表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
648/676

メリー新世界篇2 驚愕

「ぼっち妖魔は異世界に飛ばされる~メリーさん、いまどこにいるの?」

アップしました。

 

激しくいきり立つユージンに、

船長は「とんでもない」という風に両手をあげる。

 「待ってください、ユージン男爵。

 アレが女性に見えますか?

 いや、女性には違いないのか、な?

 なぁ、メリー・・・。」


 メリー!?

急いでユージンが首を戻すと、

そのうずくまっているはずの女性は顔を起こしていた・・・。

 女性・・・?

 いや、女性と言うか・・・人間?

 あれは人形・・・。

 人形が・・・人形が動いたぁ!?


不思議な光景だった・・・。

部屋の入り口には、落ち着いた船長と、

ランプ片手にあまりの衝撃に固まったままのユージン。

そして部屋の奥では、女性のカタチをした人形が、

無機的な動きで立ち上がろうとしていた・・・もちろん無表情のまま。


 「あ、あ、ああ、あああ・・・。」

ユージンは、声は出るが言葉は出ない。

一方、人形はゆっくりとだが、

ゴッ、ゴッ、とハイヒールの音を響かせて近づいてくる。

光り輝く銀色の髪、

薔薇の刺繍の黒いドレス、

そしてあまりにか細いその両腕・・・、

さらに何者をも拒むような神秘的な白い顔・・・。

最初、その人形は船長を見ていたようだったが、

彼らの手前まで来ると、若きユージンに向けて、瞳をグルッと動かした。

そしてその口からは・・・小さく、しかしはっきりとした声までもが・・・。


 「こんにちはオブライエン船長、

 船は港についたのですか? こちらの方は?」

 「こんにちは、メリー、船はまだ海の上だ、

 こちらはこの船旅の出資者、ユージン男爵だ。」

 「それははじめまして、ユージン男爵、

 私はメリー・・・今、あなたの前にいるわ・・・。」

 


 「しゃべったぁぁ!!」

ようやく喋れたのはユージンのほうだ。

オブライエン船長は、ユージンの反応を見て、予想通りとでもいう風にほくそえんでいる。

人形はあまり反応がない。

当然と言えば当然だが。

ユージンは、一人興奮してわめき散らす。

 「ちょっとちょっと!

 こ・・・ここっこれkっここれ、いいいい生きてるの!?

 そ、っそれとも中に人が?

 い、いやっ入るわけないか?

 あ・・・さっき手品って言った!?」


すぐにそれを否定する船長。

 「いえいえ、手品・・・なのかもしれませんが、

 少なくとも私にはそんな単純なものではないと思いますよ?」

 「ちょっと・・・詳しく話してよ!

 こんな人形の事なんて古今東西聞いたことないよ!

 まさか・・・、これから行く新大陸の産出品とか!?」


実際、この人形を本国に持ちれば、それだけで船出の出費を賄えるだろう、

咄嗟に、切実な願いを頭に浮かべたユージンだったが、

次にはもう、俗な考えを露わにしていた・・・。


 この息をも呑むような美しい顔立ちはなんだ・・・?

 全てを見透かすかのようなグレーの瞳・・・、

 高貴さをうかがわせる、キメの細かいバラの刺繍をあしらったドレス・・・。


・・・少し間を置いてから、船長は説明を始めた。

 「出航前夜、私が積荷のチェックをしてた時にですな、

 暗がりの中を動くものを見つけて、調べようとした所、突然彼女が現われて・・・、

 そぉりゃ私も最初は腰が抜けるかと思いましたよ? 

 それで私が船長だと言うと『この船に乗せて欲しい』と、言うんでね、

 こっちも退屈しのぎになるかと思って乗船させたのですよ。」

 「そ それだけの理由で!? 

 い、いや、まぁ確かに凄い貴重な存在だし、こんなものを手に入れられるのなら、

 城、一つ分・・・いや、国が一つ丸々買える様なシロモノだが・・・

 いったい、こんな人形を誰が作ったんだ・・・?」

 

 「彼女に聞いてみたほうが手っ取り早いですよ、

 おい、メリー、キミを作ったのは誰だ?」


人形は終止、船長とユージンの会話を黙って聞いていたが、

ここで船長に質問されてようやく会話に参加した。

 「・・・さぁ、このカラダを作ったのは誰かだなんて・・・、

 言えることは、この人形の姿は私が自分で選んだ姿だと言う事・・・だけ・・・。」


凄い・・・凄すぎる、ちゃんと会話にもついてこれるなんて・・・!

ユージンは興奮しすぎて、質問の答えなんてもはやどうでもいいようだ。

 「あ・・・ああ、メ、メリーと言ったっけ?

 ちょっと、その場でグルッて回ってみてくれないか?」


少し間を置いてから、言われたとおりメリーは背中を見せて一回転する。


 完璧だ・・・!

ランプに照らされたその姿は、ユージンがこれまで見てきたどんな彫刻品や人形よりも美しい。

 「な、なぁ!

 オブライエン船長、この人形の事を知ってるのは貴方だけなのかい?

 そういえば、さっき口外禁止って言ってたもんな?

 とりあえず、この人形を私の部屋に移動させるよ!?」

 「知ってるのは、数名の部下だけですが・・・

 貴方の部屋に移動させるのは・・・。」

 「何を言ってるんだ?

 この航海で得た物は僕に帰属権がある。

 第一、貴方じゃこんな高価な物の管理も出来ないだろう?

 ・・・こんな暗い船室に閉じ込めて・・・。

 さぁ、おいでメリー? 私の部屋で楽しいひと時を過ごそうじゃないか?」


だが、メリーはユージンを見つめたまま動こうとはしない。


 「メリー? 何してる? さぁ・・・」

彼がメリーを誘おうと、その垂れた銀色の髪の房に手を入れようとしたとき、

バネが弾けたように、突然メリーの腕がユージンの顔面に向かって突き出された。


 「ヒィッ!?」

メリーの人差し指がユージンの眼球直前で止まる・・・

あと2~3センチで突き刺さるだろう。

 

新しく連載した方に登場してるメリーさんはこの方です。

マリーちゃんでもエミリーちゃんでも百合子ママでもありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRoid版メリーさん幻夢バージョン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ