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リーリト麻衣は手を汚さない 第二十七話 リーリトガールズは牽制しあう

いつの間にか90000PV達成!

ユニークアクセスも15000いきました!!

 

さて、

旧校舎探索隊一行は、

荷物を片付け、最後に門の鍵を閉めて、

それぞれ思い思いに本校舎へ帰るだけとなった。

同じ生物部のルカ先輩と麻衣は、

2人並んで静かに歩いている。

先を歩いていた永島先輩は、少し気になって後ろを振り返った。


 友達を作りたがらないルカちゃん・・・

 でも伊藤さんとは仲良いのかな?

 何てったって、同じ部の先輩後輩だし、

 2人とも同じ力を持っているのなら・・・

 

さて、それはどうだろう?

 「ルカ先輩?」

 「なあに、麻衣ちゃん?」


一見普通の会話と雰囲気である。

 「聞きたいことがあるんですけどー。」

 「遠慮しなくていいよ・・・

 私とあなたの仲じゃない・・・。」


どの口でそれを言う?

それが麻衣の本心だ。

 「どこまでわかってたんですか?」


感知能力者同士でないと成立しない質問だろう。

一度、ルカ先輩は、肩に掛かる美しい金髪を背中に回した。

 「うーん・・・、全然?」

 

麻衣は信じられるかとでも言うように口を尖らせる。

 「嘘ばっかり、

 自分の正体曝す危険すら犯さずに、

 最後まで美味しいとこ持ってっちゃったじゃないですか!」

 「怒ってる、麻衣ちゃん?」

相変わらずルカ先輩は無表情のままだ。


 「・・・いーえ、怒ってませんよ、

 呆れてはいますけど・・・。」

 「良かった・・・、

 麻衣ちゃんが永島さんの誘い、断ったらどうしようかと思ってたの・・・。」

えっ? そこから!?


 「は? ちょ、ちょっと待って下さい!

 私が断れないの承知で、永島先輩にふったんじゃないんですか?」


ルカ先輩は首を傾けてきょとんとしている。

 「え? だって嫌だったら麻衣ちゃん、

 断ればいいだけでしょ・・・?」


麻衣は自分の認識の甘さを後悔した。

この人は義理とか人情とか理解しようともしてないんだった・・・。

でもだとすると・・・

 


 「はぁあぁ~、

 おかげで無駄に力見せびらかしちゃったかなあ・・・。」

麻衣の口からため息が出る。

 「無駄じゃないよ、麻衣ちゃん、

 犯罪を未然に防いだじゃない・・・。」

 「でも~、成り行きによっては、

 最初から何も起きなかったかもしれないですよー?」


そこで初めてルカ先輩は明確な意志を見せた。

 「いいえ・・・。」

 「え?」

 「ネコちゃんたちの仇を討てた・・・。」

 「へ!?」


ついにルカ先輩が、

今回の本当の目的を明らかにした。

 「私ね・・・、

 この学園の敷地内のネコちゃんたちに、

 ご飯あげたり、たまに遊んでるのね、

 でも・・・時々、

 急に姿が見えなくなる子たちがいて・・・

 もちろんどこかにお出かけしてるんだったらいいのだけど、

 ネコちゃんたちの集会場所で、

 あの人・・・理事先生の姿が私に視えたのね・・・。

 それもネコちゃんに酷いことをする情景が・・・。

 でも、私には姿は視えても、

 どこの誰かまで特定できなくて・・・。」

  

その時に、

猫を生贄にする理事先生の悪想念を知ったということか。

恐らく今回、理事先生が動いた時に、

同じ悪想念の波長を感じ取ったのだろう。

後はリアルタイムにその波長を追尾すればいいだけである。


 「ルカ先輩、ネコと遊べるぐらいなら、

 人間と遊んだらどーなんです?」

 「無理・・・、

 あんな感情剥き出しにしてくる人達と、

 一緒に行動できっこない・・・。」

 「・・・ネコの仇討たいとか、

 それも立派な感情だと思いますよ、先輩?」

 「ううん、・・・それは本能だから。」

いつもこの手の話になると頑なに否定するんだ。

 

前にも書いたが、

同じ生き物である筈の2人だが、

その考え方には大きな隔たりがある。

麻衣は、

自分たちの種は、あくまで人間の一種だと考えているが、

ルカ先輩は、

自分たちと人間は、全く別種の生き物だと信じているのだ。

どうにかして、同じ学校に通っている間に、

考えを改めて欲しいとも思うのだが、

基本的に彼女たちは、同族であっても他人に対して無頓着だから・・・。


ところがルカ先輩の方も、

実は麻衣に対し考え方を改めて欲しいと思うことはあるのである。

 「麻衣ちゃんこそ・・・、

 余計なことに首突っ込まないと言ってたのに、

 大活躍しちゃったみたい・・・。」

 

 「だから、それはあなたのせいで!」

と言いたかったのは堪えてみた。

 「・・・まあ、あたし達が通う学園で、

 あんな怪しげなマネさせておく訳にもいかないですからね。」


 「でも、麻衣ちゃん、

 私は嬉しかった・・・。」

 「へ? な、何がですか?」

 「麻衣ちゃんが私たちの力、使ってくれて・・・。」


そう、ルカ先輩の方は、

麻衣が自分たちの存在に近づいてくることを望んでいるのだ。

 「・・・そこまでする必要なかったかもしれませんけどね。」

 「もっと・・・、

 その気になればもっと凄い力を発現できるはず・・・、

 人としての感情が邪魔して、

 麻衣ちゃんには、まだリミッターがかかっている・・・。」

 


それについては否定も肯定もできない。

確かに感情の枷を外せば、

感知能力については最大限まで感度を伸ばすことはできるだろう。

けれど麻衣は、もう一つの可能性も気づいている・・・。


あの時・・・、

2年前、悪霊リジーの悪想念に感染してしまった時、

麻衣はそれ以上の恐ろしい能力を発現させていた。

それは悪霊の力などではなく、

紛れもなく麻衣本人の力だった。

そしてそれは感情がない状態ではなく、

心の奥底の感情を無理矢理暴走させられた結果の能力である。

その力は全く正反対のものだ。


麻衣の無言の思考を他所に、

ルカ先輩は話を続ける。

 「あ、あとね、

 さっき・・・理事先生に髪を触られた時に、

 わかったことがあるの。」


 「え、な、なんですか?」

 「あの先生の目的・・・。」

 「そ・・・それって悪魔召喚とか・・・?」

 「ううん?

 それは手段でしょ・・・?

 もちろん、まずはそれを成功させるのが目的なんでしょうけど、

 最終的には不老長寿・・・

 若く美しい姿を夢見てたみたい・・・。」

 

そんなことの為に・・・。

ただ五体満足に暮らしていけることで満足できないのか・・・。

麻衣は暗澹たる気持ちになった。

それにしても魔物を呼び出して、

そんな願いを叶えたいとか、最初から頭おかしいとしか言いようがない。


だがそれ以上に、その後のルカ先輩の話は、

聞いて麻衣も背筋が寒くなる。

 「私達も気をつけなきゃね・・・?」


 「え、気をつけるって何に?」

 「昔なら私達は、

 正体がばれたら火あぶり、串刺し・・・

 でも、現代なら捕まったら人体実験よ・・・。

 ああいう人が不老長寿を望むなら、

 私たちの血を取り込んだ方が手っ取り早いかも・・・。」


 「うげ・・・。」

確かにそっちのほうが現実味がある。


 


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