テレポーテーション・ボーダーライン
★転移の境界線面→ファッ!?
日本が異世界に転移するとして前提条件として一番、外しちゃいけない話が日本の転移する範囲ですよね。
例えば、転移する範囲が日本の領海を基準とするのかもしくは、排他的経済水域を基準とするのかみたいなね。
もしくは、陸地のみとか、その他もろもろが考えられると思うけど、今回は日本が異世界へと転移する小説でよく見かける領海であったり排他的経済水域の二つの面を中心に見てみたいと思う。
ただし、この二つの面を見て行く前に今回は何に注目してこの二つの面を取り上げるのかを説明する。
一つ目は航空機および船舶。二つ目は資源。三つ目は日本の軍事。
今回はこれらに注目して見ていこう。
まず最初は転移する範囲が日本の領海を基準とする場合。
この場合、転移後の日本は大変厳しい立場に置かれる。これは異世界転移ハードモードと考えてもらいたい。
何故かというと、転移後、日本には何もかもが足りないというのは前述で述べたと思うが、実はこれは船に関してもそうなのである。
日本の大量消費社会は海外からの輸入によって成り立っているが、これを支えているのがタンカーや貨物船などの外洋船舶である。
しかし、これらの船舶は平時は日本国内に居る訳ではなく、日本経済を回す為に日夜世界中の海に散って運行している訳だ。
日本が転移する際に領海が転移の最大範囲であった場合、当然の事ながら、転移範囲が狭い為に、これらの日本に必要な外洋船舶の多くが地球に取り残される。
そうなれば、転移後、日本政府がなんとか頑張って海外からの輸入を再開したとしても、船舶不足に陥る可能性があるのだ。もちろん、転移当初は、海外からの早期輸入や地球に居た頃の様な大規模な輸入態勢の復活なんて事は夢物語だろうが、それでも、船があるのと無いのとでは話が別だ。
転移から時間がたち輸入の目処をたてたとしても、船が足りない場合は一から作らなければならないのだ。コスト面で見るならば、転移後の切迫している日本にとっては相当なコストだろう。
また、資源についてだが、領海が転移範囲であった場合、こちらも当然の事ながら減るはずだ。
日本の領海内や排他的経済水域にはメタンハイドレートなど将来的なエネルギー資源やレアメタルなどの鉱物資源、油田やガス田等も存在する。
その為、転移の範囲が領海のみの場合はそれだけ、日本が使える海底資源は減少する事になるだろう。
これで一番怖いのは、海に面した日本の油田やガス田で、異変が生じ、ただでさえ国内で取れる量が少ないガスや石油の埋蔵量が減ったり、採掘量が低下する可能性があるという事だ。
最も最悪なのは、石油が沸かなくなる事態だろう。転移後の海底の地形によっては海底の起伏差などによって石油やガスが海中に流出し続けるなんていう事態も考えられる。
あっ、ちなみに、今更ながら、ここでいう日本転移は異世界の大地と日本を構成する大地が入れ替わる事を想定している。そうでなければ、日本だけ異世界に転移した場合、文字通り異世界の大地の上に日本を構成する大地が乗っかるという事態になり、その場合には日本に何が起きるか分からない(自然災害、天変地異的に)。地面の陥没とか地割れとかは想像に難くないけど、それ以外に何が起きるとか、どれ程の規模で起きるかなどは、これはもう私では想像もつかない。てか、転移を想定した災害なんて恐らく全世界誰も考えていないだろうから、有識者が居たらちょっと聞いてみたいかも(ナショジオもしもシリーズ感)。
転移範囲が領海のみという事は日本の軍事にも影響を与える。
それが海上自衛隊、海上保安庁、水産庁への影響だ。海上自衛隊や海上保安庁、水産庁の船舶は領海外の排他的経済水域で活動している頻度が非常に高い。これは外国勢力の監視や違法な漁船の取り締まりの為だ。
領海が転移範囲だった日本はこれら3組織の船舶を幾らか確実に喪失するだろう。下手をすれば水産庁なんかは、転移する時期によっては排他的経済水域で活動している頻度が保有船舶数で海上保安庁よりも少ないのに多い為、前の2組織に比べて転移によって取締船を喪失し壊滅的な打撃を受けるかもしれない。
ただでさえ転移だけでもハードモードなのにさらにハードモードなんて……
( ´;ω;`)
FUCK!!
次に転移範囲が排他的経済水域だった場合いきます。
まぁ、当然の事ながら、転移範囲が排他的経済水域を含めるという事は領海が範囲であった場合に比べて遥かに転移範囲が大きくなるという事を意味している。
この場合の日本は転移範囲が領海までだった日本に比べて若干のイージーモードに入れるだろう。
ただし、イージーモードとは言っても、元がこれまで述べきた通りのハードモードだから、微々たる差でしかない。これ重要ね。
どれぐらい微々たる差でしかないかというと、上記で述べた問題点の幾つかが解決もしくは少しマシな状態にしかならないから。
まず、外洋船に関してだが、これも当然の事ながら、転移範囲が排他的経済水域という事は領海の時に比べて遥かに多くの船舶が転移に巻き込まれる事を意味している。
これは日本に向かう船舶や、日本から海外へと向かう船舶、ただ単に偶然、排他的経済水域内を航行していた船舶、違法漁船などだ。
この場合、領海の場合に比べて、日本にはそれだけ多くの外洋船の余裕が得られるという事を意味している。
しかし、それでも、転移前の日本を支えられる程の船舶量には到底達しないだろう。
でも、無いよりもある方が遥かにマシだから、領海転移の場合よりも遥かに恵まれた状況だろう。
資源に関しても、転移範囲が広い分、こちらの方が遥かに圧倒的だ。
むしろ、領海のみの場合と比較すると、排他的経済水域が転移範囲の場合はこちらは圧倒的な差がでる。
何故ならば、領海内の海底資源の量は領海と排他的経済水域、両領域内の資源を合算した場合の合計量の内、10%にも満たないからだ。
排他的経済水域が転移範囲内に含まれた場合の日本は、転移後に国家が存続できた場合、これらの豊富な海底資源を利用し資源大国になれる可能性を秘めている。やったね!
そして、日本の軍事での影響だが、まぁ、こちらも領海転移に比べれば被害が軽減される可能性が大だ。
領海転移では排他的経済水域内で活動している海上自衛隊、海上保安庁、水産庁の船舶が地球に取り残されてしまう船舶が確実に出るが、排他的経済水域が転移範囲ならば、地球に取り残されてしまう可能性も遥かに軽減されるだろう。
特に海上保安庁や水産庁からの転移脱落船はほぼ無いと考えて良い。これらの船舶は排他的経済水域以上先の海に行く事は滅多に無いからだ。
後はまだ地球に取り残されてしまう可能性があるとすれば、海上自衛隊の護衛艦だろう。
海上自衛隊は排他的経済水域外での活動も行っている。
例えば、アメリカや東南アジア諸国との安全保障協力で南シナ海などに潜水艦が派遣され訓練と称した中国への牽制も行っているし、インド洋方面にもソマリアの海賊対策や、近年ではホルムズ海峡関連で護衛艦も数隻が派遣されている。
つまり、転移時期によっては幾つかの戦力を海上自衛隊は喪失する事になるのだ。
こればっかりは運との戦いになるだろう。
私からしたら、異世界なんかに転移するのなら、なるべく戦力は多い方が良いのだから、排他的経済水域外での活動をなるべく行っていない時期に転移してほしいね。
まぁ、こればっかりは神のみぞ知ると言った所か。
あっいけない。いけない。
わりとマジでここまで書いてて航空機の事を忘れてました。でも、ここまで、読んでくれれば、恐らく聡明な読者の皆様ならもう理解しているんじゃないでしょうか?
転移範囲が領海であった場合→転移範囲が狭い分、それだけ転移に巻き込まれる航空機の数も少ない。
転移範囲が排他的経済水域であった場合→転移範囲が広い分、それだけ転移に巻き込まれる航空機の数も多い。
これが基本となるはずです。
ただ、航空機に関しては転移後に船と比べてどれ位の需要があるのか……転移後の日本では民間の旅客機なんて暫くの間は殆ど使われないだろうし、駐機場で厄介な置物になる可能性も……まぁ、これに関しては何れ専門的に考えて見ましょう。




