だいいちわ
だいいちわ
「姐さーん、仕事の首尾はどうでしたー?」
大きなお屋敷から出てきた少女に、
一匹の白い犬が語りかけました。
「は、どーとゆーこともないわ。
背中に回って振り向いたところをチョン!
楽なもんや・・・」
少女の右手には、
小ぶりの草刈り鎌があります・・・、
なんと血だらけの。
そのまま一人の少女と一匹の犬は、
テクテク夜道を歩き出しました。
犬は時々、心配そうに少女に首を向けてます。
「・・・ナンや?
何か言いたいことでもあるんか?」
「いえね、姐さん、
もぅ、すっかり元気になられたのかなぁと思って・・・」
ギャワーンッ !
犬のわき腹に、非情な回し蹴りが炸裂しました。
近所の塀に激突して、犬は一回転。
「おんどれ!
ウチがいつまでもメソメソしとる思うンか!?
ウチを誰や思おてんねん!
最恐の和製ゴシックロリータ少女うりぃ・めりーやで!」
犬はしばらくのたうちまわっていましたが、
ようやく体勢を立て直し、
怯えながらうりぃの近くに戻ってきました。
「す・・・すいません、
姐さん、以後、気をつけます・・・」
「ふん、はよーぉしぃ!」
そう言うと、
少女は再び夜の道を歩き出しました。
「・・・じじいもばばぁも、ウチの心ん中におる・・・
なんも寂しーことはあらへん・・・。」
犬はちょっとびっくりして足を止めましたが、
再び少女の後をテクテク歩き出しました。
少女と犬はしばらくして、
町外れの丘の上でカラダを休めることにしました。
少し寒いですが、
月明かりの野原はとても気持ちよいようです・・・。
少女うりぃは、
大きな石を見つけてそこに座ります。
星空が綺麗・・・。
しばらくして、
うりぃは空を見上げたままつぶやきました。
「なーあ? 犬?」
「はい、ナンでしょう?」
犬は、口を開けて少女に振り向きます。
「・・・さっきはありがとな?
心配してくれて・・・。」
しばらく犬は黙っておりましたが、
その前足にある柔らかい肉球を、
少女うりぃの肩にのっけてみました・・・。