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緒沢タケル編16 神々の王ゼウス 首脳会談

80,000PV達成です!


サルペドンとゼウスの死闘から三日が経過した。

勿論、アスクレーピオスの治療は完璧ではあったのだが、

体力・・・また彼らに限って言えば、生命力そのものの回復に多大な時間を要するためで、

こればかりはアスクレーピオスの神術を以ってしてもどうにもならない。


ま、ぶっちゃけると、十分な睡眠と食事、

その二つが満たされれば何も心配要らない、ということである。

・・・逆に能力をフルに使ったアスクレーピオスの方が悲惨だ。

今は、ゼウス神殿の来客者用寝所で、体を起こすこともできずに眠り続けている。

元々この老神は、その自由をゼウスに拘束されていて、

滅多に出歩くことも、能力を振るうことも禁じられている。


想像はできるだろう、

それほど人口が多くないとは言え、それでもこの地下世界には多くの人々が暮らしているのだ。

彼らが重い病気や大怪我をする度に、この神に頼られるのであれば、

それこそ、この老神の身が持たない。

故に、人々には、この老神の存在は隠匿されていたのだ。

オリオン神群の生命に危険が及ぶときのみ、彼の出番となるわけだ。

 

・・・と、アスクレーピオスの説明はここまででいいだろう。

早速、本題に取り掛かる。

争いを終結させた両軍は、共に重傷者を完治させた状態で、

ゼウス神殿の大会議場で会談を開くこととなった。

スサ側は、

総代のタケルとサルペドン、そしてマリアの三名で会議に臨む。

オリオン神群側は、ゼウスにハデス、

また、中立的な進行役としてアテナが間を取り持つ。

周囲にはスサの幹部たち、またその他のオリオン神群、

(他にも名のある神々が列席しているが、特筆すべきものはないので名前は割愛する)、

そしてゼウス達の真後ろで、3人のモイライが静かに控えていた。

 

なお、当然のことながらタケルもハデスも大怪我は治療済みである。

まるで、戦いそのものが存在しなかったかのようで、ちょっと不思議な光景だ。

 

ゼウスとハデスは憮然として会談に臨んでいる。

腕を組んで偉そうにしているゼウスだが、

その心中はまな板の上の鯉、ということだろうか、

終始無言のままだ。


さて、会談の内容についてだが、

先の戦いの後、タケルがアテナに明言したように、

互いのこれからの行動などを具体的に詰めていく、と言った内容で、

詳細な点についてはサルペドンとゼウスの間によって進められた。

タケルには、また一悶着あるのではないかとも思われたのだが、

完全に無用の気遣いだった。

・・・サルペドンも仇敵とは言え、その存在は互いに旧知の間柄・・・。

ゼウスの性格など百も承知、

彼のプライドや逆鱗に触れぬ場所など心得ている。

それこそ、こんがらがった糸が、みるみる解けるように問題の一つずつが消えていく。

 

簡単に言ってしまえば、

スサが地上に戻ること、

オリオン神群には何の責めも負わさない。

これより再び互いに不干渉の存在となる。

大体そういった内容なのだが、

実はここまでスピーディに問題が片付いていった背景には、一つの理由がオリオン神群側に存在した。

そこに焦点をあてて、これからの話の流れを追おう。


 「さて、ポセイドンよ。」

ここまでスムーズに会議は進んでいたが、ゼウスが改まった態度をとる。

 「ん? なんだ、ゼウスよ?」

 「先ほどの・・・我らが地上には干渉しないと言うくだり・・・、

 当然のことながら条件がある。」

 「ああ、地上の者たちがこれまで行っていたように、

 地下世界に影響を及ぼすような開発や軍事実験を犯さない、という条件だな?」


 「そう、それに対して、まず貴様たちが彼らの行為を止める義務を持つ・・・、

 そこまでの合意は先ほど確認した。」


ちなみにその時、雑談で、

「言っても聞かない国家があったら、サルペドンが地震で国家中枢を破壊せよ」

なんて本気だか冗談だかわからない話まであった。

今更ながら恐ろしい奴らだ。

 

話を戻そう。

サルペドンはゼウスの真意を読めず、首をかしげた。

 「んん?

 何か付け加えたいものでもあるのか?」

 「そうだな、その合意の先を確定しておきたくてな、

 ポセイドンよ、

 貴様が現在所属する、そのスサと言う集団、

 お前たちがその地上の他の勢力を止めることができなかった場合・・・、

 もう少し具体的に言うと、

 お前たちの存在が消滅したならば・・・、

 我らは地上へ再び侵攻することもあり得る、ということなのだが・・・。」


にわかに会場が殺気立ってきた。

傍で聞いていたタケルやハデスも、再びの荒々しい雰囲気に緊張の度合いを高める。

ハデスにいたってはゼウスに向かってカラダを開き、

主君の言葉を諫める他はない。

 「ゼウス様! 何も今・・・!?」


しかし、当のサルペドンは落ち着いたままだ。

このゼウスの口ぶりには、何か裏があるとでも感じたのだろうか?

 「もったいぶるな、

 何か、我々に伝えたいことがあるのか、ゼウスよ?」

 

ゼウスは微動だにせず口を閉じていたが、

やがて、背後のモイライに視線を一瞬送ると、

首を戻して再びサルペドンに語りかけた・・・。

 「サルペドンよ、

 お前は私と戦う前に既に一度、

 後ろのモイライの予言を聞いているはずだな?」


一瞬、サルペドンとアテナの間に視線が交錯する。

・・・もっともサルペドンの目はサングラスの下にあるから、他人にはわからないかもしれないが。

冷静なるサルペドンは言葉を返す。

 「・・・彼女たちの予言が、我らの動揺を誘うブラフでないとしたら、

 予言を外すなど、モイライにしては珍しいこともあるものだ。

 ・・・それとも、これよりその予言を実行しようと言うのではあるまいな?」


今度はサルペドンの挑発か?

 周りにしてみたら溜まったもんじゃない。

 振り回されるほうの身にもなってみろ!


だが、ゼウスは鼻で笑い飛ばして言葉を続ける・・・。

 



首脳会談は続きます。

実質オリオン神群編は終了と思っていただいても構いません。


既に次の章の話題になりますからね。

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