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リーリト麻衣は手を汚さない 第二十八話 リーリト麻衣はまだ本気出していない


しかし、だとすると、

余計、霊感があるなんて噂を広められても困る。

 「ルカ先輩、

 お互い、これ以上『そっち』方面で目立つのやめましょう!

 そもそも最初、ルカ先輩に霊感あるのばれたのも、

 ルカ先輩の自業自得みたいなとこあるんだし。」

 「去年の夏のオリエンテーションの話?

 仕方ないわ・・・。

 見たいテレビに間に合わなくなりそうだったんだもの・・・。」


こういうヒトなのである。

クラスメイトの友情やら、

他人の命を大事に考えることなどあり得ない。

もちろん、御神楽ルカ本人も、

自分の価値観が世間一般のものとずれている事は十分承知している。

だからこそ、友人を作ろうとはしないのだ。

 

 「まったく自分本位なんだから・・・

 付き合ってらんない。」

麻衣はため息混じりに呟いた。

それにルカ先輩は反応する。

 「麻衣ちゃん、私先輩・・・、

 一応、上下の礼儀はあると思うの・・・。」


ちなみに、これルカ先輩は怒っていない。

あくまで後輩の麻衣に、

上級生として道理を説いているだけである。

 「うえ~、

 向こうの人達って年齢の上下関係、

 あまり気にしないって聞きましたけど~?」

 「ここ日本だもの・・・

 私もここでは日本人・・・。」

 「都合のいい時だけ、

 外国人になったり、日本人になったり・・・。」

 「あら?

 それは麻衣ちゃんも一緒・・・。」

 「あたし、純粋日本人ですよ?」

 「そうじゃなくて、

 人間と、私たちの力を都合よく使い分けてる・・・。」

 


 

 「うぐ・・・。」

カウンターパンチを貰った。

口数少ない喋り方とはいえ、

流石に一年余計に生きているせいか、

麻衣は反論できなくなった。

修羅場をくぐった数なら、負ける気はない麻衣だが、

単純な言い争いはどうも苦手なようだ。

前も誰かに揚げ足取られて大恥かいた覚えもある。


その内、彼らは本校舎の新聞部の部室に到着した。

後は、麻衣の携帯の音声データをコピーするだけだ。

ルカ先輩も、もうこれ以上、

永島先輩たちに付き合う必要は全くない。

 「じゃあ永島さん、

 ここで私は・・・。」

 「あ、ルカちゃん、本当にありがとう!」

今回ルカ先輩は、

取材自体には何の役にも立ってないはずなので、

ルカ先輩が持ち上げられると、何となく麻衣には腹立たしい。

 

でもこれ、

新聞部の活動としてはどうなんだろう。

さすがに学園の経営陣である理事の醜聞については、

新聞部が校内新聞で発表できるような内容ではないのではないか?

麻衣がそのことを永島先輩に尋ねると、

傍目にもわかるくらい、永島先輩困り果てた顔になる。

 「う~むむむむ~、そうなのよね~・・・、

 さすがにこれは~、

 脚色でどうにかなるものかしら~っ!?」

おや、照屋君が閃いたようだ。

 「あ、あの先輩、

 ここに生物部の人が二人いるんだし、

 生物部の取材なんてどうですかね・・・?」

場の空気に変化が生じた。

さすがにルカ先輩も顔色が変わる。

もちろん永島先輩も即座に反応!

 「照屋君それグッド!! 

 ルカちゃん、それならどうかなぁ!?」

 「あ・・・私、責任者じゃないから・・・。

 でももし取材受けるのなら協力します・・・。

 カメとか、金魚とか、カブトムシとか・・・

 うなぎもいるし・・・。」

 「うなぎ!?

 うさぎじゃなくてうなぎ!?

 それ見たぁい!!」


 

どうやら話はまとまりそうだ。

まぁ霊感少女の協力で、

怪しげな旧校舎の謎を解き明かす記事より、

よっぽどマシに違いない。

ふっと気を抜く麻衣であったが、

いまだ邪まな欲望を抱き、

その爪を研いでいる者がここにいた。


岡島君だ・・・。

彼は無謀にも、

帰りかけようとする学園の妖精、

ルカ先輩に声をかけたのである。

 「あ、あのルカ先輩!

 オレ伊藤と同じクラスの岡島って言います!

 友達に自慢したいんです!

 一緒に写真撮ってくれませんか!?

 ・・・おい、照屋! カメラ頼む!!」


・・・これまでのルカ先輩の噂は聞いている。

そんな軽薄な誘いに乗る彼女ではない筈・・・。

しかも相手は岡島君。

永島先輩は息を飲んでルカ先輩の反応を見守った・・・。

 


 

へらへら下卑た笑みを浮かべる岡島君に、

ルカ先輩が返した反応は、

そこにいる者全ての想像をも上回る辛辣さであった・・・。

 「・・・きみ・・・。」

 「は、はい!」

 「同級生の女の子に、

 ・・・首筋、食いちぎられないように・・・気をつけてね。」


そのまま笑顔も見せず、

御神楽ルカは新聞部の部室を立ち去った・・・。

一同、誰も声を出せなかった。

無視されることすら想定していた岡島君も、

やけに具体的なルカ先輩の忠告を、

笑い飛ばすことすらできなかったのである。

何しろ、

霊感能力を持つという彼女の言葉・・・。

これから起こる予言のように思えても無理もない。

助けを求めるかのように、

岡島君は麻衣に救いの目を向けた。

 「お、おい、伊藤!

 い、今の何!?

 オレなんか悪いことした!?」

これはどうしたものか。

今のルカ先輩のセリフ・・・。

 

普通に拒絶の意志を示す言葉より、

下種野郎の岡島君に効果的であることは間違いない。

岡島君への戒めとしては、

いい気味だと言いたいが、

むしろ気味が悪すぎる。

そして麻衣にとっては、

あまり他人事ともとれない言い回しだった。


・・・同級生に、

そんなマネできる女の子なんている筈がない。

いるとしたら・・・


それは完全覚醒した麻衣本人しかいないのである。

覚醒後に自分がどんな姿をとるか・・・

それは麻衣にも未知の領域だ。

いかに御神楽ルカとは言え、

その領域を視とおせるわけもないだろう。

あくまで現状からの予測でしかないはずだ。

すでに麻衣は自分自身の能力はコントロールできている。

そしてまた、

自分自身の能力を有効的に使うことに関しても抵抗はない。

正体さえばれなければいいのだ。

先ほどのルカ先輩の言葉を、

気味が悪いと思う自分とは別に、

近い将来、新たな能力に目覚める可能性を考えて、

麻衣は全身の肌が泡立ってゆくのを感じていた・・・。


え? 岡島君をどうしたかって?

 「女の子がどう思うかを、常に考えてから行動したら?」

とだけ忠告しておいた。

まぁでも、無駄だろう。

 


「ぼっち妖魔は異世界に飛ばされる」では、

現在、麻衣ちゃんが異世界魔法に憧れてるいるところです。

果たしてリーリトは魔法を習得できるのか?

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