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緒沢タケル編16 神々の王ゼウス 地下王国シャンバラ


そこで、

これまで控えてきた最後のモイラ、ミディアムグレーの髪を梳かす次女のモイラが、

他の二人の姉妹の間に立ち、透視の準備を行う。

 「それでは地上の皆様、

 今を見通すモイラが、現在の状況をお伝えします。

 ・・・さすがに地上全ての出来事を伝えることは出来ませんので、

 『彼ら』の中核について、私の『眼』が視たことをこのまま口述いたします・・・。」


正直、話の流れについて行くこと自体、タケルには困難ではあったが、

何も考えずに、今、眼前で行われている行為について、理屈ではなく空気を読む事で何とか受け入れることに成功したようだ。


そしてモイラの透視が始まる。


 「・・・

 ・・・・・・

 山が、高くそびえる山脈です・・・

 とても険しい・・・氷と雪に覆われ、空気の存在も薄い世界・・・、

 世界で最も頂の高い山々が存在する場所・・・世界の屋根?」


モイラは、自らの脳裏に浮かんだ光景をそのまま口に述べる。

それは直感的なものだったり、

他人に認識されているイメージそのものが流れ込んでくる事もある。

その区別は本人にもつきづらい。


だが、地上の者であるならば、今の説明がどこの地域の話なのか、大体想像が付くだろう。


 「世界の屋根って・・・ヒマラヤっ!?」


タケルの指摘を他所にモイラは透視を続ける。

 「ただ・・・その存在は天空に近い場所ではなく、

 むしろ・・・その麓・・・、

 いえ、大地の下?

 ここは・・・おかしい・・・、

 普通の場所じゃない・・・。


 結界・・・

 人為的な結界ではないようです・・・。

 そう、まるでその土地全てに何百年も前から自然発生的に存在しているような・・・、


 大丈夫です、

 この今を見通すモイラの能力なら潜りこめる結界です。


 これより、

 感知モードから遊離モードに移行します・・・。」


感知能力を持たない人間には、

モイラの説明はわかりづらいかもしれない。

以前、感知型の能力者には、

ラジオのように情報を受け取るトランス型と、

自らの精神を遠隔地に送り込むシャーマン型と、

二通りあることを説明したのを覚えているだろうか?

実際その区分は、術者そのものによって、意識して使い分けているのかどうかは個人それぞれだ。

中には全く意識しない者もいるだろう。

地上にある、強いイメージを持つ情景をサーチしていたモイラは、

ある種の結界の中を探るには、自らのアンテナには何も情報が入らないと判断し、

その結界内に自らの精神を送り込むことを決断したのだ。



既に彼女の魂はここにはない。

盲目のモイラが視ている物は、

強風に晒されながら、外界から一切遮断された世界・・・、


そこにあるのは忘れ去られた町・・・。


 「町が有ります・・・。

 でもそれはカモフラージュです・・・。

 真の都市はその町の真下の世界・・・。

 大地の下に広大な宮殿が・・・

 もう、何百年も前から存在するような・・・。」




わずかながらも感知能力を持ち、神秘主義に精通しているマリアは真剣そのものだ。


今のモイラの透視を聞き、

彼女も自らの記憶や知識を総動員して、

その正体を探る。


 ヒマラヤの地下に存在しているという都市王国・・・。


 伝説にある・・・。

 その名は・・・、

 「地下王国・・・シャンバラ?

 まさか、黒十字団はそこを根城にしているというのっ・・・!?

 いったいどうやって・・・。」



タケルは勿論、サルペドンにした所で、そこまでの知識などありはしない。

 「マリアよ、地下王国だと?

 それはこのオリオン神群のピュロスとは、全く関係はない場所なのか?」


 「はい、

 ・・・というか私にしても詳しい内容は一切わかりません、

 あくまでも伝説です。

 むしろイメージとしては、ミィナさんやダイアナの故郷、

 ウィグルを連想した方が良いのかもしれません。

 地下といっても、こんな地球の大空洞のようなものでなく、

 現在の大都市の下に埋もれている遺跡のような感覚でしょう。

 その地下に外界から隔絶した町が有り、

 宗教上閉鎖的な社会を作り上げた一団がシャンバラと言われています。

 ですが、その王国と黒十字団との関係はわかりません。

 事によると、その地下王国に住む者たちを占領して・・・?」


 マリアの話は、あくまでも彼女の予想を超えるところにはない。

そして、先ほどまでの遠隔透視を行っていたモイラならば、

マリアの言葉に反応して、彼女の疑問に答える用意もできたかもしれない。

だが、一度遊離モードに入ってしまったならば、

現実の聴覚は意味をなさない。

もし無理矢理大声でも発して、モイラの魂を呼び戻そうなら、

そのショックのために、彼女の精神は壊れる恐れもある。

故に、ここはモイラの探知を見守るしかないのである。


 「・・・多くの人々がいます・・・。

 その風体は奇妙です。

 統一性がありません・・・、

 僧侶のような格好の者いれば、軍人や兵隊のような者もいます。

 あ、いえ、恐らく僧侶のような者はこの地に住む人々かもしれません。

 ただ、頭を下げ、その表情に喜びは見えず、まるで奴隷のようです。

 軍人達は態度が大きく粗野なイメージです・・・。

 時に僧侶達を蹴飛ばしたり、怒鳴りつけている様子も窺えます・・・。」


 



 

次回、最終回です。

「地獄の扉が開く時」


ラスボス?

登場。

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