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リーリト麻衣は手を汚さない 第一話 スカウトされる

えーっと、

みなさま、はじめまして、

・・・伊藤麻衣と申します。

他の物語で私をご存知の方はおひさしです、

また会えて嬉しいですよ。


今回あたしが主人公となりました。

トラブルに巻き込まれるのはまっぴらなんですけど、

二年前の事件の罰だと思って頑張りますよ。

・・・ううううう。



 「・・・伊藤、頼むよ、

 こーゆーの、お前得意だろ?

 幽霊とか抵抗ないって言うし・・・。」

 「あのね、岡島くん、

 抵抗ないんじゃなくて、

 興味がないの、

 あたしは別に旧校舎の噂話とか、どーでもいいし、

 君に協力する義理も何にもないよ?」


この岡島くんというのは、

麻衣と一緒のクラスの男子である。

さらに言うと、

同じクラスになったことはないが、

同じ中学出身でもある。

ご覧の通り、あまり仲がいいわけでは無い。

別に特別岡島くんが嫌いとか、

何か嫌な目に遭ったとか、

そういう過去があったわけではない。

まあ、お調子者とか口が軽そうとか、

下心ありそうとか、

そういった印象は岡島くんに対し持ってはいるが、

この年頃の男の子は、

だいたいそんなもんだと麻衣も達観している。

・・・無理に交友関係を広げる必要はない、

それが彼女の考えなのである。

その訳はまたおいおい・・・。


 「ねえ、伊藤さん、お願い!

 新聞部からも頼みたいのよ。」

こちらは麻衣とは初顔合わせ、

2年の先輩だというから仕方ない。


 「え、あの、

 新聞部の取材で旧校舎特集したいってのは分かるんですけど、

 新聞部と岡島くんて何も関係ないですよね?

 えーと、永島先輩・・・でしたっけ?」

この場には、

麻衣を含めて4人の男女が存在している。

新聞部の永島先輩という笑顔の可愛い女子。

それと岡島くん。

そしてもう1人、

新聞部の一年生、照屋くんだ。

重そうなカメラを首からかけて、

頭はもさもさで大人しそう、

てか、ちょっと暗そう・・・。

まあ、こんな機会でもなければ、

麻衣と会話をする事などけしてないだろう、

というタイプだ。


 「いやいや、照屋とオレはダチなんだって、

 こいつが、この取材是非成功させたいって言うから、

 オレも協力したいんだよ。」

 

岡島くんの話は半分嘘だろう。

いや、

本人も意識してないかもしれないという意味では、

本当の理由には違いないのか。

きっと、

こういうみんなが食いつきそうなネタを手に入れて、

クラスの話題を独り占めにしたいのだろう。

本人が自分で気づいていないのが厄介だ。


永島先輩がフォローする。

 「伊藤さんと同じ生物部の、

 ルカちゃんにもお願いしようかと思っていたんだけど、

 そのルカちゃんが、

 伊藤さんの方が適任だっていうのよ、

 それに、伊藤さんのお父さんて、

 ルポライターなんでしょ?

 なら、絶対誘わなきゃって思ったのよ!」

 


 「ルカ先輩・・・、

 あの人、自分が行きたくないからって・・・、

 ていうか、岡島くん、

 あたしのパパがルポライターってのは、

 君がバラしたんでしょ・・・。」

 「え? 喋ったって別にまずくないだろ?

 それより、ルカ先輩や伊藤が霊感あるって話の方が、

 よっぽどネタになるぜ?」


霊感・・・、

ある意味間違いではない。

麻衣にしても、そのルカ先輩にしても、

常人には持ち得ない特殊な能力を生まれながらに身につけている。

そして、2人とも同じ理由で、

そんなものを他人に披露したくないのだ。

麻衣とルカ先輩に違いがあるとすれば、

北欧出身の母を持つルカ先輩は、

その、美しく病的なまでに白い肌と、黄金色に輝く髪、透き通る蒼い瞳が、

学園中の男子女子関わらず、

崇拝の対象となっていることぐらいか。


 「何でそんな簡単に人をネタ扱いできるかな・・・?

 けど、ルカ先輩強引だしなあ・・・、

 う~、面倒~。」

ルカ先輩の紹介と言われたって、

そんなもの無視してもいいのだけど、

後で機嫌とらないといけなくなりそうで、それが面倒この上ない。

麻衣とは同じ「生き物」だけに、

ご機嫌斜め状態のルカ先輩の姿は容易に想像できる。


 「伊藤さん、ごめんなさい、

 このお礼はきっとどこかでするから。」

永島先輩が常識人ぽいのだけが唯一の救いだが、

こういう特ダネを追う人は、

時として、ネタのために危険な領域に足を踏み入れて、

取り返しのつかない事態に巻き込まれることがある。

麻衣の父親がそのタイプだ。

 


 「分かりました、

 協力すればいいんですよね?

 でも条件があります。

 校内新聞に、

 あたしの名前は勿論、あたしの事が特定できるような表現は、

 一切やめて下さい。

 それと、

 仮にですけど、もし、

 あたしが旧校舎に危険を感じたら、

 取材を中止して、

 すぐに引き返すことを約束して下さい。

 いいですか?」

 「わぁ! 伊藤さん助かる~!!」


だが、

さすがの岡島くんも、

この時の麻衣の言い回しが気になったようだ。

 「・・・え、

 てか、伊藤、

 ま、マジであそこやばいのか?」

 「怖いの?

 なら岡島くんはいかない方がいいよ?

 言っておくけど、

 幽霊なんていたとしても、

 生きてる人間には何もできないよ。

 それよりも、

 本当に理由が説明出来ない怪現象が起きてるのなら、

 例えばだけど生きた人間が悪さしてる場合の方が、

 よっぽどあり得る話だし、

 よっぽど危険なんだよ?」


 

麻衣の警告は脅しでもなんでもない。

それにその話は岡島自身知っている。

 「岡島くん、知ってるはずだよね、

 あたし達の中学校に現われた連続殺人鬼・・・。」


麻衣の醒めた喋り方に、

岡島くんの背中に冷たいものが走る・・・。

 「あ、そ、そう・・・だったよな、伊藤。

 で、でも分かるのか、

 そんな奴が校舎に隠れていても?」


これに答えるには慎重にならねばならない。

麻衣の人間離れした能力を、

無闇にひけらかす訳にもいかないのだから。

 「・・・近くに悪意を発散する人がいれば分かる。

 それが人間じゃなくてもね・・・。」


永島先輩と岡島くんも、

喉まで出掛かった疑問が浮かんだのだが、

麻衣の静かな迫力に、

その疑問を口にすることはできなかった。


・・・先ほど麻衣は、

幽霊なんか、いたとしても何もできないと断言した。

ならば、

人間以外に悪意をばら撒く存在とは、

何を意味しているのだろうか・・・。

 


「ぼっち妖魔は異世界に飛ばされる」

カラドック編に、あの・・・マーゴ様が???

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