だいさんわ
「お嬢ちゃん、こんな所でどうしたの?
お父さんやお母さんは?」
うりぃと犬は後ろを振り向きました。
品の良さげなおじさんです。
「お父さんやお母さんはいません、
お爺さんとお婆さんは死にました。
今は瓜を売ってます、
良かったらどうですか?」
めりーは背中の風呂敷を広げてみせます。
「・・・えーと、きゅうり三本250円、
かぼちゃがこの大きさで450円、
冬瓜500円、
メロンが800円のと1600円のと、
スイカが1200円、
ハミ瓜は検疫やら関税で400円、
へちまが、・・・すいません売り切れです。」
おじさんは目に涙を浮かべ、
「君は何て偉いんだ、
よし、メロンとハミ瓜を買わせてもらうよ!」
「ホントですか!?
うわぁ、ありがとうございます!
あ、こちらですか?
はい、2000円になります!
甘くておいしいですよ!」
「うんうん、家族で食べるよ、
お嬢ちゃんも元気でね!」
おじさんは満足して帰っていきました。
「姐さん、儲かりましたね!」
「せやな、
うまいもん食おか!? ヒッヒッヒ!」
うりぃと犬は臨時収入にごきげんです。
「・・・それにしても、この野菜とかどうしたんすか?」
「気づかんかったんか?
猿に持ってこさせよってん。」
驚く犬、
・・・あいた口が塞がらない様子です。
まぁ基本いつも口は開いてるんですが。
「い!? いつの間に・・・。
てか、何で猿が野菜や果物を?」
「アイツの手癖の悪さは天下一品やでぇ!」
「ええ!?
やばくないっすかぁ?
これ全部パクッてきたんすかぁ!?」
「あほう、おまえウチを誰や思おてんねん?
ほれ? ウチは誰や! ゆうてみい!」
「え、え・・・と
北斗◯拳正統伝承s・・・ウグ?」
そこまで言いかけて、
いぬはおもむろに、うりぃに抱きかかえられました。
「おんどれのギャグは・・・」
そのまま犬は頭上高く持ち上げられてぇ・・・!
「つまらんゆーとろーがーッ!!」
ギャワワワワーン!!
その高さから思いっ切り地面に叩きつける!
県議会議員秘書の丸山さん(故人)の必殺技だーっ。
犬は口から泡を吐いて痙攣しています。
「ナンや!?
ウチの胸に七つの傷でもあるいうんか!?
こんボケッ!」
「・・・ググ、す・・・すいません、
てっきり
瓜売りのうりぃ・めりーを狙ってると思ったんで、
オ、オイラその先を行こうと・・・ハッ!?」
「・・・もう一発行かんとわからへんようやなぁ?」
「あ・・・姐さん? あの・・・、あのおッ!?」
(うりぃ・めりーの冒険と、犬の受難はまだまだ続く)
注)丸山さんはメリーに首を刎ねられた人だよ!
次回、いぬの謎にスポットライトを。