランスをいかに保つかなど、様々な保護のしかたが検討されると思います。
でも、その議論は至難を極めるでしょう。外来種も保護しなければなりませんが、当然の事ながら、在来種も保護しなければならない訳ですから。
それに、侵略的外来種による在来種の生態系の破壊は転移した後も続く訳ですからね。
在来種と外来種の保護を上手く両立させなければならない訳です。
もしかしたら、国内の何処かの土地に外来種専門の自然保護区みたいなのを大々的に作ってその中では外来種を保護して、保護区の外ではこれまで通り在来種を守るというやり方もあるかもしれません。
この場合、設置される自然保護区はアメリカの自然公園みたいな、異常に馬鹿でかい施設ではなく、例えば、特定の山であるとか、林であるとか、川であるとか、湖であるとか、小規模な物になると思います。なぜなら、一重に外来種と一括りにしても、世界中色んな所から集まっているので、それを全部集めたとしても、生息環境に合わない生物も絶対に出てしまう訳です。
集めて死なれたら元も子もありません。なので、自然保護区が作られる場合は日本各地に分散する形になるでしょう。
これは正式な例では無いですが、例えば、山梨県の河口湖、山中湖、西湖、神奈川県の芦ノ湖では、2005年に施行された外来生物法で、全国的にブラックバスの放流(※放流とは人間の管理下で捕獲・保護・飼育した水生動物を自然環境に解き放つ事)が禁止された後も、漁業権が法律施行前から、地元漁協が有していた為に例外的に、ブラックバスの放流が認められています。
その為、これらの湖は事実上、ブラックバスが国内で唯一保護されていると言っても良い環境です。構図としては、釣り客がブラックバスを釣るor自然に数が減る→ブラックバスを放流→個体数を一定数維持みたいな。
これらの湖は意図せず保護区の様になってしまっていますが、これが、もしかしたら、転移後の日本の自然のあり方の一つとして参考になるかも知れません。
この様な一定数を保護するという方針の湖、川、山、林などが日本全国各地に点在する姿が転移後の日本の自然の姿なのかも。まぁ、一概には言えない事ですがね。
これを読んで下さっている皆様も転移後の日本の自然について一度考えてみてはどうでしょうか?
自分で言うのもなんですが、日本が異世界転移する事を想定して国内の既存の自然保護に関して考えたりする事ってなかなか無いと思います。それは日本異世界転移系の小説を書く上でもです。
日本が異世界へと転移する事を考えると大体が、安全保障であったり、政治であったり、異文化交流であったり、エネルギーであったり、食料問題であったりに視点が集中してしまうと思います。
たまには、気分を変えて普段とは違った面も見て考えてみると、結構楽しい頭の体操になりますよ!みんなで考えてみれば、自然以外にも、もっと別の話題であるとか色んな問題点も明らかになるかもしれませんね。




