だいはちわ 梅八くん その3
「あ~、よぉ寝たわぁ~・・・、
ええ天気やなぁ?」
朝になりました。
犬は背伸びをした後、後ろ足で顔をこすります。
フンフンフンフンフン!
「ふぁ~あ、姐さん、おはようございます・・・。
今日はどうします?
仕事は済んだことですし、次の土地に行きますか?」
「う~ん、どないしよかなぁ?
別に急ぐ事もないしなぁ?」
その言葉を聞いて、
犬は舌を出してニッコリ笑います。
「・・・ハッハ~ン、そうですよねぇ?
気になる男の子もいますもんねぇ?」
ここでうりぃ恒例のネリチャギ!!
「ぅおらぁ!!」
「ギャブッ!」
別名・脳天踵落とし。
犬の耳と鼻から脳漿が飛び散りました。
「アホ言わんかい!?
あんなガキをどーせぃゆーんや!?
まったく・・・、
ただな、こんなもん、もらいっぱなしちゅーうのも気が引けるやろ?」
うりぃはケンダマを操り始めました。
でも目が結構、真剣です。
少なくともケンダマはまんざらでもないようですね。
「す・・・す、
素直じゃないなぁ・・・もぉぉ・・・。」
良く見たら、
犬の目玉も飛び出てましたがすぐに治るでしょう。
とりあえず、
二人はどこともなく村を歩き回る事にしました。
とは言っても小さな村です。
そのうち、彼らは昨日、
仕事に入った家の前を通りかかりました。
「あ・・・?」
そこでうりぃ達は見覚えのある男の子を見ました。
梅八です。
彼もうりぃ達に気づきました。
彼はしばらく黙ってましたが、
そのうち、肩を震わせて涙を流し始めたのです。
「・・・う おいらの、お、おっとーがぁ・・・!!」
「梅八・・・この家の子やったん・・・か?」
何ということでしょう、
そういえば、この家のすぐ先に大きな一本杉があります。
「・・・うりぃちゃん、
おいらのおっとー・・・死んじゃったんだ・・・。」
さしものうりぃも何も言えません、
・・・犬もオロオロするばかり。
「・・・梅八・・・(すまん・・・)。」
・・・そうなのです、
時としてこういうことが起きるからこそ、
うりぃは他人と関わりたくはなかったのです・・・。
最恐の和製ゴスロリ少女になる為には、
こんな事を気にしてなどいられないのです!
・・・というわけで次回より、長編となります。