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リーリト麻衣は手を汚さない 第十三話 リーリト麻衣は追い詰める

ぶっくま、ありがとうございます!

 

ようやくここで、

岡島君が口をきける様になっていた。

 「え、おい、い、伊藤、

 人に言えない行為って、犯罪的な何かってことか!?」

一度、麻衣は振り返る。

 「岡島君、

 怪我の功名というか、

 二手に分かれて良かったっていえるのかな、 

 もしあたしたち4人固まったまま、この部屋に来てたら、

 この理事先生はここに来なかったかもしれないよ?

 ねぇ、理事先生?

 ただの人間のあなたに、

 4人は一度に始末できませんよねぇ?」


あからさまに望月理事の様子がおかしい・・・。

落ち着きなく目をキョロキョロ動かし、

目つきも尋常でなくなってきた。

それを見て麻衣は笑う。

 「見てください、永島先輩、

 何が起きてるかわかりませんか?

 あたしはこの人が必死に隠そうとする本当の目的を、

 一枚一枚皮を剥がしているんですよ、

 この後、もっと衝撃的で恐ろしい事実を暴きますから、

 よぉく聞いていてくださいね?」

 


麻衣はもう一度望月理事に対峙する・・・。

 「理事先生、

 あたしの目を見てください。

 もう・・・あたしの言ってることが、

 デタラメでもあてずっぽうで言ってるわけでもないことは理解しましたよね?

 理事先生はある目的でここにやってきた。

 ところが、この部屋に来てみたら、

 予定にない状況が発生してしまっていた・・・。

 何でしょう?

 あたしたちの人数が増えていたことですか?」


理事は震え始めていた・・・。

自分より身長が低い麻衣の瞳に見据えられ、

無意識のうちに身動きできなくなっていたのだ・・・。


後ろで岡島君が騒ぐ。

 「お、おい、どういうことだよ!?

 最初に俺たち二人がこの部屋にいたってことを言ってるのか!?」

 「クスクス、そうだよ、岡島君、

 この理事先生がこの部屋にやってくる時、

 何を考えてたと思う?

 岡島君、

 君たちを殺すこと考えていたんだよ・・・!」



 

これは現実の出来事なのだろうか・・・。

さっきまで他愛のない日常の風景だったはずだ。

岡島君も永島先輩も、もちろん照屋君も、

通常の学園生活では決して起こりうるはずのない異常な展開に、

次のアクションが起こせないままでいた。

捕食者の瞳に見据えられた理事だけが必死の抵抗を試みる。

 「なっ、何をっ!

 そんな絵空事誰が信じるっていうのっ!」

 「カメラかセンサーでもあるんです?

 この教室・・・。

 理事先生は、この部屋に、

 岡島君と照屋君が入ったのを知って・・・

 この部屋に向かった・・・。」


理事は一言も返せなかった。

そして麻衣は、望月理事の顔色と、

その一瞬の視線で全てを知る。

 「ああ、視聴覚室なんでしたっけ、この部屋、

 この黒板のカバーを開くと作動するんですね。

 備え付けてある映写機が・・・

 実はカメラだったんだ。」

 


 「えっ?

 じゃ何、伊藤さん?

 理事先生は照屋君たちがその黒板のカバーを開いたことで、

 二人がこの部屋にいることを知ったの?

 それでここに来た・・・て、

 でも始末とか殺すって何なのっ!?」


ここで麻衣は岡島君を振り返った。

 「ねぇ、岡島君、

 あたしのお願い聞いてくれる?」


ほんの一瞬とは言え、

岡島君が見る初めての麻衣の表情・・・。

それは淫靡な女性が男を誘う時のそれだ・・・。

それに逆らえる男などいるはずがない。

 「な・・・なんだ、伊藤っ?」

 「少しでいいんだ、

 この先生の手を抑えておいて・・・?」

 「えっ、それは・・・。」

 「おねがい・・・。」

 「ちょっと、あなた何するつもりなの!

 無礼は許しませんよ!!」


岡島君は吸い込まれるようにやってきた。

誤解ないように願いたいが、

これは催眠術とか、超能力と言った代物ではない。

女性なら誰でも使う力だ。

対象の男子に対してどれだけ効果があるかは、

個人差もあるし、互いのそれまでの関係性によるものでもある。

その結果、岡島君は、

うろたえながらも麻衣の目的に協力すべく、

ゆっくり望月理事の腕を捕まえようとした。


もちろん、望月理事はそんな真似されてはなるものかと、

抵抗の態勢に入ろうとするが、

まだ体が出来上がっていないとはいえ、

男子の力に捕まっては自由に動けるはずもない。

 「センセイ・・・すいませんっ!」

 「あっ、はな・・・放しなさいっ!!」


その瞬間、麻衣は理事の足元にあったバッグを掠め取ることに成功。

 「あっ! それはっ!!」

そのまま麻衣は後ろにステップしてバッグのジッパーを開き切る!!

 「やめなさいっ! あ、あああっ!!」

 

 

すぐさま麻衣はバッグをひっくり返し、

中身をすべて硬い床の上にぶちまけてしまったのである。

 バザザザザザッ!


そこには、

誰もが目を疑うようなものばかりしか、存在していなかった・・・。


・・・硬そうなぐるぐる巻きのロープ、

これは・・・まさかスタンガン?

それと、奇妙なブロンズ製と思われる杯・・・

長い毛髪の塊・・・ウィッグ!?

厚手のビニールシート、洗剤に雑巾、

そして刃先がやけに長いはさみのようなもの・・・。

割れなかったようだが、ラベルの貼ってあるビンも転がっていた・・・。


永島先輩が呆然と立ち尽くす・・・。 

 「な、なんなの・・・これ・・・?」


誰がどう見たって、

学校の職員が、生徒を指導するのに使うものではあり得ない。

転がったビンは照屋君の足元に・・・。


反射的にそれを拾い上げた彼は、

何も考えられないまま、ラベルの字を読み上げた・・・!

 「く・・・クロロホルムっ!?」






麻衣

「ぎるてぃ。」



現実世界では能力を隠してますが、

異世界では遠慮しませんよ、

「ぼっち妖魔は異世界に飛ばされる」

伊藤麻衣ちゃん、ついに冒険者になります。

果たしてリーリトの能力は異世界でも通じるのか?

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