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第18話

土日より平日の方がアクセス数の伸びがいいようですね。

 

 「パパァ!!」

 「麻衣!?」

父親の後をついていた麻衣が人形達に捕まった!

マーゴもレッスルも、自分に襲い掛かる人形を振り払うので精一杯だ。

 「まさか、あ奴の狙いは・・・!」


 「パパーァッ!!」

人形の動きはすばやくはないが、

見事に統率された動きだった・・・。

追いかけようとする伊藤の進行を完全に立ち塞ぐ。

 「麻衣ぃぃーっ!!」

もはや、

メリーのカラダを抱いているわけにも行かない。

 「レッスルさん!

 メリーをお願いします!」

 「ならこの杖を使え!

 わしはメリーの鎌を持つ!」


普通の人間の伊藤に、

他に使える武器はない。

レッスルは自らの杖を伊藤に放り投げた!

とはいっても、

杖だけでは気休めにしかならない。

伊藤が使う場合、

武器というよりも人形の腕を払う盾のようなものだ。

レッスルの方は、

老人のパワーとは言え、

切れ味抜群の死神の鎌だ。

効率良くとは言えないまでも、

確実に人形のカラダを切り落とす。

 

義純達も、この頃にはようやく、

どこを破壊すればいいか把握できるようになっていた。

ガラハッドのロッドが人形の首を確実に破壊する。

ライラックはその槍で、

頭部を粉々にする。

そして義純は、

そのナイフで目玉を潰しつつ(目として機能しているのか?)、

投げ技で洞窟の固い岩場に人形達の頭部を叩きつけていたのである。

・・・だが伊藤は、

娘の救出に向かう事ができなかった。

既に洞窟は一本道であり、

迷う事はないのだが、残る数体の人形に阻まれて、

どうしても先へ進む事ができない。

ようやく義純が追いついて、

伊藤の邪魔する人形どもの相手を引き受ける。

フリーになった伊藤がその先へ向かおうとしたが、

マーゴが強硬に彼の行動をいさめた。

 

 「待ちなさい!

 ライラック達やおじ様を待つのよ!

 一人じゃ危ないわ!」

 「しかし、

 麻衣が何されるかわからないじゃないか!!

 父親のわたしが行かなくてどうするんだ!?」

この緊急事態に英語でなんて答えられない。

伊藤は日本語でまくし立てる。

 「ヒウラ! お願い!」 

マーゴも、

伊藤の言葉は分らなくても、

何が言いたいかは十分理解できる。

しかしだからと言って、

短慮な行動を見過ごす事もできない。

義純は残りの人形をライラック達に任せ、

伊藤のそばに飛んできた。

 「伊藤さん、

 わたしと一緒に行きましょう!」

 「は、はい! お願いします!」

しかし、

マーゴはここでさらなる事実に気づく・・・!


 「・・・ねぇ、待って!

 レッスルおじ様と・・・メリーは・・・?」

 


・・・広い洞窟内に、

人形達のカラダが散乱している・・・。

ライラックとガラハッドは、

全ての人形を片付けたようだ。

麻衣の悲鳴も聞こえない・・・。

聞こえるのは彼らの呼吸音だけ・・・。

洞窟の要所要所に取り付けてある電灯が、

静かに光っている・・・。

麻衣の連れ去られた方向は分っている。

他にそこに向かった者はいない・・・。

では、

レッスルとメリーはどこへ消えたのか?

レッスルは、

悲鳴も叫び声も上げることなく連れ去られたのか・・・?

 「レッスルおじさまーぁ!?」

・・・その声は洞窟に反響するのみだ・・・。

返事はいくら待っても返ってこない。

 


 

確かに老人の安否は心配だったが、

伊藤には先に進む事しか考えられない。

マーゴは必死で考えた・・・、

二手に分かれるべきだろうか? 

だとしたら、

パパさん、ヒウラ、自分の組み合わせと、

ライラック、ガラハッドか?

いや、

戦力を考えて、

自分の代わりにガラハッドをパパさんにつけるべきか?

それとも一度おじ様は置いといて、

全員でこの先に向かうべきなのだろうか?


勿論、

義純とライラックも同様に悩んでいた。

これ以上、

まだ仕掛けや罠がないと言いきれるのだろうか?

 「全員で行くわ!」 

マーゴが真っ先に結論を決めた。

 「・・・多分おじ様は、

 自分の事はなんとかすると思う・・・。

 メリーも一緒に消えているなら、

 そのうち彼女も起きるかもしれないし・・・。

 今は麻衣ちゃん救出を優先しましょ!」

 


 

義純は頭を掻いた・・・。

 「参ったな、

 一応管轄的には、

 この場はおれが最終責任者なんだけど、

 その大役、

 マーゴに取られちまったなぁ・・・

 でもその意見に賛成だ。」

 「ごめんねぇ、ヒウラァ、

 そしてありがとね!」

義純は伊藤に訳しながら歩き出す。

 「マーゴさん、

 ありがとうございます!」

 「いーのよぉ!

 それにしてもパパさんさすがだわぁ!

 かっこいい!

 結婚する前に会いたかったわぁ!」

この言葉を義純が訳す事はなかった。

やっぱりマーゴはマーゴだ・・・。


彼らの終着地は、

レッスルを見失った場所から、

そんなに遠くなかった気もする・・・。

立て続けにいろんな事が起きて、

時間も距離感も完全に狂ってしまっていた。

洞窟の奥はさらに広く、

まるで古代の演劇場の舞台の様でもある。

せりあがったようにも見える中央の高台には、

簡易なベッドのようなものがあり、

麻衣はそこに、

先程の二体の人形に押さえつけられていた・・・。

 


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