だいななわ 梅八くんその2
「あ! 姐さん、ありました。
あの家ですよ、白羽の矢が刺さってます!」
「よっしゃ、・・・ならやってまうで?
準備はえーな?」
「いつでもオッケーです! 姐さん!」
さて、いよいよ最恐のゴスロリ少女、
うりぃ・めりーのお仕事の時間です。
・・・今までもちゃんとやってたんですけどね。
時刻は草木も眠る丑三つ時・・・、
うりぃと犬は、
その一軒の農家の庭先におりました。
おもむろに犬が前足を掲げ、
その家の納戸を足で軽く叩き始めました。
バタン、バタン、
犬は何度か同じ動作を繰り返します。
その内に、この家の主人が目を覚ましました。
「う・・・? な、なんだぁ?
・・・風じゃねー・・・よな? 誰かいるのか?」
バタン、バタン、
「おい・・・誰かいるのかぁ?」
あ け て・・・ん か ぁ
「誰だ!?」
ガラッ!!
・・・主人が納戸を開けたのですが、
そこには誰もおりません。
ただ主人の視界には、
一匹の白い犬がその場から立ち去るのが映りました。
「えっ? い・・・犬だったのか?
でも声が聞こえたような・・・?」
その時、主人は、
自分の背後の暗闇に、何かの気配を感じました。
「・・・ウチはうりぃ・めりー・・・
おっちゃんの後ろにおるで・・・?」
家族の誰とも違うその声に振り向いた時、
・・・主人の胸には錆付いた草刈り鎌が刺さっていたのです。
「・・・これも仕事なんや、堪忍な?」
鎌は正確に心の臓を貫いてました・・・、
ほぼ即死に違いありません。
うりぃは鎌をぐいっと抜いて、その場から立ち去ります。
こんな夜中です、
男の家族も気づかないままでしょう。
うりぃは庭で隠れている犬と合流しました。
「姐さん、首尾はどうです?」
「は、どーということもないわ、今日も楽やったわ。」
うりぃの右手には、
朱く染まった草刈り鎌があります。
今日も、無事に仕事を終えました。
二人は寝床の八幡さまのところに帰ります・・・。
梅八くん編は明日で終わりです。